夏の花といえば、やっぱりひまわり。まだ行ったことがないひまわりの名所を探すと、津南ひまわり広場の情報をキャッチする。
新潟県?ひまわりだけのためにわざわざ新潟県まで行くか?と迷ったが、近くにある菜の花公園や他にも目的地を増やせば、遠征する交通費以上に楽しめるだろう。
津南町でお立ち寄りスポットを探していると、津南町観光協会公式サイトで「津南・中里エリアのサイクリングコース」が出てきた。芸術祭作品を巡るなんて、これまた乙なサイクリングコースじゃないか。
というわけで、津南ひまわり広場とサイクリングコースを辿ってみることにした。
自然豊かな津南・中里エリアを巡る爽快サイクリングコース - 津南町観光協会公式サイト
走行ルート
津南ひまわり広場 走行データ
〔獲得標高〕650m
〔平均スピード〕17km/h
2025年8月16日(07:00-10:50)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/25sec ISO100 PLフィルター
07:00 東京側から一番手前にある《芸術祭作品N-028》内海昭子「たくさんの失われた窓のために」からスタート。
作品は桔梗原うるおい公園内にあり、駐車場はあるがトイレはなし。田園地帯にポツンと現れる癒しスポットといった感じだ。綺麗に石と水辺の植物で作られえたビオトープの向こうには、それらしいものが見える。
設置されている階段に登り、窓を覗いてみる。透けたカーテンの向こうに田園と集落の里山の風景が見える。
「たくさんの失われた窓のために」とあるが、意味深なタイトルだなぁ...。理解が及ばないんだけれど、まだ今日は始まったばかりだから、とりあえず戻ってきたら考えてみよう(笑)。
後日調べてみた。
内海昭子「たくさんの失われた窓のために」
(越後妻有 大地の芸術祭2025より引用)
公開期日がきまっているらしい(2025/4/26-11/9)。この期間を過ぎると見れなくなってしまうのだろうか。よいサイクリングスポットなのに...。
スタートから芸術に心を奪われつつ先に進むと、さすが米どころ新潟県。一面に広がる田園地帯に感動!神奈川県ではなかなか見れない規模だ。車通りの少ない素敵な田園地帯を走っていく。これぞサイクリング、と言う感じだ。
正面には赤い鳥居と、なにか巨大な構築物が見えてくる。これが次の芸術作品だろうか。近づくと、やはり次の目的地の芸術作品だった。
リチャード・ウィルソン「日本に向けて北を定めよ(74°33'2'')
(越後妻有 大地の芸術祭2025より引用)
とりあえず、近くの鳥居も大きければ作品もデカい!ピナレロF5と比べるとその大きさが分かる。
ただの直方体かと思いきや微妙に斜めになっている部分もある。なんの意図でこのような造形になったのだろう?前の作品以上に考えても分からない。おそらくそれが芸術なのだろう...、と勝手に解釈した。
とにかく、近くの鳥居も大きければ作品もデカい!ピナレロF5と比べるとその大きさがよく分かる。
ただの直方体かと思いきや、微妙に斜めになっている部分もある。どんな意図でこのような造形になったのだろう?最初の作品以上に考えても分からない。おそらくそれが芸術なのだろう…と勝手に解釈した。
とりあえず、目的の芸術作品とチャリを撮れて満足。
それにしても、この巨大な芸術作品を素通りして先に走っていったshibawanwanは、これをなんだと思ったんだろう?追いついて「さっきのが目的の芸術作品だ」と教えると、「何かが傾いているのかと思った」とのこと。
そりゃ傾いていたけどね、普通なんか気付くでしょ(笑)。
国道117号線に出て、深い谷となっている清津川渡る。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 26mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター
そのまま国道117号線を津南ひまわり広場方面へ直進せず、サイクリングコースに記載されているトヤ沢砂防堰堤へ寄り道する。
あの有名な信濃川を渡ると、緩やかなヒルクライムになる。ロードバイク初心者のshibawanwanにはちょうど良い勾配だ。
VANYAR PROを組み上げてから8か月間で、今回で稼働4回目とは。なんという不動車...。脇に見える社は十二社。
津南町に至るまでも、いくつものスノージェットをくぐる。光と影が織りなすスノージェットを走るのは雰囲気が良くて大好きだが、雪国の冬を思うと、本当に大変なのだろう。
信濃川から100mほどヒルクライムをすると、左手に見過ごすことができない異様な構築物が目に飛び込んでくる。これがトヤ沢砂防堰堤だ。
トヤ沢砂防堰堤
2011年4月に災害関連緊急砂防事業が採択された直後に、地震によって緩んだ地山に融雪・降雨が浸透したことによる2回の格大崩落が発生し、国道から上流側には役16万㎥の土砂が最大厚15mで埋積しました。
現地測量・地質調査結果等を踏まえ構造設計や経済比較した結果、砂防堰堤本堤は鋼製セル式堰堤を主構造として、一部右岸地山陥入部はコンクリート重力式堰堤、左岸側造成地山はINSEM-ダブルウォールはどちらも鋼矢板等鋼材で外枠を築造し、土砂を中詰めする構造です。現地崩積土砂を中詰土砂として有効利用し、建設残土を抑制します。
(立て看板より引用)
普通、堰堤って一直線だよね?
それが円柱で、しかも赤褐色で巨大なものだから、異様感が半端ない!先の芸術祭作品の不思議さに続き、3連発で度肝を抜かれる。ひまわりの前にお腹いっぱいだね。珍しいものが見れてよかった。
トヤ沢砂防堰堤の先には、芸術祭作品「最後の教室」の案内もあったが、この先の予定もあるので、今日はここで引き返そう。
引き返してすぐのところに、次の芸術祭作品、ニキータ・カダン「別の場所から来た物」がある。
ニキータ・カダン「別の場所から来た物」
ヴェネチア・ビエンナーレなどの国際展にも参加歴の多い、ウクライナの現代美術シーンを担う作家のオブジェ作品。鏡面仕上げの金属でつくられる本作は、子どもの遊ぶ公園をイメージしている。けれど、離れた場所からしか見ることができない「入ることのできない公園」であるという。それは、手の届かない幸福な空間であり、同時に、過ぎ去った幼年時代を想起させる場でもある。
(越後妻有 大地の芸術祭2025より引用)
しかし残念ながら閉業中で、近づくことができずに門前払い。作品は見れないが、信濃川発電所に送る導水路経由設備がごつくて、ラピュタっぽくていい感じだ。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 34mm f11 1/40sec ISO100 PLフィルター
次はいよいよメインの目的地、津南ひまわり広場へ向かう。国道117号線まで戻ることなく、県道49号線を南西に向かって走る。
国道117号線ではなく、地図を見て適当に選んだ県道49号線が大正解。国道と違って車通りの少ない道を、田園風景の中をゆっくり走れる。背景に見えるのは苗場山だろうか。
多少のアップダウンはあるけれど、ダウンヒルのときには遠くまで景色が見渡せてこれまた気持ちがいい。ダウンヒルを終えれば、再び一面の田園地帯。その奥には苗場山がそびえている。いやぁ、普段見慣れない風景というのはいい!”里の絶景”とでも言えばよいだろうか。
車で津南ひまわり広場まで直行してしまうのはもったいない。自転車で走ってこそ、津南の町を味わえるというものだ。
県道117号線に戻るために信濃川橋を渡るT字路にある公民館のような建物が、JR津南駅だ。ちょうど飯山線の列車を写真に収めることができた。一両編成のディーゼル車。これぞ旅情だね。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/30sec ISO100 PLフィルター
津南ひまわり広場は、地形図を見ればわかる通り、台地の上にある。標高差は約250m。「え、あそこまで登るの?」と思うほどのヒルクライムになる。
国道117号線から県道251号線へ左折すると、ゆるゆるとヒルクライム開始。県道251号線に沿って行くと遠回りになるため、内回りして近道したら、10度前後の立派な坂道になった。
shibawanwanが遅れるかと思ったが、意外とついてくる。パワーはないけど体重が軽いからだろうか。やはりヒルクライムはパワーウェイトレシオがすべてか。
台地に登り切ると、辺り一面に広大な農地が広がる。この開放感はなかなか味わえない。こんな場所を走れるのも、サイクリングの魅力。
雲は多く、苗場山など高い山々は隠れてしまった。途中池があり、大きな鳥が飛び立つ。
08:50 ちょうど開園時間に合うように、津南ひまわり広場へ到着。
先日の大雨で、すでに見頃を迎えていたエリアのひまわりはすべて倒れていた。しかし、一番最後に満開を迎えるエリアは、ちょうど見頃を迎えていた。
雲が多く、なかなか太陽が出てきてくれない。後は天気が回復して、日差しが戻るのを待つのみだ。
ひまわりには日差しと青空が不可欠だ。なかなか日が差さないので、天気が回復するのを待つ。この後の予定もあるので、じりじりしながら待っていたが、一向に上空の雲が取れない。
柔らかい日差しの下で写真を撮ったので、諦めて帰ろうとしたその時、完全に雲が取れて夏の強烈な日差しが戻ってきた。俄然ひまわりが輝きだす。やっぱりひまわりはこうでなくっちゃ!
EOS R5+RF100-500mm F4.5-7.1L IS USM 500mm f8 1/60sec ISO100 PLフィルター
最後に開花を迎えたエリアだからか、ひまわり畑の奥行きはイマイチ。すぐ後ろに農地が入ってしまう。そして、見る側の道路の位置とひまわりの咲く向きから、写真を撮る方向が限られてしまい、あまり変化をつけて多くのカットを撮ることができない。
どこでもドアや看板を入れてみたり。ひまわりと山が一緒に写るかと思いきや、苗場山はひまわりの向く方向と重なるため、一緒に撮ることはできない。絡むのは反対側の名もなき山?だけ。
はるばる神奈川から期待して来たのだが、家の近くの座間のひまわり畑で丹沢山を絡めた構図の方が、バランスはいいかもしれない。けれど、この広大な大地の開放感は気持ちが良く、それが最大の魅力だろう。
ひまわり撮影のために、わざわざ100-500mmの超望遠レンズまで担いでヒルクライムしてきたので、500mmで綺麗なひまわりを狙う。よし、今日もいい絵が撮れた。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/80sec ISO100 PLフィルター
10:00 次もあるので、さぁ帰ろう。通常、ひまわりの撮影は長くても30分以内で終わるのだが、天候の回復を待っていたら1時間以上かかってしまった。
ひまわりも適度なヒルクライムも楽しめて、サイクリングにはぴったりな場所なのに、サイクルラックには自分たち自転車2台だけだった。
帰りは登った分だけ爽快なダウンヒル。中津川を渡る前に十二神社があった。「十二」って何だろう?
中津川を渡って国道405号線に合流。ひたすら気持ちの良い田園地帯を走る。「自転車を始めてよかったな」と思えるような場所。サイクリングって本当に最高だな。
国道117号線に合流し、蛇行する信濃川に近づく場所にあるのが「信濃川の展望地」。蛇行する信濃川と田園地帯、外丸集落が美しい。
信濃川の展望台
この展望地では、信濃川の川筋が大きく抱く尾すること路が見られ、対岸に見られる外丸本村の基盤は、凝灰角礫岩という固い地層でできているため、容易に河岸を削ることができませんでした。そこで、信濃川は、流れる向きを東に大きく変え、津南小学校前の崖を削りつつ、北向きに流れを変えたことで、大きく川筋が曲がりました。
外丸本村付近は、信濃川の反乱に寄る土砂や田沢川の土石流による堆積物におおわれています。これらの堆積物は、粘土質の土壌で、信濃川がもたらした妖艶な養分を含むため、ひときわ美味しいお米が育ちます。
(案内板より)
へえ、新潟県のお米が美味しいのは、信濃川のおかげでもあるのね。
最後は国道353号線より手前側を曲がって、清津川を渡る。倉俣大橋の欄干には立派な縄文式土器が生えている。
10:50 桔梗原うるおい公園に戻ってゴール!
「たくさんの失われた窓のために」のカーテンが風にたなびき、気持ちの良い窓からの風景を見せてくれていた。
しかし今日と言う日はまだまだ終わらない。