山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

黒部峡谷下の廊下 ~欅平⇔阿曽原温泉の絶景紅葉!高度感が凄いぞ大太鼓~

毎年10月末になるとソワソワしてくるのは、下の廊下の紅葉時期が訪れるからだろうか。
下の廊下の下半分は今まで4回行ったことがありますが、阿曽原~欅平間の上半分は一度も行ったことがない。
今回は下の廊下が初めてとなるhisapinとA嬢の2人を連れていくので、豪勢に全区間歩いてみたいと思います。
下の廊下の上半分(欅平~阿曽原間)の紅葉をご紹介します。

shibawannkoのワンポイントアドバイス

〔難易度〕   ①標高差400m、②片道10kmで、断崖絶壁が続くこの距離をしっかり歩き切れる体力脚力が必要。
〔危険度〕   水平歩道は岩盤でしっかりしており、普通に歩ければ谷底には落ちない。大太鼓は高度感あり
〔行程〕    行程が10km程度だが、スタートとエンドの自由が利かないため、行きも帰りも始発が望ましい
〔トロッコ列車〕この時期は寒いので、拘りがないがない限りオープン車両より屋根付き車両の方が暖かく楽しめる。
〔その他〕   阿曽原小屋は冷えるので防寒着必須。志合谷のトンネルはヘッドライト必須。

山行記録 2015年10月30日~31日

欅平~猿飛峡

EOS5DsR+EF24-105mmF4L IS USM 28mm f16 0.8sec ISO100 PLフィルター

今回はいつもの通り黒部ダムから入り、少し高くつきますが車回送サービスを利用して欅平まで抜ける計画。
前日に回送サービス会社に連絡すると「ちゃんと調べてるの?」と怪訝そうな返事が返ってきた。
どうやら今年は雪が多くて、下半分の黒部ダム~阿曽原間が通行不可能なようだ。
なんてこった。。。
3人の予定をぎりぎり合わせているので、心は既に行く気モード。後戻りはできん。
仕方がないので富山県側まで車で回って、欅平~阿曽原間の上半分の区間だけを往復することにしました。

仕事を終えてから2人に集まってもらって、夜間夜通し運転してギリギリ宇奈月駅の始発に間に合う。
350km?ひぇ~、さすがに疲れましたよ。
そのまま準備を大急ぎで整えて、トロッコ列車に飛び乗る。
トロッコ列車の区間は紅葉を楽しみながら気持ちが盛り上がってくる区間だと思いますが、3人とも爆睡。
気付くと終点の欅平駅に着いていた。
疲れの癒えない体に鞭打って、欅平からヨタヨタスタートします。

まずは水平歩道に入る前に猿飛峡などなど、しっかり観光地も回っていきます。あまり時間ないけどね。
今日の天気は雨予報だけれど、紅葉はぴったし。
そして断崖絶壁にへばりつく鮮やかな黄色の紅葉と黒部川のエメラルドグリーンの対比が美しすぎる。
阿曽原温泉の小屋閉まいの1日前で、阿曽原に行く人はほとんど見当たらない。
行程が7~8時間と長時間になるので、暗くなる前に着くためにそろそろ出発しないと。

往路(志合谷~大太鼓)

EOS5DsR+EF24-105mmF4L IS USM 24mm f11 0.8sec ISO100 PLフィルター

まずは水平歩道に乗るために、300mほど急斜面をひたすら上ります。
心配していた通り、この時点から小雨から激しい雨に変わり、長丁場の前半からカッパモードです。つらいなこりゃ。
志合谷まで来ると、谷を巨大な雪渓が埋め尽くしているではないか!
すっげ~な、これは、、、。秋になってもまだこれだけの雪渓を残すのか、黒部渓谷は。
深山幽谷感が半端なく、こんなのを見たくてみんな下の廊下にやってくるのでしょう。
志合谷は雪渓で塞がれているため、雪渓手前から頑丈なコンクリート製のトンネルで雪渓の下を通り抜けます。
トンネルは長く曲がっているので、向こう側の明かりも届かず照明もないので、ヘッドライトは必須です。
ヘッドライトがないと下の足場も悪いので、おそらく通行できないと思います。上部も危ない。

雨はさらに本格的になり、谷全体が霧で覆われ、せっかくの景色も見れなくなる。
渓谷道の風景だから晴れよりも雨天や曇天の方がいいと思っていましたが、霧になると何も撮れません。
これはかなり残念。。。明日の晴れ予報にかけるしかないか。

全身濡れネズミになりながら、大太鼓までやってきました。
これこそ谷下300mまで覗ける文字通りの断崖絶壁ですが、景色は見えない。
今日一日何も撮らないのは残念過ぎるので、大太鼓で無理やり記念撮影してみたり。
そうこうしているうち辺りは暗くなってきて、いよいよヘッドライトか、というところでなんとか阿曽原温泉へ到着。
あまりの大雨でゴアテックス製のブーツや手袋もすべて濡れ、低温で寒くて寒くて仕方がない。
本当に大変で辛い1日でした。
2人には大変な思いをさせてしまって申し訳なかったけれど、予定がここしか合わないからこれも仕方なし。
初めて泊まる阿曽原温泉は最終日前でガラ空きでしたが、簡素な作りで今まで泊まった小屋の中で一番寒かった。
親切な小屋のご主人に露天風呂を案内されますが、寒すぎてもう無理です(笑)。

復路①_折尾谷

EOS5DsR+EF24-105mmF4L IS USM 24mm f11 1/15sec ISO100 PLフィルター

翌日は天気予報どうりの晴天。
しかし黒部の10月末の朝は霜の降りるような寒さ。
前日濡らして凍り付いたブーツに足を通すのは、寒くて寒くて本当に大変な辛さでした。

昨日は大雨と霧で見えなかった黒部渓谷の絶景も、天気の回復した今日は紅葉が映えて非常に奇麗。
ちょうど紅葉の奇麗な折尾谷に差し掛かったところから日が差してきて、紅葉を輝かせてくれました。
いや~、この絶景を見るためにはるばる来たんだな~。
目的の写真の1つがしっかり撮れ、またこの景色を2人に見せてあげることができて、少し胸を撫でおろしました。
本当にここ下の廊下の紅葉は綺麗。北アルプス随一の紅葉の名所だと思います。

復路②_大太鼓

EOS5DsR+EF24-105mmF4L IS USM 24mm f16 0.8sec ISO100 PLフィルター

今日も来ました大太鼓!今日は霧で谷底が見えなかった昨日と違って、ものすごい高度感です。
高所に比較的慣れてきた自分でも、谷底を覗き込むとゾワゾワするものを感じます。
あまり近づかない方がいいなと思いながらも、しっかり写真に収めなければならない。
昨日の分を取り戻すかのようにしっかり崖の淵まで寄り、谷底の紅葉を一生懸命撮りましたよ(笑)。

復路③_奥鐘山西壁@志合谷

EOS5DsR+EF24-105mmF4L IS USM 32mm f11 1/13sec ISO100 PLフィルター

水平歩道は長い長~い。予約しているトロッコ列車の時間から逆算するとなんか間に合わなさそう?
少しギリギリの時間を予約してしまったか。
間に合わなければトロッコ列車のチケットが無駄になるし、混雑でさらに遅れてしまうかもしれない。
これは間に合わすしかないでしょう~。
仕方がないので後半は歩きというより競歩から小走りといった感じで先を急ぐことに。
急いでいても、部分的に光が当たったフォトジェニックな奥鐘山西壁はしっかり撮ります(笑)。
ほんの1分くらい前にギリギリ欅平駅に到着し、飛び乗るようにトロッコ列車に乗車することができました。
ちょっと途中で道草し過ぎたでしょうか。これまた2人には申し訳ない。

予約していたトロッコ列車は、寒いだろうと思ったのでしっかり屋根付きの車両にしておいてよかったです。
今日みたいにクソ寒い日に、オープン車両は正直きついと思います。
疲れが休まるどころか少しでも防寒が足りないと容赦なく体力を消耗してしまうでしょう。
暖かい屋根付き車両で、これまた行きと同じく、3人とも景色そっちのけで宇奈月駅まで爆睡。

雪で阻まれ天気に恵まれなかった下の廊下の山行ですが、大変なことも3人で共有して軽減された気がします。
大変だった思いも、時が経てば「3人共有の楽しい思い出」となってくれればいいな。

  • B!