10日前に北岳山荘を2日間で強行したダメージが想像以上にひどかった。
膝が痛いし筋も痛むし膝は痛いし、そもそもそんな強靭な身体の持ち主ではなかった。
3日間の連休は初日雨の後、2日間晴れマークが並ぶ。
膝をいたわってお手軽八ヶ岳で降雪直後の朝焼け夕焼け狙いかな、と思っていた。
八ヶ岳パーキングエリアで完全に寝坊すると、もう日が昇ってあたりは明るい。
朝焼けどころではなかった。。。
そして見える八ヶ岳は全く雪がない。
がーん。
え、昨日雪降ったんじゃないの?アメダスで雪雲かかってたと思うんだけれど??
雪のない八ヶ岳に何の興味もわかない。
どうする?どうしよう?
ライブカメラで天候を確認して、雪のない八ヶ岳を後にし、急遽候補で考えていた乗鞍岳へ向かうことした。
前回冬に来たときは、雪は多かったけれど降雪から時間が経っていたのかシュカブラやエビの尻尾がなかった。
今回は厳冬期の厳しい乗鞍岳の撮り直しかな。
ルート / shibawannkoのワンポイントアドバイス
〔山行〕6時間10分/〔休憩〕3時間/〔合計〕9時間10分
【上り】鈴蘭橋 10:50 ⇒ 11:00 かもしかリフト最上部(ツアーコース開始点)11:10 ⇒ 12:20 ツアーコース終点 12:30 ⇒ 13:30肩の小屋口 13:50 ⇒ 14:20肩ノ小屋 14:30 ⇒ 14:50 朝日岳 15:30 ⇒ 16:00 乗鞍岳
【下り】乗鞍岳 17:10 ⇒ 17:30 蚕玉岳 17:40 ⇒ 19:10 かもしかリフト最上部(ツアーコース開始点)19:20 ⇒ 20:00 鈴蘭橋
〔難易度〕 ①往復16km/②標高差1,450mと標高差も距離もそれなりにある。危険個所は少なく体力勝負。
〔アクセス〕乗鞍スキー場駐車場(無料)。行きはスタートが遅くなるがリフト使用が楽(復路リフト禁止)。
〔リフト〕 スキー場下部スタートだとリフト3基乗り継ぎ必要。鈴蘭橋横第三駐車場スタートだとリフト2基で有利。
〔危険箇所〕森林限界上の位ヶ原は広くて迷いやすい。視界が悪いときは要注意(GPS必須)。
〔登山装備〕スノーシュー必須。雪質によっては全域スノーシューで行ける。
〔展望箇所〕剣ヶ峰。朝日岳は通常ピークを通らず東側を巻くが、山頂はシュカブラが発達して展望が良くお勧め。
山行記録 2019年1月13日
上り(乗鞍高原スキー場 10:50 ⇒ 14:50 朝日岳)
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f11 1/320sec ISO100 PLフィルター
雪山を始めて数年。
一般的に紹介されている雪山はほぼ1順して2順目3順目に入ろうとしてる中、晴れているだけの雪山はやや十分。
朝焼け夕焼けで真っ赤に染まらない雪山にあまり興味がわかない。
自分の雪山のパターンは、夜のうちに登って朝焼け狙いか、昼から登って夕焼け狙いかのどちらかになりつつある。
10:50 乗鞍高原スキー発。
ということで、夕焼け狙いで調整しつつ遅いスタート。
既にスキー場がオープンしているため、リフトが使用可能。
一番下の駐車場ではなく、少し登ったところにある鈴蘭橋付近の第三駐車場からアクセス。
第三駐車場横のリフト券売り場でリフト券を2枚購入してから10分ほど登り、リフト2基を乗り継いでゲレンデトップまで。
一番下からだとリフト3基を乗り継がなければならないところ、ここからだと2基で済みます。
下りのリフトは使用できないため、歩いて戻らなければならない距離と標高差を考えると、2基分を戻るこちらの方が有利です。
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f11 1/320sec ISO100 PLフィルター
11:00 ゲレンデトップからスノーシューで歩き始め。
13:00 森林限界を超えて位ヶ原まで出ると視界が開ける。
ここまで来て初めて向かいの穂高連峰が望める。
昨日の南岸低気圧がかからなかったのか、直近では降雪がなかった様子。
雪が少ないうえ、降雪直後のシュカブラ等の雪景色もない。
これでは前回の方が雪も多くて条件が良いではないか。
そんな残念な気持ちに支配されていると、今度は雲に支配されて日差しが隠され始める。
なんかテンションだだ下がりになってきた。
わざわざ来た意味がない。
しかし明日も晴れ予報だし、この雲は一時的で夕方には晴れるはず。
そう信じている。
いや、そう信じて登ることしか今できることはない。
既に登頂し終えた多くの登山者が下りてきている。
今の時間から登って来る者は誰もいない。
すれ違う下山する登山者達は「こんな遅い時間に登ってきてもう曇っているけど?」とでも思っているのだろうか。
山頂に向かうためには、手前の朝日岳は山頂を踏まずに斜面をトラバースして稜線に出ます。
一応軽量モデルを持ってきてはいますが、アイゼン・ピッケルを使うつもりも毛頭なし。
トラバースの斜面にも相当程度対応できるライトニングアッセントで普通に登る。
稜線に出ると雲が切れ始め、青空がだんだん広がってくる。
見る見るうちにあれだけ広がっていた上空の雲は少なくなり、西の空には雲一つなくなる。
これで夕日を遮るものはなくなり夕焼けは確実に。
よっしゃー、狙い通りじゃないか!
朝日岳山頂(14:50 ⇒ 15:30)
EEOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 23mm f16 1/160sec ISO100 PLフィルター
14:50 夕暮れまで時間はあるため、何気なく朝日岳山頂に登ってみる。
朝日岳山頂は、溶けかかってはいるもののエビの尻尾で覆われ、厳しい雪山の表情が残っていてくれた。
巨大なエビの尻尾越しに見る乗鞍岳山頂や火口が素晴らしい。
いろんな不安や面倒くささに負けずにここまで来てよかった。
一通り3,000mの山頂風景を撮っていると、なにやら薄く光り輝く筋状の帯がどうやってもファインダーから消えない。
なんだあれは?
ダイヤモンドダストか!
見たことはないですが筋状だったのでサンピラー?とも思いましたが、後から調べたところどうやらダイヤモンドダストのようです。
ダイヤモンドダストは、気温が低くて湿度があって無風という条件でよく朝方に現れるようですが、朝方ではないですがこの条件をほぼ満たすので間違いなくダイヤモンドダストでしょう。
ここまではっきりしたダイヤモンドダストは初めて見ました。
いつの間にか風も収まった静寂な乗鞍岳火口で、大きさを変えつつ光り輝いている様は、雪の山頂景色と相まって眩しいほど神秘的な光景でした。
ただ、写真的にはフレア(レンズに入った有害な光)やレンズに付いた埃のように見えてしまい、写真に撮るのは難しいですね。
乗鞍岳山頂(16:00 ⇒ 17:10)
EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 115mm f8 1/30sec ISO100 PLフィルター
16:00 時間を調整しつつ日没前に乗鞍岳山頂着。
雲もとれ、今日の目的の山頂からの夕景撮影は確実な状況。
しかも雲海付きときたもんだ!
あとはブレないように順番を間違えないよう確実に撮るだけ。
ただ穂高連峰は先っちょだけ見える感じで、もう少し雲から出てもらいたいな~。
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f20 1/20sec ISO100 PLフィルター
乗鞍岳山頂からは東方面以外の北・西・南の三方が撮れるでしょうか。
北方面は、雲海と雲海から頭を出した穂高連峰が紅色に染まる。
南方面は、広大に広がった雲海から頭を出した御嶽山が、真っ赤な夕日のシルエットとなって浮かび上がる。
そして西方面には、摩利支天岳の天文観測所の向こうに広がる雲海から笠ヶ岳が顔を出す。
夕焼けは夕焼けでも、希に見るくらい真紅に染まる。
素晴らしい。。。
真っ赤に染まる穂高連峰の朝焼け夕焼けを撮るために、思えばいろんな方面からチャレンジしました。
往復40km歩いてわざわざ蝶ヶ岳まで行ったときには曇るし、常念岳から狙ったときは微妙に日の出間に合わないし、焼岳から狙った時はガスるはで、ようやく赤く染まる穂高連峰を撮ることができました。
下り(乗鞍岳山頂 17:10 ⇒ 乗鞍高原スキー場 20:00)
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 24mm f8 1.3sec ISO100 PLフィルター
17:00 夕日が雲海に沈むのを見届けてから下山開始。
目的を達成した後、誰もいない残照の稜線を引き上げるのもこれまた楽しいかな。
それにしても残照が綺麗だ。
これだけ残照が綺麗なことはあっただろうか。
また立ち止まって残照で撮り始めてしまった。
17:30 乗鞍岳の下りもライトニングアッセントのグリップ力を効かせて足早に適当に広い斜面を下る。
あっという間にゲレンデトップまで下りて、誰もいないスキー場のど真ん中を帰っていく。
スキー場を中腹まで下りると微妙なY字路があり、ここで左のゲレンデに進むがポイントです。
右に行っても行けなくはないですが戻りづらいので左へ進んだ方がよいでしょう(前回は右へ行って失敗しました)。
20:00 山頂から2時間半で駐車場着。
1度目の雪山登頂は様子見、2度目以降の雪山は朝焼け夕焼け狙い、という雪山での自分のスタイルが確立されたと思える山行となりました。
素晴らしい夕景に出会えて本当に幸運でした。
手軽に登れる乗鞍岳と天気に感謝感謝。
今日のお役立ちアイテム ~実際の使用状況と効果~
乗鞍岳は全般的にのっぺりとした傾斜が緩い山なので、雪面が氷化したり暴風時を除いて、全線スノーシューで往復できたりします。
一部スノーシューが苦手とする急な斜面や朝日岳のトラバースがあり、周囲が歯になっていないモデルは扱いにくい場面もあるかもしれませんが、周囲が歯になっているライトニングアッセントは登攀力も高く朝日岳のトラバースにもたいていの場合で対応できるでしょう。
全線スノーシューで対応できるならば、ピッケルとアイゼンのセットを持つ必要がないため、大幅な軽量化を図ることができます。
自分の場合は、一度目の冬季の乗鞍岳山行は勝手も分からなかったので、安全を期してピッケル+アイゼンとスノーシュー+ダブルストックの2セットを持っていきましたが、結局アイゼンとピッケルは一度も使いませんでした。
二度目の今回の山行は、最初の雪質で判断し、アイゼンは持たずスノーシュー+ダブルストックで往復し、やはりアイゼンが必要と思う場所はありませんでした。念のため、280gと超軽量モデルのコルサナノテクは持参しています。
乗鞍岳全線で、ピッケルよりストックの方が有用性が高いです。2本で360gと超軽量で扱いやすいストックが、比較的長い雪原歩きの助けになりました。
以前の旧モデルはスノーバスケットが取り付けできず完全な無積雪期専用モデルでしたが、マイナーチェンジしたニューモデルはスノーバスケットをワンタッチで取り付けることができます。そのため、浮力は若干少ないものの超軽量のストックをそのまま冬用ストックとして使用することができます。
今週末は乗鞍岳と焼岳の連山で、当然膝への負担が心配になります。
いつも履いているCW-Xの冬用のサポートタイツの上に、さらにザムストEK-3の膝サポーターを重ねました。
膝の部分に穴が開いていない簡易な膝サポーターはズレて効果が薄かったりしますが、ザムストEK-3は膝の上下でしっかり固定するタイプなので、1日行動してもズレることはなくしっかり膝をサポートしてくれました。
今後はサポートタイツと膝サポーターのダブルサポートが自分の標準になりそうです。
乗鞍岳 記録一覧
2020年12月29日 ■■■☒☒『乗鞍岳_冬 BCスキー ~初めてのBCデビュー!で速攻リタイア...』
2019年01月13日 ■■■■■『乗鞍岳_冬 ~遂に撮れた穂高夕景!希に見る真紅の輝き~』⇒ 冬季夕景
2018年10月03日 ■■■■■『乗鞍岳_紅葉 ~ダブルヘッター1山目_絶景紅葉スポット発見!~』⇒ 絶景紅葉
2018年07月14日 ■■■■■『乗鞍岳_夏 ~ご来光バスで雲海朝焼け&コマクサ乱れ咲き~』⇒ 夏/コマクサ/雲海朝焼け