山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

乗鞍・上高地サイクリング完全攻略《⑤編》上高地ヒルクライム ~周回すれば3倍楽しい!北アルプス絶景周回ルート~

①乗鞍エコーラインHC→②乗鞍スカイラインDH→➂平湯大滝HC→④安房峠ヒルクライム→⑤上高地ヒルクライムと、4つのヒルクライムを繋いで乗鞍完全攻略!周回すれば3倍楽しい!の最終章第五編。

乗鞍エコーラインをヒルクライムして、乗鞍スカイラインをダウンヒルして平湯温泉へ降り立って、おまけで平湯大滝のヒルクライムを追加。安房峠ヒルクライムを経て、再度信州側の中ノ湯温泉ゲートにたどり着く。

さてさて、もう15時と遅い時間だけどどうしましょう?一度は上高地へ自転車で行って見たい。
今日を逃せばなかなか機会はないかもしれない。山には雲がかかっているけど、平地は晴れていて綺麗な大正池や梓川の流れが見れそうだ。
上高地はすぐそこ。この際だから上高地まで自転車でヒルクライムしちゃう?

上高地へは穂高連峰や周辺の山々の登山で、何度訪れたのか数えきれず。当初、冬期交通規制で通れない釜トンネルを歩く人たちは〇ンタイかと思っていたけれど、冬山に取り付かれて自分も釜トンネルを歩くこと数度。そして今度は自転車で走ることになるとは...。

海の日3連休で人人人でごった返す、夏の上高地へのヒルクライムをご紹介します。

 

走行ルート

乗鞍岳-上高地一周データ

〔距離〕87km
〔獲得標高〕2,800m
〔平均速度〕14.5kph

上高地HC(中の湯G-上高地)

〔距離〕約7km
〔獲得標高〕約160m
〔釜トンネル〕距離1.3km/平均勾配約11%

ロードバイクであれば往復2時間で上高地(河童橋まで)を十分散策できる。中の湯ゲートまで来たのならば、天気と時間が許せば上高地に寄った方が断然効用が増すのは間違いない。
☞ 長さ1,300mの釜トンネルと590mの上高地トンネルの2つのトンネルヒルクライムが、上高地への核心部
☞ 釜トンネルから国道158号線のダウンヒルは、連続するトンネル内の舗装の凸凹が核心部

 

走行記録 2025年7月20日(15:00-17:50)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 29mm f11 1/30sec ISO100 PLフィルター

15:00 中の湯ゲートから入ろうとすると、「釜トンネル初めてですか?」とマイカー規制を行っている交通案内係の人から呼び止められる。そして駐輪場や乗り入れ禁止エリア等の一通りの説明を受ける。
「(自転車では初めてなだけで)何度も行っているので大丈夫です!」と紙の案内図は邪魔になるだけなので受け取らず、そそくさと上高地ヒルクライムスタート。

上高地への道のりは、一番最初の釜トンネル(約1,300m)と続く上高地トンネル(約590m)の2つのトンネルの通過がほぼすべて
狭い歩道はあるものの、車道は道幅いっぱいの大型観光バスがガンガン通る。そして釜トンネル自体の勾配がとても急で平均勾配は公称11%。そのため、勾配11%の急坂をのノロノロと車道を走っていると、確実に大型観光バス往来の邪魔になってしまう。

往路のヒルクライム時には、ロードバイクであれば車道を走った方が良いと思う。狭いけれど走れなくはなく、大型観光バスの往来を気にせず(ギリギリ通るとかなり怖いが)、安心して走れるからである。ハンドル幅が長いマウンテンバイクは、歩道を走るのは難しいかもしれない。

いやほんとね、釜トンネル急ですよ。10%超えだから。それが1.3kmも続くものだから。この釜トンネルヒルクライムが最大の核心部。
やっと超えたと思ったら、次は上高地トンネル。最初は平坦だけれど、やはり最後は急な登りになる。しかし上高地トンネルは約590mと釜トンネルの半分以下なので、最後の上り坂を頑張るだけ。

釜トンネルと上高地トンネルの2つのトンネルを乗り切れば、もう別世界。穂高連峰の峰々が眼前に迫ってくる。
上高地バスターミナルまで多少のアップダウンはあるものの、特に走りにくいところはない。ただ道幅が狭く、大型バス同士のすれ違いができずにあちこちですれ違い渋滞が起こることと、路面がところどころ剥がれて段差があるので注意が必要。

トンネルを超えてすぐに、透き通るような青い水をたたえる大正池にたどり着く。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

登山者にとっては、上高地はいわば”聖地”。その聖地を自転車で自由に走れるなんて、まるで夢のよう。この感覚は、登山をやっていない人にはちょっと伝わらないかもしれない。w

大正池と穂高連峰が現れようものなら、テンション瀑上がり!まさかね、自転車で大正池まで来れちゃうとは。透き通るような青い水と穂高連峰と夏雲と青空の絵が美しすぎる!

15:30 しばらく走ると大正池ホテル。ホテルの脇から大正池に下りて散策ができる。
通常バスで上高地に来ると、その手前の大正池は行きも帰りもなかなか寄れない。大正池をじっくり楽しめるのは、歩いて釜トンネルを超える冬の時期だけかもしれない。

自転車を担いで大正池まで下りる。大正池越しの焼岳の雄姿が素晴らしい。焼岳の奥の安房峠を先ほど超えてきたとは、なかなか感慨深い。大正池の水は恐ろしく綺麗。

ここまで来たからには、なんとしてもチャリとの記念撮影を撮らなければ。川辺にあった大きめの石を支えにして、ピナレロF5と穂高連峰との記念写真。夏の強い日差しに照らされて、河原と夏雲が真っ白く輝いて美しい。頑張って上高地まで来てよかった。
今日の乗鞍エコーラインと安房峠のヒルクライムに比べれば、釜トンネルヒルクライムなんて大したことはない。中の湯ゲートまで来たのならば、天気と時間が許せば上高地に寄った方が断然効用が増すのは間違いない。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

静かな大正池だけでも結構満足したけれど、ここまで来たからには定番の河童橋まで見ておきたい。心地の良い木漏れ日差す上高地公園線を、上高地へ向けて走る。相変わらず大型観光バス同士のすれ違いで、すれ違い渋滞が起こっている。

15:45 上高地バスターミナル手前に駐輪場があり。ここから先は自転車の乗り入れ禁止。と言うことは、上高地らしい景色と自転車の写真を撮りたければ大正池付近で撮るしかない、ということになる。定番の河童橋は上高地バスターミナルから400mほど先になるので、河童橋と自転車の写真は撮れないのだ。

せっかくここまで来たので、上高地を散策する。駐輪場のある上高地バスターミナルから梓川沿いの遊歩道を歩いて河童橋へ。ビンディングシューズが歩きづらいけれど、この際仕方なし。

15:50 河童橋到着。想像はしていたものの、海の日3連休の混雑はその想像をはるかに超えていた。
河童橋の上には観光客がいっぱい。数えてみたら50人は橋の上にいた。橋の耐荷重大丈夫かな?w 河原には、涼を求めて梓川に入る観光客でいっぱい。
なにより驚いたのが、400m先の上高地バスターミナルからの帰りのバス待ちの列の最後尾がなんと河童橋まで伸びていたこと。ちょっとお気の毒だけれど、今日中に上高地から出れるのかしら、とか思ってしまう。
コロナが明けてからのオバーツーリズムが激しい。今日はほんと自転車で来てよかった。

上高地インフォメーションセンター内で涼みながら、しばし水分補給して小休止。
16:20 さて、そろそろ帰路へ着きますか。穂高連峰には雲がかかるけど、晴れている明神ヶ岳と河童橋と綺麗な梓川が見れてよかった。自分にとってやはり上高地は”聖地”だった。

自転車置き場に戻って、愛車に跨ってダウンヒル開始。もう漕がなくていいし、この自転車の気楽さがたまらなくいい。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

帰り際、名残り惜しいのでもう一度大正池ホテルへお立ち寄り。展望テラスがあったので、河原には下りずにテラスから大正池を眺める。木々の合間から透き通るような大正池が見える。やっぱり水がある景色って素敵。

軽快に走っていくと、上高地トンネルに差し掛かる。登りのときもそうだったが、チラホラとトンネルを歩いている人たちがいる。
少し話をしてみると、帰りのバス待ちが3時間半もかかるので、歩いて下りるとのこと。それはお気の毒に...。中の湯ゲートまで下りても、そこから沢渡まではかなりの距離があるけどどうするんでしょう?釜トンネルを冬期以外で歩く人って初めて見たかもしれない。

登りは勾配がきつくゆっくりしか登れないため、歩道を走ったが、下りは自動車以上にスピードが出せるので、歩道ではなく車道をかっ飛ばして下りる。
長さ1.3kmの釜トンネルも、ロードバイクで飛ばしたら通過するのに2分もかからななかった。ロードバイクのこの機動力が嬉しすぎる。
冬期に硬い登山靴を履き、重たい冬山装備を担いで歩いた大変さと比べると、笑ってしまうくらい楽。

16:50 中の湯ゲートを出てマイカー規制区域を脱出。大正池や河童橋など、これだけ楽しんで2時間で帰ってこれた。観光地にロードバイクって本当に相性がいい。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター

残すは中の湯温泉からの国道158号線の11kmのダウンヒルと、番所大滝まで5kmのヒルクライム。
もうメインのお立ち寄りスポットが終わってしまって残務処理かと言えばそんなことはない。この緩やかに下る国道158号線のダウンヒルが、最後のメインイベントだ。

11km直線のダウンヒルなんてそうはない。スピードは少し漕ぎ出せば軽く50kphを超える。楽しい、楽しすぎるよダウンヒル!
一気に下りるのがもったいないので、途中橋の上から梓川を見ると綺麗な渓谷になっていたりと、景色を思う存分楽しめる。こんな楽しみ方をできるのも自転車ならではだ。国道158号線の橋の上で、車を停車することは普通できない。

中の湯ゲートから約2km弱下ると坂巻温泉。冬期に霞沢岳に登る際に駐車場を使わせてもらおうと思ったが、結局沢渡から自転車でアプローチした霞沢岳登山が思い出される。

国道158号線をガンガン下っていくが、国道158号線のダウンヒルが初心者向きかと言えばそうではない。
まず交通量が多いうえに流れが速い。そして大型観光バスやダンプなどの大型車が多い。この時点で慣れていないと結構怖い。
加えて国道158号線の路面状態がとんでもなく悪い。舗装はひび割れや剥がれている部分が多く、特に断続的に続くトンネル内の舗装が極めて悪い。チェーンが飛んで外れるのでは、と思うくらいの強い衝撃を受ける。

今日はリム内幅25mmのワイドリムに30Cのチューブレスタイヤの振動吸収性・快適性Maxのタイヤ・ホイールセットで臨んできていたが、それでも路面から受ける衝撃は激しい。25c以下の細いタイヤではスピードを出すことが躊躇するくらいの路面の凸凹だ。

交通量が多く大型車が多く速度が速い。路面が悪く、連続するトンネル内はの路面は著しく悪い。そんな状況下で細いタイヤのロードバイクでダウンヒルするのである。
周りの自動車に気を配るのは当然のこと、場合によっては、道が悪いトンネル内などは、車に道を譲らず、速度を上げて車と同じ速度で通過した方が良い状況もあるかと思う。

そんな危ない路面凸凹トンネルゾーンも沢渡駐車場まで下れば解放され、道幅も広く走りやすくなる。どこまで走っても下り坂でダウンヒル。ダウンヒルはやはり正義だ。w

乗鞍岳へ向かう前川渡交差点が近くなってくると、梓川の川幅が広がり、湖みたいになってくる。
国道158号線のダウンヒルを終え、前川渡交差点を曲がって、スタート地点の番所大滝へ向かう。
最後のヒルクライム前に、真っ赤な前川渡大橋でエナジー補充の小休止。橋の上からは、夏雲と遠くの稜線が鏡面なった梓川に映り込んでいた。誰もいない静かな時間。今日出会った数々の絶景が思い出される。なんかすごい満たされた時間だ。

17:30 番所大滝へ向けて最後のヒルクライム開始。楽しいダウンヒルで終わりたかったのだけど、そうは問屋が卸さない。
前川渡大橋を超えて真っ暗な乗鞍口隧道と大野川トンネルの2つのトンネルを過ぎれば、徐々に勾配が急になる。
この2つのトンネル内の路面も、先の国道158号線のトンネル群に負けず劣らずのボッコボコ。快適性に全振りした自分のバイクじゃなかったら、振動による疲労がとんでもなかったと思われる。

番所大滝までのヒルクライムも、勾配はかなりきつい。最後まで温存していた力吐き出すかのように登る。
17:50 番所大滝着。今日の行程すべて無事終了!

乗鞍エコーラインと乗鞍スカイラインの2つの絶景山岳道路を走り、戻るために安房峠のヒルクライムを走破。そして観光地である平湯大滝と上高地への2つのヒルクライムを追加した絶景山岳ロングライド。
今まで登ってきた山々を見れた、ということもあると思うが、今まで走ってきた数多くのサイクリングルートの中で一番効用が高いルートだったように思える。
確かに獲得標高は2,800mを超えて易しくはないが、距離は87kmと100kmに満たない。コンパクトに絶景の山岳展望が詰め込まれたようなルートで、山好きにはたまらないルートだと思う。

山が好きか海が好きか、景色の好き好きは人それぞれだと思うけれど、これ以上に景色を楽しめるルートってなかなかないと思う。
高山植物が咲き緑が輝く夏の季節もよかったので、錦繍きらめく秋の季節もまた自転車で訪れたい。

 

 

槍ヶ岳・穂高連峰の山行記録


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