北アルプス

〔100名山〕乗鞍岳_冬BCスキー ~初めてのBCデビュー!で速攻リタイア...

以前から気になっていたバックカントリスキー。
滑走にあまり興味がないが、BCスキーであればより早くより遠くに行けると聞いて。
楽しいかどうか、自分に合うかどうか、いろいろ考えてもよく分からない。
あとはやってみるしかない。
ということで、冬3度目となる乗鞍岳へ!
とりあえず必要なスキー用品をすべて積み込んで出発。

ルート/shibawannkoのワンポイントアドバイス

〔山行〕7時間40分 /〔休憩〕1時間 /〔合計〕8時間10分
【上り】乗鞍高原_第7駐車場 08:00 ⇒ 09:10 かもしかリフト最上部 ⇒ 11:10 ツアーコース終点 11:20 ⇒ 13:40肩の小屋
【下り】肩の小屋 13:50 ⇒ 14:40 ツアーコース終点 ⇒ 15:40 かもしかリフト最上部 15:50 ⇒ 16:10 乗鞍高原_第7駐車場

〔難易度〕 ①往復16km②標高差1,450mと標高差も距離もそれなりにある。危険個所は少なく体力勝負
〔アクセス〕乗鞍スキー場駐車場(無料)。行きはスタートが遅くなるがリフト使用が楽復路リフト禁止)。
〔リフト〕 スキー場下部スタートだとリフト3基乗り継ぎ必要。鈴蘭橋横第三駐車場スタートだとリフト2基で有利
〔危険箇所〕森林限界上の位ヶ原は広くて迷いやすい。視界が悪いときは要注意(GPS必須)。
〔登山装備〕スノーシュー必須。雪質によっては全域スノーシューで行ける。
〔展望箇所〕剣ヶ峰。朝日岳は通常ピークを通らず東側を巻くが、山頂はシュカブラが発達して展望が良くお勧め。

山行記録 2020年12月29日(08:00~16:10)

❖ バックカントリースキー_セットアップ

ナイトで朝焼け狙いが、途中力尽きてMt乗鞍スキー場に7時到着。
もう既に半分の目的が失われているが、
今日はBCスキー初デビューということで気持ちを立てなおす。
まずはスキー靴にアイゼン調整をしたり、シールを貼ってみる。
リーシュ?これってどうやって着けるんだ?
初めての山スキー装備を整えているだけで、ここまでで早1時間。
さぁ行ってみるかー!って、山スキー装備に気を取られて水筒忘れた...。

❖ ゲレンデハイク ~ ツアーコース ~ 位ヶ原

第7駐車場から、リフト2本分をスキーハイク。
おそるおそるシール歩行をすると、慣れない、思ったよりも重い...。
リフト1本分をハイクした時点で、リフトが動き出し始めた。
これだったら、最初っからリフト乗っていけばよかったのに。
パトロールの方が、最後のリフトは500円現金払いで乗れると教えてくれる。
はい、リフトで行きます。

ゲレンデトップから、いよいよバックカントリースタート。
いきなり現れる急斜面にスキーの扱いが慣れない。
踵が持ち上がらない中でのキックターンでの切り替えしで難渋。
そして急斜面中で何度も板が外れたり。

急斜面を過ぎると、緩やかなツアーコースを登っていく。
この時点で、慣れないスキー操作もあってかもうバテ始めた。
久しぶりの登山で、心配持久力も筋持久力もいっちゃってる感じ。
特にスキーを引きずりながら前方へ押し出す筋力が足りない。
確かに浮力があって沈み込まない分体力消耗は防げるけれど、スキーが重い。
同じ状況で比べてみないと分からないけれど、スノーシューの方が早くね?
好きか嫌いかであれば、自分は慣れているスノーシューの方がいい。
横への動きが全くなく前後の動きしかないスキーが扱いづらい。
特に急斜面でいつ滑り出すかわからないスキーのグリップ力が好きになれない。
もやもや考えているうちに、乗鞍岳は雲に覆われていく。
天気は下り坂だから、これからの好天は望めない。
今日はこれまでか。行けるところまで行ってみよう。

EOS5DsR+EF100-400mmF4.5-5.6L ISⅡUSM 220mm f11 1/200sec ISO100 PLフィルター

再び現れる急斜面を乗り越えると位ヶ原。
天気は荒れ始め、雪煙を伴う強風に何度もひっぱたかれる。
ここまで一眼レフの出番はなし。
シャリバテ気味だったので、休憩がてら望遠で穂高を狙う。

すでに相当バテてるので、登頂は明らかに無理そう。
乗鞍くらい登頂できないとは、著しい体力の低下に自分でもびっくり。
よく撮れた前回以上の写真も望むべくもない。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1705490.html
このまますぐ下りて、新しい板を試すべくゲレンデスキーをするか迷うが、
せっかく来たので、もう少しBCスキーの経験値を積むことにした。
肩の小屋までは行ってみよう。

見えるけれどなかなか近づかない肩の小屋。
強風に逆らいながらやっと到着した肩の小屋は、強風が吹き荒れていた。
通常の装備であれば登頂してもよいが、慣れないスキーで登る気にもなれない。
スキーを担いだとしても強風に煽られるし、デポするにしてもすべてが飛ばされそうな風の勢いだ。

❖ 下り(方の小屋~位ヶ原直下の急斜面)

残りの体力も心もとないので、爆風の中スキー装備を整えて下山開始。
初めてのバックカントリースキーは、雪煙で前が見えない...。
被写体にするとバッチリなシュカブラも、足に引っかかって強烈滑りづらい。
ところどころ剝きだした岩は恐怖でしかない。
そしてカメラ+三脚セットのヘビー級のリュック重量に、脚筋が耐えられない。
確かに下りは早いが、面白いのかこれ?

位ヶ原で方向を誤らないようにGPSを何度も確認しながらスキーを走らせる。
位ヶ原から脱出すると、今度は急斜面の下り。
重い荷物にスキー操作で脚はもうヘロヘロ。
何気なくおり始めると、深雪に板が引っかかって、転倒。
が、板が外れない!
ぐぁっ、あああああああああああ~~~(足首が捻じれて悶絶)~~~。
左足首に尋常ならざる痛みを感じながら、ようやく動きが止まる。
折れたか...?

深雪に全身埋もれて、ヘビー級のリュックも加わり起き上がることができず。
深雪で転倒すると起き上がることも困難なのか。
とりあえず板を外そうとするが、どんなに力を入れても外れない。
どんな解放値に設定してくれたんだ...って、事前に自分で確認しておかなければならないのか。
転倒してから思ったが、自分整地主義で不整地の急斜面苦手だったんだ...。
BCやるだけのそもそもスキー技術が足りていないことに今頃気づいたり。
今年初スキーの初のスキーセットで突っ込むとは、油断しすぎだ。

骨が折れているのではないかという恐怖の一方、「こんな痛がってる遭難者に登山中に出くわしたくはないよね。」と、よく分からない思考をしていたりして。
渾身の力で板を外し、パウダーをかき分け態勢を整える。
さて、どうするか?
駐車場まではまだ相当な距離があるが、戻らなくてはならない。
スキーを担いで歩いてみるが、左足が痛すぎて地獄の行軍で日没超えそう。
右足スキーで下りるしかないか。一番現実的な対応と判断した。

❖ 下り(位ヶ原直下の急斜面~ゲレンデトップ~駐車場)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 23mm f11 1/250sec ISO100 PLフィルター

そこからツアーコースすべてを右足を谷側にした斜滑降で標高を下げる。
スキーで楽しいはずの位置エネルギーが今は恨めしい。
斜面という斜面を、斜滑降で綺麗に平らにして差し上げました(笑)。
右曲がりとかは左足を谷側にしなければならず、悶絶極まりない。
ゲレンデが見えてくると、急斜面が立ちはだかる。
ここも慎重にズリズリ削って、命からがらゲレンデトップにたどり着く。
日が傾く中、音楽が流れるゲレンデをスキーヤーが追い込みの1本を滑っているところだった。
痛みに耐えて、いやな脂汗いっぱい。
ゲレンデのリフト2本分も、脂汗をかきながら初心者コースを選んで滑走。
16:10 第7駐車場着。
よくあそこから自力で戻ってきたもんだ。

❖ 後書き

最近たまっていたうっぷんを燃やし尽くすBCスキーの予定のはずが、
天気も優れずおまけに負傷するという散々な結末でした。
年末年始の南アルプス縦走の野望も潰えて、ことさらに残念無念。
本番前の足慣らしのはずだったんですが...。
すべては必然。「このまま突っ込んでいたら大変なことになりますよ」
という、”神様からの知らせ”と考えるようにしよう。
嫁は別の表現で”天誅”と言っていた。

バックカントリースキーは自分の目的からすると???な感じでした。
少なくとも滑走を楽しめるだけの不整地でのスキー技術を伴わないとダメですね。
乗鞍岳以外にBCスキーのイメージがあるのは春の越後駒ヶ岳くらい。
現状ではもう一度BCスキーをするイメージが湧いてこない。
BCスキー一式の購入費用のみならず医療費を含めて、高くついた授業料でした。
山をやっていない人からは「そんな危険なことやめればいいのに」って
言われるけれど、魂が求めてしまうんですよね。

乗鞍岳 記録一覧

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