山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

〔100名山+100名瀑〕大台ヶ原/大杉谷 ~石楠花と秘境の滝を求めて~

前回来たときは水量少なく日が当たって白とびでうまく撮れなかった七ツ釜滝。
午前中は那智の滝から紀伊半島の名瀑を巡って、午後は大杉谷の滝巡り。
効率良く回れれば今日は大杉谷で、明日の最終日は双門の滝へ行けるかな。

ルート


〔1日目_山行〕 2時間45分 /〔休憩〕1時間 /〔合計〕3時間45分
【下り】大台ケ原ビジターセンター 14:30 ⇒ 15:00 大台ヶ原山 15:15 ⇒ シャクナゲ平
【上り】シャクナゲ平 ⇒ 17:00 大台ヶ原山 17:45 ⇒ 18:15大台ケ原ビジターセンター
〔2日目_山行〕 8時間30分 /〔休憩〕2時間20分 /〔合計〕10時間50分
【下り】大台ケ原駐車場 04:50 ⇒ 05:20 大台ヶ原山 ⇒ 06:30 堂倉小屋 ⇒ 07:20 堂倉滝 07:40 ⇒ 08:30 光滝 08:50 ⇒ 09:40 七ツ釜滝休憩所 10:40
【上り】七ツ釜滝休憩所 10:40 ⇒ 11:10 光滝 11:20 ⇒ 11:50 堂倉滝 ⇒ 12:40 堂倉小屋 13:00 ⇒ 15:00 大台ヶ原山 15:10 ⇒ 15:40 大台ケ原ビジターセンター

山行記録 2019年5月27日~28日

1日目_シャクナゲ平

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 70mm f4 1/50sec ISO100 PLフィルター

那智の滝からスタートし、名瀑を巡って大台ケ原に辿り着いたのは既に14:00。
日没前に七ツ釜滝まで行ければナイトハイクで今日中に戻ってこれるかも。
そんな無理的な計画で大杉谷に急いで向かう。

15:00 日出ヶ岳山頂。
先ほどまで晴れていた天気は一転、ドス曇りの空になってしまった。
何度も来ている山頂にそれほどこだわりはないが、せっかくだから山頂まで晴れてくれたらいいのに。

間に合わなそ~な感じを覚えつつも、大杉谷に下りていく。
前回来たときはゴールデンウィークでシャクナゲはまだまだだったが、今回はどうか。
山頂から下るとすぐにシャクナゲゾーンに突入する。
8分咲きくらいで落下している花なく、まだまだ蕾も多い状況。
今週末まで楽しめるでしょう。

時間がないので先を急いでいるが、満開なシャクナゲを放っては行けない。
綺麗なシャクナゲを見るたびに足を止めていたら、本格的な無理無理な時間になってしまった。
日出ヶ岳から大杉谷への下りは、急で木の根っこも張り出していて、そうそう都合よくコースタイムを短縮はできなさそう。
これは時間的にもう無理だ。
目的未達成で引き返すことにしました。

半日の時間を他に振り向けられたのに、貴重な時間を失ってしまった。
誰もいなくなった日出ヶ岳で曇天の景色を眺める。
ここまで来たのに、久しぶりの惨敗山行でした。
滝巡りの1つ1つの滝で、時間を掛け過ぎてしまった。

2日目_堂倉滝

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 55mm f11 0.5sec ISO100 PLフィルター

最終日はどこに行こう?
当初の目的は、これまた前回行き損ねた双門の滝経由の大峰山か、今日行き損ねた大杉谷か。
双門の滝は前回ルートを間違えて登ってしまい、大峰山へは登頂したけれど100名瀑の双門の滝は行き損ねたというお粗末ぶり。
まだ行ったことがない双門の滝へ行きたかったのですが、今日の目的不達成と天候不順と疲労蓄積でテンションだだ下がり。
移動するのもかったるいので、大台ケ原でじっとしていました。

朝から小雨がパラパラ降る中、行くか行かまいか車の中でモジモジ時間だけが過ぎていく。
天気予報通りに雨が本降りになったら、日本一多雨なこのエリアにいて大丈夫だろうか?とかとか。
行動しなければ何も生まれないので、04:50何とか車から這い出て昨日と同じ道を日出ヶ岳へ向かう。
まぁ、なるようにしかならないでしょう。

昨日時間を食いまくっていたシャクナゲゾーンはスルーして、一気に堂門の滝まで標高を下げる。
実は前回は崩壊地仮復旧のため、林道を迂回して堂門の滝~七ツ釜滝間は歩いたことなかったのだ。
何度も行こうと思っていた同門の滝を初めて目にする。
でかい。。。
直瀑なので写真に撮ると規模感が伝わりにくくなるが、落差もさながら水量が凄い。
堂門の滝から中七ツ釜を経由して奥七ツ釜まで遡上する沢登りコースもあり、何気に一度は行ってみたいコースなのだ。
しかし同門の滝のスケールというか威圧感が凄すぎる。
こんな滝が沢登り中に現れたら、チビりあがるというよりも死を覚悟するだろう。
大量の水が滝壺に落ちる爆音が錯乱状態にさせてくれるようだ。
おそろしい。。。
滝の威圧感に気圧されて、川を挟んで撮るカットを忘れてしまった。

与八郎滝/隠れ滝/光滝

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 70mm f16 0.6sec ISO100 PLフィルター

堂門の滝からの渓谷道は、山で言えばビクトリーロードに当たるものか。
下の廊下ばりに岩を穿って通した渓谷道や荒々しいゴルジュなど、次々と秘境感漂う景観が展開する。
いや、素晴らしい。
さすがに“秘境”と呼ばれるもだけのことはあります。
「下の廊下の西日本版」と捉えるといい感じでしょうか。
隠れ滝は深い渓谷に係る吊り橋の脇にありました。
隠れ滝にかかる吊り橋は結構高度感があって、秘境感いっぱいで楽しい。
隠れ滝から標高を落とすと次は光滝。
大杉谷にかかる滝の中では、七ツ釜滝や同門の滝に隠れたサブ的なイメージの滝でしたが、これまたでかい。
立派な大瀑布といっていいでしょう。
深い谷に落ちるややナメ滝チックな光滝の下流には、一部屋又は一軒家くらいの大きさの大岩が渓谷を埋め尽くしている。
いや~、なかなかここまでの荒々しい景観を見せる渓谷はないものです。

大崩壊地~ゴルジュ帯

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 39mm f16 0.3sec ISO100 PLフィルター

光滝を過ぎると平坦な河原に放出される。
その河原の向こうには、渓谷全体をせき止めるような大崩壊地が現れる。
ここが何年間も通行を拒絶してきたあの崩壊地か~~~。
一部屋又は一軒家くらいある大きさの大岩が右岸から流れ出ている。
実際赤のペンキマークに導かれて崩壊地に取りつくと、平らな面を上部に石が階段状に配置されており、岩自体は滑りやすいものの歩きやすいように整備されていました。
ここまで整備するのは本当に気が遠くなるような膨大な作業だったことでしょう。
整備された方の努力を思わずにはこの崩壊地を通ることはできない。

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 24mm f11 0.5sec ISO100 PLフィルター

結構長く続く崩壊地を岩の合間話縫うように進むと、いよいよ川幅は狭くなりゴルジュ帯になってくる。
なんか下の廊下っぽくなってきた。
ゴルジュ帯の白い岸壁とエメラルドグリーンの川色が美しすぎる。

七ツ釜滝

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 70mm f11 0.6sec ISO100 PLフィルター

ゴルジュ帯を超えると、いよいよ七ツ釜滝が近くなってくる。
さらに岩を穿って作られた急な登山道を伝い標高を下げていくと、やっとたどり着きました。
目的の七ツ釜滝。

急峻な大岸壁に3段120mの落差で落ちる様は、まさしく秘境の秘瀑、幻の滝か。
感動するものの撮り方は難しい。
ここも深い谷を挟んでの1点からしか望めないため、これまた誰が撮っても同じようになる感じだ。
この七ツ釜滝をより感動的に撮るには、水量が多いタイミングで来るしかなかろうか。
細く分かれて流れ落ちる幾条の筋が1つに纏まって流れ落ちれるくらいの水量があれば、さぞ迫力あるだろう。
そして急峻な岩場に立派な観瀑台が設けられているが、正面の木が成長して視界をもろ遮ってくれている。
なので観瀑台の外の岩場ギリギリまで行っても木が入る感じ。
国立公園と言えども、この幻の滝を隠そうとしている木の1本くらいは切ってもいいと思う。

大杉谷渓谷は、まだこの下流にもニコニコ滝やシシ淵、千尋滝等、まだまだ見所は沢山ある。
行きたかったニコニコ滝とシシ淵まではあと90分もある。
例えニコニコ滝とシシ淵まで行ったとしても、さらに1時間かかる千尋滝までは睡眠時間と450kmの運転時間を考えるととても行けない。
下部の滝々はまた次回に回して、大台ケ原ではなく下流からアクセスするか。

1日で大杉谷を巡るのはなかなか厳しかった。
1日半かけるのであれば、桃の木山の家に泊まればよかったかな。

復路

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 70mm f16 2sec ISO100 PLフィルター

今回も全部を行けなかった大杉谷のスケールの大きさを感じながら来た道を帰ることになりました。
天気予報はもってくれたようで、お昼くらいまでは大雨にはならなかった。
しかし、下部は標高が低く谷で風もないので、ゴアテックスと言えどもカッパを着ると暑い暑い。
やや水切れを起こしながらも堂倉小屋まで引き返す。
最後の食糧と水分を補給して、日出ヶ岳を目指す。

シャクナゲ平

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 24mm f11 0.3sec ISO100 PLフィルター

標高を上げると気温も下がり風も出てくるので、暑さが解消されて助かった。
そしてちらほらピンクのシャクナゲが現れ始めると、なんか疲れも軽減されてくるよう。
昨日撮ったからシャクナゲはスルーでよいかと思っていましたが、やはりシャクナゲは雨が合う。
水に濡れた艶やかなシャクナゲは昨日よりも鮮やかに見える。
そんなこんなでまたシャクナゲ林で捕まってしまった(笑)。

雨こそ似合う大台ケ原とは言ったもので、大杉谷の原生林は晴れの日よりも雨の日の方がいいと思った。
当たり年ではないとは思いますが、それでもシャクナゲが良すぎる。
特に日出ヶ岳下の景観は素晴らしい。
①霧がかった雨天に②シャクナゲが咲き、その合間に③立ち枯れ木や倒木が入ると完ぺきではない。
神秘的な原生林の雰囲気がたっぷりである。
この光景はどことなく屋久島で見れる光景に近い気がする。

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 400mm f8 1/5sec ISO100 PLフィルター

ようやくシャクナゲ林から解放されいよいよ日出ヶ岳に達しようとする頃には、天気予報通りに大荒れに。
大雨と風が吹き荒れる中、大台ケ原駐車場に戻ってきた。
雨が合うとはいえ、大雨の中で写真を撮るのはそれはそれは大変。
ここまで天気がもってくれて幸運でした。

計画外に1.5日を費やしてしまった大台ケ原と大杉谷でしたが、シャクナゲと大瀑布群は素晴らしいものでした。
景色は素晴らしかったですが、標高差1,200m/水平距離20kmを超えるコースの負担も素晴らしいものがありました(笑)。
侮るなかれ大杉谷。
秘境を十分体験するには、やはり2日は必要かもしれません。

今日のお役立ちアイテム

大杉谷の岩は濡れるとよく滑ります。そのため大杉谷では、濡れた岩場でもグリップ力を発揮するビブラムソールのハイカットの登山靴が適当です。

七ツ釜滝から日出ヶ岳間は標高差は1,200m弱あり、特に堂倉避難小屋~堂倉滝の区間は急傾斜が続き一歩一歩の段差も大きくなります。膝に心配のある方は準備を万全しておくと心配が減ります。

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