名山ハンターではないといいつつ同じ山に何度も登っても変化が少ない、ということで合間合間に地道に登ってきた300名山。残りはもう本州に5つしか残していないということで(北海道に11w)、かなり最後まで後回しになっていた鍬崎山。
自宅から350kmと遠いうえに、北アルプスの端にあって地味。そして標高差1,500m弱もあり、なかなか手強く簡単ではない。一応北アルプスということで、紅葉の時期に登ったら綺麗だろうか。紅葉の時期を合わせて、今度こそ鍬崎山へ。
登山ルート
〔距離〕15km/〔累積標高〕1,850m
〔山行〕7時間/〔休憩〕1時間40分〔合計〕8時間40分
山行記録 2024年10月20日(06:30-15:10)
登り(06:30 あわすのスキー場 ⇒ 10:10 鍬崎山)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f8 1/50sec ISO100 PLフィルター
夜な夜な350km走って、滅多に来ない北アルプスの裏側の富山へ。途中通過した上高地がなんだかとても近くに思えてくるほど。w
登山口のあるあわすのスキー場に到着すると、なんと小雨。今日の天気は曇りのち晴れのはず。なんで雨降ってんねん。雨の登山なんて御免こうむりたいので、雨が止むのを待って1時間ほど仮眠。
06:30 夜が明けて周囲が明るくなってもまだ小雨が降っている。今日は鍬崎山登山の後に、せっかく遠隔地まで来たのだから、有峰湖一周サイクリングをしたく早く下山したいのだ。これ以上待っても行動計画に支障が出るので登山開始。いつもナイトハイクだから、明るくなってからの登山なんて新鮮だ。
つい先日、野生の猿軍団に囲まれて格闘し、野生動物の恐ろしさを知った。鍬崎山は登る人が少ないだろうから、チリチリ五月蠅いが、スタートからクマ鈴を装着する。
登山口から導水管が上空に延びる。導水管の横の階段を上れば早そうだが、今回初めて来た山。この先どうなっているのか分からないので、大人しく九十九折れの登山道を進む。
07:20 スタートして50分ほどで貯水池。撮るものがないので、なかなかよいペースで上がってこれた。このペースでスタートの遅れを取り戻したい。
ときどき小雨が降る中、急登を順調に標高を上げる。霧の中に、まだまだ小さめの立山杉が伸びる。周囲は綺麗なブナ林。森を撮るに曇天や小雨の方がしっとり撮れてよい。
急登を登っていくと、左前方横からドスンドスンと大型生物が移動してくる大きな音がする。急いでリュックに付けたクマ鈴をかき鳴らすと、気配はスっと消える。この重量級の移動音は、何度も遭遇しているクマに間違いない。シカやカモシカならば、普通ドスンとは音はしない。クマ鈴の音が聞こえなかったのだろうか。とりあえず遭遇しないでよかった。
クマと遭遇・ニアミスした11山目の山とカウントしておこう。
08:10 標高差800mを順調に上り詰めて、あわすの分岐に到着。ここまでで1時間半経過。ここで行程の約半分か。なかなか簡単には登らせてはくれない。あとは細かなアップダウンを繰り返しながら、鍬崎山山頂に向けて標高を上げていく。
北アルプスだからと期待していた紅葉は、霧の中で遠くまでは見渡すことは出来ない。期待したほど紅葉が綺麗というわけでもなかった。そこはかとない紅葉の稜線は、だんだんと傾斜を増してゆく。所々巨木が見られて楽しませてくれる。ブナの紅葉が綺麗。一ヶ所鎖場があるが、大したことなし。
山頂に近づき時間は経過すれど、天気はいっこうに回復の兆しを見せない。天気予報大外れか?と思い、電波が入ったので近くの立山室堂のライブカメラを見てみると、立山はなんと雲一つない快晴。とすると今いる鍬崎山は雲海の下なのか。立山室堂の標高が2,450mで鍬崎山山頂が2,090mなので、標高差が400mほどある。鍬崎山山頂は、雲海の上に出ているだろうか。
もうすぐ山頂というところで、急激に雲が消え、青空が見え始める。
鍬崎山山頂(10:10 ⇒ 11:00)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/125ec ISO100 PLフィルター
10:10 ほぼノンストップ、3時間40分で鍬崎山山頂に到着。山頂から30mくらい下が分厚い雲海で、鍬崎山山頂だけがかろうじて雲海の上に出ている状態。なんだこの天気は?雲海から出るなんて、ここは富士山か。もしかしたら負け戦かもしれないと思っていたところ、山頂だけ快晴。はるばる訪れた遠征先の登山が報われてホッとした。
それにしても立派過ぎる雲海だ。山頂には橙色と赤色の紅葉が残っていてくれた。雲海と剱・立山に紅葉を絡める。撮る方向を変えれば、紅葉と雲海と薬師岳。山頂標識が入っているのも良いかも。二度は登らないと思われる鍬崎山。紅葉を絡めた山頂風景がしっかり撮れてよかった。
それにしても、多くを雲海で埋め尽くされているということもあるが、山頂から見える山は、剱、立山、薬師岳、とその間の山々(行ったことなし)。遠くに頭だけ出す白山連峰。以上!撮れる山々は少なかった。w
11:00 昼食を摂りつつ大休止しながら待ってみたが、分厚い雲海はいっこうに変化がない。帰り道もしっかり標高差があるので、そろそろ帰りますか。下山開始。
下り①_立山杉群(桑崎山 11:00 ⇒ 13:20 瀬戸蔵山 )
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f8 1/6sec ISO100 PLフィルター
山頂から少し下りるとすぐに雲海の中に入る。登りと同じく、曇りときどき小雨。上空は快晴なのに、なんじゃこの天気?山に登っていれば、雲海なんか珍しくもなんともないが、だいたい早い時間に雲海は消えていくもの。今日はしっかり上空をパックしてくれて消える気配がない。雲海の上と下では天と地ほど差がある。
紅葉の稜線の撮影を期待していたが、晴れないものは仕方がない。霧でしっとりした紅葉を撮影しながら下る。
しばらく下りると、登山道脇に巨大な立山杉が1本生えている。太い根と幹から幾重にも枝を貼りだしていてお見事。登りはあまり上を見ていなかったのか、この立山杉が生えているのを気付かなかったらしい。w ブナの巨木もあり。
12:45 大品山まで戻ってくる。復路は瀬戸蔵山経由で下山し、龍神の滝を撮影して帰るため、瀬戸蔵山方面へ向かう。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f6.3 1/6sec ISO200 PLフィルター
大品山から瀬戸蔵山の間の稜線は、巨大な立山杉が目立ち始める。次々と巨木が現れてきて楽しませてくれる。なんだ、ここは屋久杉ランドか?
13:20 立山杉を撮影しながらでガクンとペースが落ちる。ようやく展望のない瀬戸蔵山に到着。瀬戸蔵山からのあわすのスキー場までの登山道は、滑り止めが付いた階段になっており、比較的歩きやすい。よく見ると砂利を固めて木材に張り付けている。多くの山を登ってきたが、こんな階段初めて。滑らず有難い。
さらに標高を下げていくと、再び巨大な立山杉が現れ始める。ひと際大きいのが、看板が立っている龍神の大杉(たつがみのおおすぎ)。途中から多く枝分かれをして天を衝くよう。これは迫力あるね。さすが名前が付いているだけある。
その下にも名前が付く巨木が続く。松尾山の大杉とある。下から見上げると、幾重にも張り出した枝に凄まじい生命力を感じる。ここまでの巨木って、山を歩いていてもなかなか見ることができない。まるで屋久島に来ているかのようだ。
やっつけ300名山かと思っていたが、山頂展望以外にもこんな巨木で楽しめる山だったとは。これは巨木好きには楽しいかもしれない。
下り②_龍神の滝/百間滑(瀬戸蔵山 13:30 ⇒ 15:10 あわすのスキー場)
EOS R5+RF100-400mm F5.6-8 IS USM 236mm f8 0.3sec ISO100 PLフィルター
巨木の立山杉エリアのすぐ下には、向かいの岸壁から龍神の滝(たつがみのたき)が落ちる。落差40mで結構な落差がある。少し遠いので、100-400mの超望遠で切り取っていく。日が差さず暗い状況だが、優れた手振れ補正機能で、なんとかギリギリ手撮りでスローシャッターが切れる。手振れ補正機能の進化で、三脚を持ち歩かなくてよくなったのが非常に助かる。
下流側にも同じくらいの落差を持つ滝が落ちる。木々に隠れて見えにくいので、ここも超望遠で撮影。
さらに下流に行くと、200mに渡って岩肌を流れる百間滑がある。沢を渡る吊り橋あり。吊り橋の上から百間滑を綺麗にとることができる。立山杉の巨木だけでも楽しかったが、さらに滝3本も撮れるとは。なかなか楽しい。
15:10 百間滑からすぐにあわすのスキー場に下山。あわすのスキー場では屋外イベントが開催中。ヤギもいた。
山頂展望だけでなく、立山杉の巨木に滝と、なかなか撮るものがあって楽しませてもらった鍬崎山。やっぱり山は登ってみないと分からない。