山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

火打山-焼山縦走 ~やっと辿り着けた焼山!このルートはちょっと二度と来たくないかも...~

昨日の平ヶ岳に続き、チャリ登山2山目は、過去何度かチャレンジしたもののなかなか辿り着けないでいた新潟焼山へ。この焼山、どこから登っても破線ルートでコースタイムもそれなりに長くなる侮れない300名山だ。夏の暑い時期にこのロングコースの焼山登るか?と怯むが、今登らずしていつ登ろう。

日本海側の笹倉温泉まで回り込めば一番コースタイムが短くなるが、回り込むだけで大変で、焼山だけで撮りでがなさそう。一方、南側の焼山登山口である杉野沢橋からアプローチすると、全線破線ルートになる上、沢沿いルートで渡渉が何度かあり、コースタイムも全然短くない。こんなルートをナイトハイクしようものなら道迷い必須。そしてこちらも焼山だけで撮りでがなさそう。
残るは火打山→焼山の周回ルート。こちらは高谷池や天狗ノ庭など花咲く高層湿原と火打山~焼山の展望も撮れ、撮りでがあるのは間違いない。火打山は過去1回登っているが、天候に恵まれずあまり撮れていない。どうせ行くなら、火打山の撮り直しと焼山のピークハントのセットで行こう!

気になるのは火打山→焼山周回コースの負担度。コースタイムは14時間&25kmに及ぶ。そしてその半分以上が破線ルートで、藪歩きときている。自分の(若かりし頃の)日帰りの限界が、だいたいコースタイム17時間&26-27kmなので、自分の限界に近い。しかも登山ブランク明けの上、パフォーマンスが暑さで半減する真夏にチャレンジするのは気が重い。

灼熱の平ヶ岳登山の後でフラフラで帰ろうかと何度も思ったが、ここで帰ると後で後悔増し増しなのは間違いない。うじうじ考えても移動と睡眠時間が減るだけなので、あまり乗り気ではないが突っ込むことにした。

 

登山ルート

〔距離〕25km/〔累積標高〕1,950m
〔山行〕11時間50分/〔休憩〕2時間40分/〔合計〕14時間30分

 

山行記録 2024年8月3日(02:20-16:50)

上り①(焼山登山口 02:20 ~ 05:50 高谷池ヒュッテ)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 57mm f16 1/20sec ISO100 PLフィルター

02:20 焼山登山口の杉野沢橋からスタート。杉野沢橋~火打山登山口の笹ヶ峰の林道3km区間を電動チャリでく無効化する作戦だ。

03:00 笹ヶ峰登山口着。20分弱で林道チャリ区間をサックリ終える。20kmを超えるロングルートで、僅か3kmでもチャリで削れるのは非常に嬉しい。ザクを鉄柱にしっかり地球ロック。無事に下山したら迎えに来るから。

準備を整えると、次々に早出の登山者がスタートしていく。皆さん早いね。夏山登山は、日が昇って気温が上昇する前に稜線または頂上に到達するよう行動すると、体力消耗を抑えられる。おまけに雲が湧く前に展望が望める。ナイトハイクは自分の中では”鉄則”とすら思っている。
ただ今日の最初のメインは高谷池~天狗ノ庭の花咲く高層湿原である。湿原に日が回る時間帯より後に到達しないと撮影できないため、それほど急ぐ必要はない。今日は長丁場なので、極力体力を消耗しないよう、かなりゆっくりなペースで登る。今日登る火打山と焼山に朝日が当たる。遠いな...。

05:50 体力温存しつつ、予定通り高谷池に日が差す頃合いに高谷池ヒュッテに到着。高谷池は、火打山へ出発準備するヒュッテ泊り組で賑わっていた。百名山だけあってか、夏の火打山って人気あるんだな。
高谷池を半周して、ゆるゆる標高を上げながら天狗ノ庭へ。高谷池周辺は、立派なナナカマドがたくさんあり、秋になったら紅葉が綺麗そう。
標高を少し上げると、木道の向こうにドーンと現れる火打山。ここが感動するポイントかもしれない。山をやっていてよかった、と思うような良い景色。足元には高山植物。木道を進めば、これから行くピラミダルな火打山と影火打と焼山が展開する。なかなか素晴らしい景色だが、結構距離がありそう。

上り②(高谷池ヒュッテ 06:20 ~ 08:00 火打山山頂)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/15sec ISO100 PLフィルター

目的の天狗ノ庭の池塘群では、鏡のようになった水面に逆さ火打が映り込んで美しい。昨日の平ヶ岳もそうだが、高層湿原のある山ってなにか格別感がある。ときおり風が止むと、綺麗な鏡になった。もう少し時間が遅い方が斜光線になってよいのだが、今日はロングなのでおちおちここで時間調整もしていられない。静かな時間が流れる天狗ノ庭を後に、先を急ぐ。お花はポンポンワタスゲがメインだった。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/30sec ISO100 PLフィルター

07:20 ライチョウ平。そう都合よくライチョウさんは現れてくれない。
火打山山頂は、天狗ノ庭から意外と奥に長い。稜線に出れば、左手には高妻山と北アルプス、振り返れば妙高と、展望が素晴らしい。北アルプスのように派手ではないが、夏山らしく多くの高山植物が咲く。お花畑まではいかないまでも、花々が点在して楽しませてくれる。

火打山山頂(08:00-08:20)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/25sec ISO100 PLフィルター

08:00 ゆるゆる登って、笹ヶ峰から5時間で火打山山頂着。人気の山なのか、山頂には既に登山者でいっぱい。ここで焼山縦走に必要なエネルギーを摂取するため、大休止。12年前に見た山頂景色もこんな景色だったかな、と感慨深い。
登山者は登って来ては下りてゆくが、誰一人として焼山方面へ行かない。う~む、やっぱり焼山のついでに火打山を登るという登山者はいないのだろうか。
出発前に記念に山頂標識を撮る。山頂の向こうは日本海。ここより北に高い山はない。

焼山縦走(火打山山頂 08:20 ~ 11:10 焼山)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 25mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

20分ほど休んで、いざ焼山へ。火打山山頂から下山口の杉野沢橋まではすべて破線ルート。ロングルートの半分以上破線ルートとは、これから待ち受ける困難に耐えられるか、心配ではある。

影火打への下りで始まるが、火打山~焼山の破線区間は、450m下りて400m登り返しのため体力は消耗するが、草こそ生い茂ってはいるものの危険個所もなく、歩きやすくそれほど困難なルートではなかった。この区間は、ルートが草に覆われ幅は狭いものの、土の道で段差や岩が少なく、道を確かめながら歩幅を小さく歩けば膝への負担も少ない。

一度下って、影火打ちへの登り返し。お花畑までとはいかないが、お花が結構咲いている。アザミがちくちく刺さる。長袖の方がガシガシいける。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 42mm f11 1/100sec ISO100 PLフィルター

誰もいない静かな稜線を、ピラミダルな焼山を正面に見ながら、ところどころ咲くお花を楽しみながら歩いてゆくのは、なかなか素晴らしい。この景色は、火打山から焼山へ進んだ者だけが楽しめる景色だな。思った通り撮りでがあって、このルートを選んで正解だった。しかし歩けど歩けど、なかなか奈落の底が見えない。どこまで下ろされるのだろう。まだまだ奈落の底に下ろされる。

振り返ると、はるか頭上に影火打のピークが聳え立っている。眼前に迫る焼山に山頂に至る登山ルートを探すが、進むべきルートがよく見えない。理由は後から判明するが、藪道なので遠くからはルートが見えないのだ。w

 

10:10 火打山から2時間かけて、ようやく奈落の底、胴抜切戸まで下り切った。ここから焼山まで400m登るだけ。しかし胴抜切戸から焼山へ登る区間が、急登なうえ藪が深い。重力に逆らって体を上へ持ち上げる際に、背丈を超えるような藪が抵抗になって煩わしい。背丈に近い藪を掻き分けていく。遠くから見ると登山道が見えなかったのがうなずける。頭上からは夏の日差しが降り注ぎ、急登のハイクアップで体温は上昇。熱中症要注意区間だ。

モーレツな急斜面。振り返れば影火打。火打山は雲に隠れた。ところどころお花が現れてくれるのが嬉しい。
足場はそれほど悪くはないので、ゆっくり進んでも急勾配なので順調に標高を稼げる。山頂付近は、部屋の大きさくらいのサイコロステーキのような大岩が点在する。この大岩が遠くから見ると、焼山山頂付近にポツポツ見えるんだな、となんか納得。

焼山山頂(11:10-12:00)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/50sec ISO100 PLフィルター

11:10 藪道から草原に変わり、足元に咲くお花に迎えられると、ほどなく稜線に到達。あともう少しだ!息が切れるというか、暑い。すぐに焼山山頂。沸き立つ白い雲と、青い空と日本海でいっぱい。ようやく辿り着いたよ!焼山。火打山からちょうど3時間でコースタイム通り。雲が湧く前に、火打山と焼山登頂できた。
振り返れば、湧き上がる雲に見え隠れするピラミダルな火打山。450mダウンして400mアップ、なかなかのキレット超えだった。稜線歩きというより、なんだか2山登った感じかな。

誰も来ないかと思った焼山山頂には、ポツポツと登山者が登ってくる。聞くと、焼山最短ルートの笹倉温泉から登ってきたとのこと。笹倉温泉からは、BCスキーで登ってみたいけれど、雪のある時期に日本海側の登山口に辿り着くことすら難しいから、冬に焼山に来ることは難しいだろう。
晴れているうちに、焼山からの360度の展望を撮って、今日のミッションすべて完了。後は杉野沢橋までの沢沿いの破線ルートを無事に下山するだけだ。このルートがコースタイムが、下りなのに5時間10分と異様に長く、渡渉も何度かあるようで気が抜けない。

焼山下り(焼山山頂 12:00 ~ 16:50 焼山登山口)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/50sec ISO100 PLフィルター

12:00 準備を整え、下山開始。持参した水は500mlのペットボトル✕3本。火打山までの登りで1本、火打山~焼山までの縦走路で1本消費し、残りは1本だけ。気温は標高を下げるにしたがってさらに上昇し、水分がやや心もとない。

焼山からは、どっしり構える金山を見ながら、ガレガレの滑りやすい森林限界上の斜面を下る。超ガレガレ。疲れた脚にくる。頑張って標高を下げるも、泊岩までも立派に時間がかかってしまった。

森林限界に達し灌木帯の中に入ると、そこはまた破線ルート。火打山~焼山間の比較的歩きやすい道と異なり、こちらは岩混じりのガタガタな狭い登山道。とても歩きずらいうえ、藪も強烈。そして富士見峠まで微妙にアップダウンがある。灼熱の暑さも加わり、さらに消耗戦の様相を呈してきた。

泊岩分岐~焼沢の水場までも藪が深い。背丈を超える草に覆われて、掻き分けるのも体力を消耗するうえ、藪山過ぎて気分が激しくめっそりする。こんな山深いところでこの藪で道迷いしたらどうするのだろう?とか思うとまだまだ気が抜けない。
展望が開けたところで最後に焼山の山頂を見上げる。大変なルートだ、焼山。もう来ることはないだろう。二度と来たくありません。w

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/10sec ISO100 PLフィルター

14:30 手持ちの水が乏しくなり、頼みの綱は焼沢の水場となる。水を節約していたが、緊急用のゼリー飲料を残して、焼沢手前ですべて飲み切ってしまった。藪の九十九折をこれでもか!と下りると、ようやく焼沢の水場に到着。助かった。夏山のロングルートで水1.5リットルは、水場を考慮して少なかった。

水の心配はなくなったので、残りの心配事は渡渉だけ。渡渉が入ると、渡渉できるかどうか?という問題もあるが、渡渉の前後で道を見失いやすいというリスクもある。渡渉が入るルートは、極力ナイトハイクは避ける。有視界でも分かりづらいルートは、夜間どんなに強力なヘッドライトとGPSを持っていたとしても分からないものは分からないからだ。

焼沢の水場を過ぎると、背丈を超えるような藪は薄くなり、登山道っぽくなり少し安堵。少し進むと、藪が狩り払われていた。これで道迷いリスクもほぼなくなった。有難やありがたや。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 34mm f11 1/5sec ISO100 PLフィルター

渡渉は3ヶ所あった。さしたる幅はないが、パッと見、靴を濡らさずに渡れる水量ではない。残りの行程もあと僅かだし、靴を濡らすのを嫌って脱着を繰り返すのも面倒だったので、登山靴のまま渡渉することにした。ザブザブ渡った方が、滑る石の上をおっかなびっくり渡るよりよっぽど安全だ。
最初の渡渉は、金山谷に出る前にあった。この沢の渡渉は水温が低く、ゆっくり渡っているだけで足の感覚がなくなっていくくらい冷たく気持ちよかったが、残りの金山谷の渡渉はぬるかった。

渡渉と道迷いの心配もなくなったので、後は完全な消化試合と思ったが、杉野沢橋までの下りのコースタイムが異様に長い。日も傾きつつあり早く帰りたいのだが、なんでこんな時間がかかるのだろう?
地形図を見ながら歩いていくと、その答えはすぐに分かった。沢沿いのルートで支流が合流するので、そのたびに沢に下りて沢を超えたら高巻きに入る、という繰り返しなのだ。もう後は下るだけ、と思っているところに、上りが何本も入るものだから、ロングの終盤に面倒くさいくらいに体力を削ってくれるではないか。

16:50 さすがにヘトヘトになって、焼山登山口着。車で笹ヶ峰登山口にデポしたチャリを回収して登山終了。
火打山~焼山の周回ルートは、火打山山麓の高層湿原から焼山までの山岳展望を楽しめ、藪歩きと渡渉で山深さを感じさせてくれる魅力的なルートだった。藪歩きとロングルートが苦手な人にとっては、まったくおすすめできない厳しめのルートかな。
翌日はチャリ登山3山目として、赤岩尾根からの鹿島槍ヶ岳を考えていたけれど、膝と足首がもたないので、今年の夏山登山は焼山で終了した。

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