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shibawannkoの撮影山行

初チューブレス化にあわせてマクハルシーラント導入! ~意外と簡単にできちゃった話~

自分がロードバイクに求めるものは、”いかにして快適に(そしてできれば速く)走れるか”、と言うこと。
快適性を求めて換えられるパーツはすべて換えてきた。しかし快適性を一番大きく左右するタイヤに関しては、液体シーラントの取り扱いの煩雑さを敬遠して、チューブレスレディタイヤ(以下「チューブレス」)に踏み切れずに、32cのクリンチャータイヤに留まっていた。

チューブレスってそんなに乗り心地よいの?と、ずっと気になっていたところ、マクハルというタイヤ内部に薄いゴム膜を形成し、液体をタイヤ内部に残さない画期的な製品の存在を知る。

チューブレスと言ってもクリンチャー+軽量TPUチューブと比べれば重量増になるし、どうしようか?と迷っていたけれど、結局は試してみるしかないとのことで、チューブレスタイヤとマクハルを試してみることにした。

 

マクハル施工

① 新品タイヤの導入

マクハル施工は、新品タイヤへの施工が推奨されている。今回は初めてチューブレスを試すため、この点はまずクリアー。

「チューブレスタイヤはクリンチャータイヤより乗り心地が良い」とのことなので、今まで使っていた32cのクリンチャーからワンサイズ落とした30cのチューブレスでも快適性は保たれるであろうとの予測と重量増を嫌って、GRANPRIX5000 STRの30cに決定(以下「GP5000」)。

今まで使っていた、GP5000のクリンチャー32cの重量が285gに対し、STR30cの公称重量は300g。タイヤ1本で15g、2本で30gの重量増はやはり気になる。

ホイールは新たに導入した、FULCRUMのSHARQ。ワイドリム(リム内幅は25mm)を採用するうねうねホイールだ。
これはレース直前の2ヶ月間で猛特訓して、なんとか富士ヒルでブロンズを獲得できた自分へのご褒美。 ディープリムのうねうねホイールに憧れていて。w

SHARQはチューブレス用リムで、ニップルホールがないホールレスリムとなっている。ニップルホールがなくリムテープを貼る必要がないため、チューブレス導入の1つの不安要素が消えてくれる。
もしニップルホールがあるホイールで、リムテープを貼らなければならなかったならば、チューブレスにしようとは思わなかったと思う。

② タイヤとホイールのリムの脱脂

まずはタイヤとホイールの脱脂から。マクハル製造元であるfujichikaのマクハル施工方法によれば、タイヤの裏面とビード部をしっかり脱脂するとのこと。油分や汚れを徹底的に除去することがマクハルの定着に非常に重要なのでしょう。

「マクハルを垂らして弾かなくなるまで」とのことだが、どのくらい時間をかけて脱脂すればその状態になるのかが分からない。
”雑に脱脂して空気漏れして最初の工程に戻る”とか最低なので、念には念を入れて徹底的に脱脂していく。パーツクリーナーをかけて、布で強く擦ると布が黒く汚れる。これが脱脂した油分か。手で強く圧をかけて擦っていたら指の皮が剥けてマジ痛い(涙)。
途中から戦法を変えて、シリコン製の猫ブラシを布に当てがって擦ると、全体的に圧がかけられ手も痛くならずこれがよかった。

➂ 片側のタイヤビードとチューブレスバルブの装着

片方のタイヤビードをホイールにはめ込む。チューブレスタイヤと言えども、片側くらいは手でスムーズに入る。

次いでチューブレスバルブを装着する。何気にチューブレスバルブの装着自体が初体験。
バルブからのエア漏れを防ぐために、バルブの根元をパーツクリーナーで十分に脱脂した後、マクハルを塗ってからホイールに装着する。そして反対側からしっかりネジで増し締めする。

ちなみにチューブレスバルブをタイヤのGRANPRIXの「R」の位置に持ってくると、左右均等になっていい感じだ。w

④ タイヤ装着とビード上げ

もう片方のタイヤビードをホイールにはめて、タイヤを装着させる。
チューブレスレディタイヤはクリンチャータイヤに比べてビード部が腰がありしっかりしているため、タイヤの装着とビート上げの難航が予想される。

まずはタイヤ装着から。バルブのある所から手で圧をかけながら反対側までタイヤを寄せていき、最後は親指と掌で押し込むと、、、ハマった!タイヤレバーなしで手でチューブレスタイヤをホイールにはめることができた。
同じようにフロントタイヤをはめようとすると、こちらは固くて手では断念。最後の一押しはプラ製のタイヤレバーで押し込んで装着完了。ビード部分を傷つけずにハメられて一安心。

続いてのチューブレスタイヤのビード上げも初めてで、何もかも初めて尽くし。チューブレスはなかなかビードが上がらないとよく聞く。
真ん中の溝にビードが落ちていても、チューブレスで密着していて隙間はなさそう。このような密着状態なので、空気を入れるとビードが上がるのか?

ちょっと硬めだったフロントタイヤからフロアポンプで空気を入れていくと、空気が入っていく。滑りをよくするための石鹸水などは何も使わなかったが、普通に空気を入れていくと「パンッパパンッ」とビードが上がった。
次に手ではめられたリアタイヤを同じくフロアポンプで空気を入れていくと、こちらは空気が漏れているようでビードが上がらない。もう一度タイヤ全周が溝に入っていることを確認して空気を入れていくと、今度はビードが上がった。

ビードが上がらず作業が途中で中断するのが嫌だったので、事前にチューブレスタイヤ対応のブースター付きフロアポンプを用意していたけれど、ブースターは全く要らなかった。簡易なフロアポンプしか持っていなかったので、これはこれでよかったのだけれど。

⑥ マクハル注入

用意したのは、
① MAKUHAL業務用(520ml)
② ヌキトル
➂ 折り畳み式自転車用メンテナンススタンド
の3つ。

チューブレスタイヤを持っておらずシーラントを扱ったことがない人は、おそらくシリンジ(注射器のこと)も持っていないはず。
マクハル施工には、②ヌキトル(または代用品の注射器)は必須です。シリンジがないとそもそもタイヤにマクハルを入れることも抜くこともできないし、ビードやリムにマクハルを塗布するときにも使えるので重宝する。

まずはマクハルを注入するために、専用工具を使ってバルブコアを抜く。
ヌキトルを使って、適当に2回に分けて計120ccのマクハルを入れていく。
このときバルブが下に来ていたので、マクハルが溢れ出るというミステイク。注入したマクハルが溢れ出ないように、バルブを横方向に持ってきた状態で入れるのが正しい注入方法。

⑦ ビードとリムへのマクハル塗布

ここからが最初の脱脂と並んで、エア漏れを起こさせない重要な作業工程。
マクハル施工方法によると、「マクハルを注入して回転させた後、ビードを真ん中の溝に落として、リムとビード部分にマクハルを浸す」とあるけれど、ビードがホイールに密着していてマクハルがまったく滲み出てこない...。

急遽施工方法を変更し、ビード部とリムの両側にホイールをゆっくり回しながら直接マクハルを塗りつけていくことにした。このときヌキトルを使うとマクハルを塗布しやすく、ヌキトルが大活躍。このときは急遽ヌキトルで塗布したけれど、スポンジでも筆でも確実に塗布できるものであればなんでもよい気がする。

要はビードとリムの間にしっかりとマクハルを塗布して空気漏れを防ぐ必要があるので、ボタボタとマクハルがこぼれようとも直接塗布するこの方法が確実なような気がする。多少マクハルがこぼれようとも気にせず、必要十分に塗布した方がよいと思う。
下に落ちたマクハルは、ヌキトルで吸い取ってビード部への塗布へ再利用。それに飛び散ったマクハルは後でペリペリと簡単に剥がせるので、見た目ほど掃除は大変ではない。

マクハルは空気に触れるとすぐにゴム化し始めるので、素早い作業が要求される。既にスポークやホイールに飛び散ったマクハルが固まり始めている。
途中のマクハル塗布作業の様子などを撮影しておきたかったが、なにせ急がなければならないし初体験なので余裕なし。

十分にビードとリムの全周にマクハルを塗布し終えたならば、圧着させるためにすぐに空気を入れてビードを上げる。ビード部に付けたマクハルが滲み出てきて、しっかりくっついていそうで一安心。

⑧ マクハル膜の生成(タイヤ回転)

マクハルを注入し終えたら、タイヤをゆっくり回転させてタイヤ内部にマクハルの膜を生成させる。
マクハル施工方法では、「マクハルBOXを作って、ドライヤーの熱で温度を47度に保つときれいな膜が張れる」とのことだが、そんなこと忘れて準備していなかった。

温めればいいんでしょ?ということで、急いでドライヤーを持ってきて、タイヤに温風を当てながらタイヤを回転させる。もうに少し入念に事前準備しておけばよかったかもしれない。

⑨ 余分なマクハルの抜き取り

ここでホッとするのはまだ早い。入れたマクハルを抜き取り忘れては大変なことに。
ヌキトルを刺し込んで、余すところなくマクハルを吸い出す。

マクハル施工方法によれば、「抜き取れなくなった後も、ヌキトルの先端を平らな方に換えて抜き取るとさらに底に留まったマクハルを抜き取れる」とのこと。しかし、なにせ初めてのことでそして急いでいたし、そんなことを思い出すことなく、マクハル抜き取り作業はこれにて終了!

⑩ 仕上げ(カス取り)

バルブコアを戻して空気を入れて、空気漏れがないことを確認。
後は、あちこちに飛び散ってゴム化しているマクハルをペリペリ剥がせば施工完了。盛大に垂れたマクハルも、ゴム化すれば簡単にはがすことができるが、タイヤとリムの間に挟まったマクハルはなかなか取れない。爪楊枝で掻き出してみたり、若干の根気が必要。

 

 

軽量化(重量増)

マクハル施工前の後輪の重量が1,450g。
マクハル施工後の重量が1,468gだったので、タイヤ内部で18g分のマクハルが膜を形成したことになる。

GP5000のクリンチャーと、チューブレスにマクハルではない他のシーラントを使ったときのおおよその重量比は以下のようになり、クリンチャーには30gほど及ばないものの、他のシーラントを使うよりかは20gほど軽量化できていることになる。

タイヤ タイヤ重量(30C) チューブ/シーラント 合計重量
GPX5000(クリンチャー) 255g TPUチューブ 35g 290g
GP5000  STR 300g シーラント40ml 40g 340g
GP5000  STR 300g マクハル 18g 318g

クリンチャー+TPUチューブには及ばないものの、チューブレスタイヤの数々のメリットを享受しつつかつ重量を最小に抑えられる点は嬉しい限り。

 

 

減圧

施工から丸3日経った時点で、ちょっと柔らかくなったかなくらいで乗れるレベル。まだタイヤもホイールも新品の初期段階なので、減圧傾向は今後の様子を見ていきたい。

少なくとも、翌日には必ず空気を入れなければならない、と言った感じではなさそうです。

 

 

最後に

マクハルシーラントの施工の特徴を端的に表すと、以下の2点でしょうか。
① ビード部へのマクハル塗布→タイヤ内部での膜生成→抜き取り等、マクハル独自の特殊な工程が多い
② マクハルは空気に触れるとすぐにゴム化し始めるのため、素早い作業が求められる

特に②の性質から、一度マクハルを扱い始めたら施工が完了するまで、途中で中断するというのは基本的にできません。なので、必要な道具は事前に揃えておくことと、作業手順をしっかり頭に入れてから作業するとよいでしょう。

1つ1つの作業を確実に行って行けばそれほど難しいものではないので、自身でチャレンジできる範囲かと思います。
初期施工さえしっかり行えれば、軽量化、空気保持性能、パンク修理性の高さなど多くのメリットがあるので、新しいチューブレスタイヤへ交換する際は、試す価値はあるかと思います。

  • B!