山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

富良野岳 ~天空のお花畑とヒグマ遭遇!ヒグマに吠えられまくる~

北海道遠征2日目は、昨日の大雪山に引き続き、花の100名山の富良野岳へ。
隣の十勝岳は以前登りましたが、富良野岳は今回初めて。
富良野岳のお花畑をご紹介します。

shibawannkoのワンポイントアドバイス/ルート

〔山行〕6時間20分 /〔休憩〕1時間40分/〔合計〕8時間
【上り】
十勝岳温泉凌雲閣 04:30 ⇒ 
05:30 上富良野岳分岐 ⇒ 06:50 縦走路分岐 07:10 ⇒ 08:00 富良野岳 09:00
【下り】 富良野岳 09:00 ⇒ 09:40 縦走路分岐 10:00 ⇒ 11:30 上富良野岳分岐 ⇒ 12:30十勝岳温泉凌雲閣

山行記録 2020年7月20日(04:30~12:30)

十勝岳温泉凌雲閣~縦走路分岐(04:30~06:50)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 30mm f16 1/20sec ISO100 PLフィルター

それにしても北海道の山は1つ1つが大きい。
登るのも時間がかかれば移動するのも時間がかかる。初日の大雪山で結構疲れ気味。
最後の貴重な貴重な晴天を無駄にせぬよう、疲れた身体を鞭打って夜明け前に起床。
「登頂前に曇ったら意味がないから」とshibawanwanをおだてまくる。
04:30 なんとか早朝スタートにこぎつけられた。
いつもはナイトハイクで夜明け時には山頂にいるのだが、北海道連山では厳しい。
なんとか晴れている間に、お花畑と山頂に着ければいいんだけれど。

登山口からしばらく上富良野岳方面へ谷に沿って歩いて行く。
近づいてくる三段山や上富良野岳の光景が見慣れず、真新しい。
一度谷に下り上富良野岳からの伸びる尾根を横断する。
尾根を越えると、朝の光線を受ける威風堂々とした富良野岳が姿を現す。
今日も晴天だ!
これだけ晴れているならば、ナイトハイクで山頂ご来光登山でもよかったかも。
とか思いながらも、昨日の疲れでは無理だったと思う。
それに、明け方付近にヒグマ生息エリアに足を踏み入れるのはできれば避けたい。
スタートが若干遅かったことに一抹の不安を感じながらも、富良野岳へ歩を進める。
朝の澄んだ空気の中、広がる大展望に言うことなし。
このまま晴れたままお花畑と山頂まで到達できれば!今日はもらったかな。

稜線手前~ヒグマ遭遇~
上富良野岳分岐から稜線の縦走路分岐までは、山腹を横切りつつ高度を上げていく。
長いトラバース道を進み、いよいよ稜線に出ようかというところで事態は急変する。
右の谷側の斜面のかなり近い所で、獣の吠える声が聞こえ始める。
ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ
ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ
ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ
ヒグマだよ!姿こそ見えないけど至近距離だ。アルペン気分なんぞ即吹き飛ぶ。
幸い近づいてくる気配はない。
どうやら50mほど先を行く先行者のパーティーと自分の間を横切って行ったようだ。
30mほど後方を歩いていたshibawanwanは大丈夫か(焦)?
呼ぶが返事がない。
心配になって少し戻ると、青ざめたshibawanwanが登ってきた。
ヒグマに動転している様子。
気が動転して事態を良いように考えたかったらしい。
ヒグマと分かっているが「野犬かと思った、カモシカならいいな」とか言ってる。
野犬じゃね~よ(笑)!

ヒグマがやや離れて行ったことから、急いで稜線下まで到達してさらに距離をとる。
安全な距離を保ち、ひとまずは安堵。
それでも、しばらくヒグマは吠え続けていた。
例の重低音の効いた吠え声と続く息遣いが、交互に静かな朝の山に響き渡っていた。
ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ
ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ、ゥオゥ
ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ
どちらかと言うと、威嚇しているわけでも怒っているわけでもないらしい。
ニアミスしてヒグマ側から自分の存在を知らしめているかのようであった。

縦走路分岐~富良野岳山頂(07:10~08:00)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f8 1/125sec ISO100 PLフィルター

ヒグマの近接を許してしまった状況を考察してみる。
結論として「油断しまくり」としか言いようがない。
油断しまくり要因は以下の3つ。
〔要因①〕熊鈴を鳴らしておらず、自分の存在を知らしめていなかった。
〔要因②〕ヒグマが活発に動く早朝にヒグマの生息エリアに足を踏み入れた。
〔要因③〕ヒグマに対峙する武器がない。
しかし一方で、それぞれの油断を引き寄せる言い訳(許容性)も存在した。
〔言い訳①〕
・巨大な破壊力抜群の熊鈴は持参していた。
前パーティと50mくらいしか離れておらず大丈夫かと思って、しまい込んでいた。
・ 体力の消耗を抑えるため、ヒタヒタと仙人みたいな無音歩行をしていた。
〔言い訳②〕
・ 富良野岳は人気の山なので、多くの登山者が入るから大丈夫かと思っていた。
・ 04:30スタートとはいえ、先行者が3~4パーティおり、熊払いOKかと。
〔言い訳③〕
・北海道遠征用に熊スプレーは購入して持ってきていた。
使用は暑寒別岳を想定しており、富良野岳は大丈夫かと思って車に置いてきていた。

熊には今まで6回遭遇しているので、無為に恐れることはないと思っている。
しかし今回はさすがにヒグマとの距離が近すぎた。
2人とも何事もなかったから良かったようなものの、猛省が必要だ。
万全の準備を整えていたにもかかわらず、詰めが甘いというか油断しすぎであった。

しっかり反省したうえで思うことは、以下の3つ。
① どうせだったら大きなクマさんを見て見たかった。そして写真に収めたかった。
② そんな巨大な生き物が生息していることに、なんだか嬉しくなった。
③ なんだかより北海道が好きになってきた(笑)。

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 23mm f16 1/25sec ISO100 PLフィルター

稜線に出てから安堵と反省。もう大丈夫そうなので、山頂を目指しましょうか。
ここからは、山頂まで想像以上のお花畑が展開する。
青空の下で花々が輝き、ここはまさに天国かな?
お花畑に立ち止まってばかりで、全く先に進まない。人もいなく貸し切り状態。

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

進んで斜面が変わるたびに、咲いているお花も変わる。
そうこうしているうちに、怪しげな雲が富良野岳上空に現れ始める。
あれ?これはヤバいかも、、、。山頂が暗くなり始めている。

富良野岳山頂~十勝岳温泉凌雲閣(09:00~12:30)

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 24mm f16 1/13sec ISO100 PLフィルター

08:00 急いで富良野岳山頂に到着。
東側の雲海が素晴らしかったのに、光が失われ始める。
南西側の前富良野岳への稜線は、既に陰っている。
南東側の光景もガスで隠れつつある。
チーン!ガスった...。登頂して40秒で辺りは真っ白。
貴重な晴天のチャンスに、山頂からの展望を逃してしまった。
あと30分早く登頂していれば、、、。すべてを手に入れられたのに。
う~~~ん(悔)。
まぁ、今日はこんな日だったのさ。とあっさり開き直り。
昨日に引き続き、shibawanwanに北海道のお花畑を見せられて良かった良かった。

EOS5DsR+MACRO50mmF2.8 EX DG f8 1/15sec ISO100 PLフィルター

一面まっ白なので、上ホロカメトック山への縦走はあっさり中止でピストンに変更。
あのクマゾーンが気がかりだけれど、人がわんさか登ってくるからもう大丈夫かな。
ガスって展望がなくても、足元には色とりどりのお花が咲いている。
復路は、片っ端から花をマクロ撮影しながら下山。
不自然な姿勢で地べた這いつくばっているので、いい加減腰痛になりました。

EOS5DsR+MACRO50mmF2.8 EX DG f8 1/30sec ISO100 PLフィルター

12:30 十勝岳温泉下山。
昨日の大雪山に続いて、北海道の壮大なお花畑を見ることができました。
北海道って素晴らしい。まだまだ登る山がある。
ヒグマに油断せずに、山を変えて季節を変えてまた来たい。

  • B!