山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

〔100名山〕笠ヶ岳 夏 ~笠新道から日帰りで行く奥飛騨の秀峰~

北アルプスで登ってない山も少なくなってくる中、今まで何度もなく穂高から眺めていた笠ヶ岳。
そうだ、そろそろ笠ヶ岳に行ってみよう。
歩行時間も長く標高差もあり、非常にハードということで今まで敬遠してきた笠ヶ岳。
夏真っ盛りのこの暑い中、やや正気とは思えませんが日帰りで行くことにしました。
ダメもとで妻を誘うと、意外にも行くとのこと。
日帰りで行く夏の笠ヶ岳をご紹介します。

shibawannkoのワンポイントアドバイス

〔難易度〕 最短の笠新道利用で、①CT13時間30分/②往復21km/③標高差1,800mの、M気たっぷりの体力勝負。
〔危険箇所〕なし
〔駐車場〕 新穂高温泉無料駐車場。ハイシーズンには無料駐車場は満車になるので、前夜到着が望ましい。
〔展望箇所〕抜戸岳からの稜線越しの笠ヶ岳がお勧め(早い午前中)。笠ヶ岳以外の各ピークはやや遠く離れる。
〔お花畑〕 杓子平手前。

山行記録 2012年8月26日

上り①(新穂高温泉 04:00 ~ 08:00 杓子平)

EOS5D MarkⅡ+EF24-105mmF4L IS USM 24mm f16 1/20sec ISO200 PLフィルター

日が昇って気温が上がり始める前にどれだけ標高を稼げるか、が夏山のポイントでしょうか。
コースタイムが13時間半くらいなので、逆算して2時に登り始め予定。
しかし移動で疲れて、2人とも寝過ごしてスタートが3時半になってしまった。
日の出前にスタートしてもこの日は湿度が高くてむしむし暑い。
全然涼しくない中、疲労と寝不足と暑さで朦朧としながらも、笠新道で標高を稼ぐ。

笠新道の中腹あたりで日が昇る。
朝日を浴びると、なんだかそれまでの疲労がリセットされるような気がする。
日の出前から登り始めると体力の消耗を抑えられ、曇る前に山頂に到達することができる。
さらに帰りの高速が渋滞する前に下山できることも。
ナイトハイクいいかもしれない。
特に夏場は非常に有効です。

日が昇るにつれジリジリと気温が上昇してくるのが分かる。
気温が高くなる前に少しでも標高を稼いでおきたい。
標高を上げるにつれ、南方の焼岳と乗鞍岳が高さを増してくる。
森林限界を超え、ひたすら続くつづら折りの登山道で標高を上げると岩峰が飛び出してくる。
その岩峰の手前はお花畑が広がっている!
時期が遅く花はやや終わりかけでしたが、それでも青空をバックに数種の高山植物が咲いている。
ああ、ここまででも頑張った甲斐あったかな。
もう少し早い時期に来ればもっと花も多いのでしょう。

08:00 杓子平着。
吐きそうな急登につぐ急登が突然終わり、広々とした台地に飛び出す。
はぁ~、暑い!疲れた~~~。
っと安堵の深呼吸をするも、目に飛び込んできたのは大きな谷を挟んで遥か向こうに見える笠ヶ岳。
ええ~~~~っ!何だこの谷は?
笠ヶ岳の頂上に行くためには、目の前に広がる大きな穴毛谷を巻いて行かなければならないのだ。
笠ヶ岳が果てしなく遠く見えるさ。
とてもここからコースタイム2時間で着く距離には見えない。
妻とキャーキャー言っていたら、稜線から下りてきた登山者の方が苦笑していた。

上り②(杓子平 08:30~ 09:30 抜戸岳)

EOS5D MarkⅡ+EF24-105mmF4L IS USM 58mm f16 1/30sec ISO200 PLフィルター

奥飛騨の秀峰はそんな簡単な山ではなかった。
小休止を挟み、気合を入れなおして抜戸岳を目指して標高を上げていきます。
杓子平からは開けた展望のある道を行くので、非常に気持ちがいい。
特に南側の展望が開け、杓子平の奥にはゴツゴツの錫杖岳から乗鞍岳が見える。
あの錫杖岳、行ったらおっそろしく疲れるのでしょうけれど、怖いもの見たさで一度行ってみたくもある。
既に1,300mの標高を稼いで疲れた身体ですが、素晴らしい景色で元気が出てきます。

今日の目的は、笠ヶ岳登頂よりも、抜戸岳の稜線から笠ヶ岳を撮ること。
早く稜線に出ないと雲がわいて撮れなくなってしまう。
猛烈な暑さ中、朦朧となりながらも休まず抜戸岳を目指す。
09:30 抜戸岳着。
ああ、雲がわく前に着いた~~~。
今まで見えなかった北側の展望も広がり、広い裾野を引く薬師岳まで見える。

縦走(抜戸岳 10:30 ~ 11:30 笠ヶ岳 ~ 新穂高温泉)

EOS5D MarkⅡ+EF24-105mmF4L IS USM 55mm f16 1/30sec ISO200 PLフィルター

抜戸岳から笠ヶ岳へ連なる緑と白の稜線が美しい。
その稜線の奥には笠槍がどっしりと構えている。
ああ、なんて美しい光景なんでしょう~。
ガスが断続的に湧き始めるも、目的の抜戸岳からの笠ヶ岳を撮ることができました。
槍穂高と比べると、なかなか気が向きにくい笠ヶ岳ですが、一級の山岳展望です。
素晴らしか~~~!
ガスもわき始め、山頂に到達するころにはガスに覆われてしまいそう。
大休止がてら、抜戸岳から気が済むまで写真を撮ることにしました。

北アルプス最深部はまだ行ったことがない山々が連なる。
もうだいぶ雲がかかってきている。
ここはまだ晴れているだけ幸運だな。
普段見ない抜戸岳からの槍ヶ岳は斬新です。
ナイフリッジのように鋭い西鎌尾根の先に、槍ヶ岳の大槍と小槍が仲良く並ぶ。
南北に連なる穂高連峰はギザギザそのもの。
今の時間は半逆光ですが、笠ヶ岳からは午後の斜光線で見ると素晴らしいのでしょう。

灼熱の3,000mの稜線上で1時間も居座っていました。
笠ヶ岳も完全に雲に覆われました。
でもいいです。目的のものはしっかり撮れたから。
さてそろそろ笠ヶ岳のピークハントに向かいましょう。

稜線を行くとすぐに稜線から飛び出た抜戸岩を通過します。
ちょうど登山道の所だけ岩が切れ込んでいて普通に通れたり。
目的を果たした後なので、気も楽で楽しい楽しい。

11:30 笠ヶ岳山荘を経て、2,897mの笠ヶ岳着。
既に雲に覆われて視界は奪われていましたが、真上からは真夏の直射光線が差す。
今日は尋常じゃない暑さで、3,000mの稜線は暑さと紫外線で30秒と留まることができない死地帯でした。
妻と二人で頂上に立った後は逃げるように笠ヶ岳山荘へ。
あまりの暑さで、頂上で写真を撮る余裕がありませんでした。
頂上の写真が何も残っていない。。。

後は1,800mの標高を落とすだけ。
杓子平までの展望あるルート上からは、どこを見ても雲上の楽園。
緑に覆われたカール地形の中、大岩が点在するアルプスの景色が美しい。
見ている分には綺麗ですが、暑さで気絶しそう。
杓子平まで戻った時には、もうぐったり。
新穂高温泉まで下りた時には、もう死に体でした。
日帰りでクリヤ谷から下山していたら、悶絶死していたでしょう(笑)。

夏の笠ヶ岳、思った以上に綺麗で素晴らしい山でした。
周辺の槍穂高や乗鞍岳みたいに、マイカー規制で交通機関に頼らない自由なところもよい点です。
しかし、今日は暑すぎた。

今日のお役立ちアイテム

笠ヶ岳は笠新道を使っても、①CT13時間30分②21km③標高差1,800mを超えるハードなロングルートです。
特に標高差1,800mの笠新道の急登は、膝に大きな負担がかかります。
このスペックの山を、なんの手当なしに突っ込むことはもう私にはできない(笑)。
急な傾斜がひたすら続くので、下りでは膝の保護にもバランスを取るにも、ダブルストックが非常に役に立ちました。

  • B!