山岳写真を中心に花、滝渓谷、自転車、モータースポーツ、夜景等の分野で、美しいと感じた風景を写真と撮影記で紹介していきます。

shibawannkoの撮影山行

〔100名山〕赤岳_冬 ~チャンス到来!八ヶ岳連峰の燃える夕景~

降雪後2日目の八ヶ岳に晴れ予報がつく。
近年八ヶ岳に足しげく通うが、悪天で何かと相性が悪い八ヶ岳。
数年間虎視眈々と狙っていた、降雪直後の真っ白い八ヶ岳はこの日か!
さすがに①塔ノ岳→②毛無山と➂赤岳と標高差1,000m超の3連山は辛い。
しかし短い冬にそうチャンスは何度も来ない。行くしかない。

ルート/shibawannkoのワンポイントアドバイス

 

〔山行〕6時間 /〔休憩〕3時間10分 /〔合計〕9時間40分
【上り】赤岳山荘 10:20 ⇒ 12:20 行者小屋 13:00 ⇒ 14:40地蔵の頭 ⇒ 14:50赤岳天望荘 15:20 ⇒ 16:00赤岳
【下り】赤岳 17:40 ⇒ 17:50 赤岳天望荘 ⇒ 18:00 地蔵の頭 ⇒ 18:20 行者小屋 18:40 ⇒ 20:00 赤岳山荘

〔難易度〕①標高差1,200m②往復13km(赤岳山荘より)➂往復7~8時間の、油断のできない中級冬山登山。
〔駐車場〕最奥は美濃戸林道奥の赤岳山荘(1,000円/トイレあり)。
〔美濃戸林道〕①四駆スタッドレス、もしくは、②二駆スタッドレス+チェーンのいずれかは必須。
〔冬山装備〕Max氷点下15度に耐えられる極寒装備/スノーシューほぼ不要/ダブルピッケルだと安心感が増す。

山行記録 2021年1月31日(10:20~20:00)

上り①(赤岳山荘 10:20 ⇒ 12:20 行者小屋)

EOS5DsR+EF100-400mmF4.5-5.6L ISⅡUSM 120mm f11 1/80sec ISO100 PLフィルター

夜明けに横岳から赤岳の朝焼けを狙い、夕方まで晴れていたら赤岳から夕景か。
夜明け前に赤岳の稜線に到達することは並大抵のことではない。
極寒烈風の稜線で寒さに耐えられるであろうか?
それだけの時間と労力を費やして、はたして朝晴れるだろうか?
それ以前に、赤岳山荘までの林道を車高の低い車で登り切れるだろうか?
赤岳は大変そうだから、簡単な天狗岳にしておこうか?
冬山は直前になると不安に駆られて迷々迷走する。

ラストコンビニまで迷々するが、覚悟を決めて突っ込むことにした。
まずは赤岳山荘までの林道が立ちはだかる。
運転が難しいポイントは数か所ある。うち2か所は明確。
1つ目は、林道に入って橋を渡った次の傾斜が急な右カーブ。
急傾斜で駆動力をかけないと登れない一方、カーブで旋回力に駆動力が食われる。
2つ目は、赤岳山荘手前の長めの急斜面。
雪道に怖がってアクセルの踏み込みが足らないと、失速して登れなくなる。
どちらも運転のポイントは、助走をつけてある程度の速度で入ること。
今回も四駆+スタッドレス(ノーチェーン)で何とか赤岳山荘まで辿り着けた。
こんな車高の低い車は他になく、毎回のことながら冷や汗ものでした。
深夜到着にもかかわらず、駐車場は満車。あと2~3台の空きしかなかった。

肝心の天気はというと、晴れ予報なはずが八ヶ岳には雲がかかる。
今から登り始めて夜明けに稜線に達しても、晴れなかったら最低な結末だ。
極寒の稜線で数時間も雲が取れるのを待つことはできないだろう。
う~ん、朝焼け狙いはや~めた。
昨日から1時間くらいしか寝ていないので、とりあえず寝ることにした。

朝起きるとドス曇り。テンションだだ下がりだ。
八ヶ岳ライブカメラで確認すると、八ヶ岳全体が雲に覆われているではないか。
とりあえず朝突っ込まなくてよかったと安堵するが、これから本当に晴れるのか?
もう帰ろうかな...。

10:20 二度寝もかましてノロノロと準備を整えて出発する。
今日は完全な赤岳からの夕景狙いになった。
歩き始めるとすぐに青空が広がり始めてきた。
登山道の途中、青空の向こうに真っ白な神々しい阿弥陀岳が姿を見せる。
晴れている時間がもったいない。もうちょっと早く登り始めたらよかったかな。
時間があれば赤岳だけでなく阿弥陀岳まで行こうか、とかとか予定を考える。

12:20 赤岳山荘から2時間かけて行者小屋着。
おそらく今日の登山者でほぼほぼビリだろう。
多くの登山者がすでに登り終えて休んでおり、達成感に浸っていた。
行者小屋からは、周囲の山々が見渡せる。
今朝かかっていた雲のおかげか、樹氷の着きも申し分ない。
すべてが真っ白な雪と樹氷に覆われた峰々が神々しい。
この神々しさが人々を魅了してやまないのだろう。
重いので置いてこようかと思った超望遠で、真っ白い峰々を切り取る。

上り②(行者小屋 13:00 ⇒ 16:00 赤岳)

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 24mm f16 1/100sec ISO100 PLフィルター

13:00 次々と登山者が撤収していく中、準備を整えて地蔵尾根に取りつく。
装備は念のためダブルピッケル。
急斜面で杖のように交互に体重を支えることができ、安定感抜群。
近年、冬の赤岳では自分の標準装備となった。
地蔵尾根は雪が深いうえ急傾斜すぎ。捻挫の足首がそこまで曲がらないよ。
足痛いし心臓バクバクだけれど、青空に映える樹氷が綺麗すぎる。
何人もの登山者とスライドするが、なんて遅い時間に登ってるんだ?
と思われてるんだろうなぁ~、毎度のことながら思う。
自分からしてみれば、これからが最高の時間帯なんだが。
いや~、それにしてもこの急登辛いっす。
標高差1,000m越えの3連山目なので、足筋が死んでるんだろう。
急斜面に体がなかなか持ち上がらない。

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 41mm f11 1/250sec ISO100 PLフィルター

14:40 深い青い空が広がる地蔵の頭着。
樹氷と戯れ急登にあえいでいたら、すごい時間食っちまった。
阿弥陀岳まで行こうかと思っていたが、なんだか無理そうな時間だ。
赤岳頂上山荘は、コロナのため休業。
いつも休ませてもらっていた厳しい稜線上のオアシスがないのは心細い。
幸い今日は暖かく風も弱い。
こんな暖かい厳冬期の赤岳は初めてかもしれない。
それでも小屋裏で風を避けながら、地獄装備を着込む。
なんたって厳冬期の2,900mの山頂にこれから日没まで1時間半いるのだから。

赤岳山頂(16:00 ⇒ 17:50)

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 28mm f11 1/200sec ISO100 PLフィルター

16:00 ダブルピッケルでサクサク登って赤岳山頂着。
向かいの阿弥陀岳は逆光で黒くなっている。
阿弥陀まで行こうかと思ったけれど、また今度もっと明るいうちに行こう。
それに3連山でもうヘトヘトですよ。

誰もいない山頂かと思いきや、なんと岩稜を登ってくるクライマーがいる。
こんな所を登ってくるとは、しかもこんな時間に。凄いね...全く真似できない。
しばらくするとクライマーが3人上がってきた。
それと同時に、今日の目的の八ヶ岳連峰の夕焼けが始まる。
赤岳からの夕景は見たことなかったけれど、なかなか素晴らしい。
八ヶ岳の峰々が並び、雪を纏った西斜面がすべて真っ赤に染まる。
とりわけ硫黄岳~天狗岳の重なり具合がいい。

今日は風が弱いといってもそこは冬の2,900m。氷点下8度の強風。
普通にとってもブレまくる超望遠レンズなんぞ使えないかと思いきや、
山頂標識の裏に伏せると風を避けられ、相当の確率でブレずに撮れたり。
わざわざ1.5kgの重量物を山頂まで担ぎ上げたことが報われてよかった。
こうなったら超望遠レンズで切り取りまくり大会。
すぐ後ろではクライマー3人が登頂の喜びを分かち合っていた。
邪魔になってゴメンナサイネ。
ボコボコに険しいの横岳の稜線の奥には、真っ白くなった浅間山プリン。
硫黄岳もアップにすると、のっぺりした山頂とボコボコ斜面が面白い。
八ヶ岳の端まで行くと蓼科山が雪をかぶってこちらもプリン状態。

EOS5DsR+EF100-400mmF4.5-5.6L ISⅡUSM 100mm f11 1/10sec ISO100 PLフィルター

反対側の南側は、キレットの向こうに権現岳と南アルプの山々。
このキレットの通過が難しいらしい。まったく行ってみたくもない。
少し離れたところに、ぽっかり富士山が浮かび上がる。
ここ数年ずっと狙ってきた八ヶ岳の夕景がようやく撮れて感無量だ。

西の山の端に夕日が沈むと、八ヶ岳から急激に色がなくなっていった。
3人のクライマー達はものすごい勢いで、文三郎道方面へ下山していった。
帰ろうすると、北アルプスがピンク色の残照の中に浮かび上がっている。
いや、まだまだ帰れない。
これまた超望遠で北アルプスの山並みを切り取っていく。
この角度から見る北アルプスの山々が険しく、まるで日本の山ではないようだ。
北アルプスを端から端まで撮り終えて、今日の撮影終了。

下り(赤岳山頂 17:40 ⇒ 赤岳山荘 20:00)

EOS5DsR+EF100-400mmF4.5-5.6L ISⅡUSM 263mm f8 1/15sec ISO100 PLフィルター

17:40 広げた荷物を片付け、下山開始。
文三郎道から帰ろうかと思うが、最近行ってないので、来た地蔵尾根を戻る。
18:20 深雪の柔らかい地蔵尾根を駆け下って行者小屋着。
なんと赤岳山頂から40分で下りることができた。
行者小屋には先に下りていた先ほどの3人パーティーが時間差で下りて行った。
日曜の夜ということもあってか、他にテントも見当たらず。完全なビリだ。
20:00 行者小屋から1時間20分かけて赤岳山荘着。
塔ノ岳→毛無山→赤岳と天気に恵まれた三連山でした。
冬の好天に感謝感謝。

八ヶ岳エリア 記録一覧

2021年01月31日 ■■■■■『赤岳_冬 ~チャンス到来!八ヶ岳連峰の燃える夕景~』
2018年01月17日 ■■■■■『権現岳_冬 ~赤く染まる赤岳と富士夕景~
2017年02月07日 ■■■■☒『赤岳_冬 ~降雪直後の最高の赤岳を狙って~
2013年01月04日 ■■■■■『赤岳_冬 ~厳冬期の神々しき最高の八ヶ岳!~

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