南アルプス

〔100名山〕北岳_冬季小屋テント泊 ~厳冬期ピンポイントで晴れず~

投稿日:2019年1月3日 更新日:

年末に上河内岳~聖岳を狙うものの茶臼岳登山道損壊により敗退(実は行けた)。
ならば反対側の易老渡側から行こうかと調べると、こちらも道路崩落。
今季の聖岳を諦めたらどうする?
去年逃げ帰ってきた白峰三山か!
ってことで白峰三山縦走を予定しつつも急遽北岳へ計画変更。
そして初日をアプローチだけで終わらすのがもったいない。
初日に北岳山荘まで行ってしまい、夕方に北岳の夕景が撮れればいいかな。

ルート

1日目と2日目のログが分割されてしまったので、初日のログを載せています。
〔1日目_山行:14時間10分/休憩:1時間50分/合計16時間00分〕
奈良田第一発電所 02:20 ⇒ 05:40 アルキ沢橋BS 06:00 ⇒ 09:30 池山御池小屋 10:00 ⇒ 13:50 ボーコン沢ノ頭 14:00 ⇒ 15:40 八本歯のコル 16:00 ⇒ 16:30 吊尾根・北岳山荘トラバース道分岐 17:00 ⇒ 17:50 トラバースルート分岐 ⇒ 18:20 北岳山荘
〔2日目_山行:12時間30分/休憩:1時間50分/合計14時間20分〕
北岳山荘 06:40 ⇒ 08:00 吊尾根分岐 08:30 ⇒ 09:00 八本歯のコル 09:30 ⇒ 14:00 池山御池小屋 14:30 ⇒ 16:40 アルキ沢橋BS 17:00 ⇒ 21:00 奈良田第一発電所

山行記録 2019年1月2日~3日

1日目_上り①(奈良田第一発電所 02:20 ~ 13:50 ボーコン沢の頭)

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 70mm f11 1/320sec ISO100 PLフィルター

計画変更等々で出遅れて、奈良田ゲート02:20発。
上の方は雪が降っているらしく、ときおり小雪が舞ってくる。
3時間で12kmの林道歩きを終え、アルキ沢橋BS着。
ここからようやく標高を上げ、登山開始といった感じ。

今日の予定はテント・機材もろもろ20kg背負って北岳山荘まで。
20kgを背負って標高差2,200mを一日で登り切れるのか。
登ることはできると思うが、果たして夕景を撮る日没までに間に合うのか。

年末年始は家族で時間を過ごした際、山に行くことが両親兄弟に知られてしまう。
「また危ない冬山なんかに行って」と散々言われる。
直前に剱岳遭難のニュースが流れ、毎年起こるの北アルプスの遭難をイメージするのでしょうが、山域が違うしそもそも天気の悪い北アルプス行かないって...。

行程の長さ辛さや天気の心配もある中、心配する両親の顔が脳裏に思い出される何とも気の重い山行となった。
「心配させないよう早く帰らなければ」という思いが、通常2泊3日のコースを1泊2日とさせている面も多分にある。
送り出す方も心配でしょうけれど、後ろ髪を引かれることが無茶をさせたり判断を誤らせたり、それが最もリスクが高いと思うんだけれどどうしようもない。

09:30 歩き始めて既に7時間経過。
アルキ沢橋BSから標高1,000mを上げて山御池小屋着。
通常だったらここで1日目は終了でしょう。
だけど今日の行程ではまだまだ半分。
やばい、なんか時間が押してきた。
ここから気温が低くなるので、下にダウンを仕込んでから後半戦スタート。

急登を登ると、砂払い付近からポンと視界が開ける広い斜面に出る。
向かう北岳方面は雲がかかっていたが、だんだん雲が薄れ青空がのぞき始める。
「この斜面を登り切れば晴れた北岳が見えるかも!」と思うと、既に10時間以上歩き続けている疲れがふっ飛んだ気がした。

13:50 歩き始めて12時間経過。
急登を登り切りボーコン沢の頭着。
おおおお~っ、降雪直後の多くの雪を纏った威風堂々の北岳が姿を現す。
午後の斜光線の中、ほぼシルエットとなった中でも一部に光が当たる北岳がかえって凄みを増す。
降雪直後で稜線は一面の雪原となり一本のトレースが刻まれている。
素晴らしく美しい雪山の光景が広がる。
景色は素晴らしいんですが、今日の目的は北岳から夕景を撮ること。
まだまだ長い道のりが残っていることを思うと時間が心配。
夕景を撮るために、自分は日没前に北岳の向こう側に出たいのだ。

上り②(ボーコン沢の頭 14:00 ~ 16:20 北岳山荘)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 23mm f11 1/160sec ISO100 PLフィルター

トレースはあるものの、降雪直後で雪が深くなかなか先に進まない。
この区間だけスノーシューが欲しい。。。
先に進まれた方はさぞやラッセル大変だったでしょう。
1人旅かと思いきや、登頂を果たした2名が下りてくる。
本当にラッセル大変だったようで、「もう途中で帰ろうかと思った。」とのこと。
ラッセルのお礼をさせて頂きました。

15:40 歩き始めて13時間半経過。
トレースに感謝しながらもようやく八本歯の頭に到着。
もう日が大きく傾き、急ぎたいところに現れる難所が堪える。
トレースもありロープも出ているので、サクッと下りるだけ。
雪が柔らかかったので多少気を使った程度でしょうか。

16:30 歩き始めて14時間経過。
北岳山荘トラバース道分岐前で日没を迎える。
ゔぁ~、間に合わなかった。
最低な場所で日没を迎える。
だから時間に余裕を持って出ろっていつも言ってるだろーに(←自分に対して)!
仕方がないので、焼ける八本歯の頭を撮ってみたり。

夕景を撮り終えてから吊尾根分岐に向かう途中に、北岳山荘へのトラバース道分岐が現る。
標高も3,000mを超え空気も薄く既に相当疲れていることから、もう登りたくないとの誘惑から、トレースのあるトラバース道に誘い込まれてしまう。
これが大失敗でした。
しっかりとステップは切ってあるものの、非常に緊張を強いられるトラバースがそれなりの長い区間続きます。
巨大な滑り台を横断するトラバースが現れそれを超えていく度に次のトラバースが現れる。
「まだか、まだか」と思うがゴールの稜線は遠く、「そういえば夏道でもトラバース道それなりに長かったよな」と思っても既に遅し。
恐怖に耐えながらも、右手でピッケルをザクザク突き立てながら一歩一歩慎重に進むしかない。

17:50 歩き始めて15時間半経過。
完全に日没を迎えヘッドライトを点けて、ようやくトラバース道を脱出しました。
一歩一歩安全確実に通過はできるものの、自分の実力でこの時間帯に選ぶルートではありませんでした(昨年は吊尾根分岐まで上りました)。
右手はパンパンになり、慎重に歩いた分余計時間がかかってしまいました。
雪道に不慣れな方は、安易にトラバース道は使わず吊尾根分岐まで上った方が安全確実で時間も掛からないと思います。
自信のある人又はトラバースを練習したい人以外には全くお勧めできません。

ここから40分で北岳山荘まで下るだけ。
ここから風が出てきて新雪を巻き上げ始めます。
気が抜けたのか暗闇で新雪の中、ルートを谷側に誤って進み北岳山荘を見失う。
ログを取っていたヤマレコMAPが「ルートから外れています!」と警告する。
うげっ!まじかよ。
山荘の近くでテント泊なんぞシャレにならん。

18:20 歩き始めて16時間経過。
GPSで方向を確認して行ったり来たりして暗闇の中からようやく北岳山荘を発見。
長い一日が終わりました。
トラバース道選択と雪道夜間歩行を猛省しながら夕食を摂って就寝。

2日目_下り①(北岳山荘 06:40 ~ 09:00 八本歯の頭)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 18mm f8 1/640sec ISO100 PLフィルター

04:30起床→06:00出発と外に出ると、まさかのまさか、夜間あれだけ晴れ渡っていたのにガスってる。
この瞬間、中白峰からの北岳の朝焼け撮影の今回の目的が潰えました。
せっかくここまで来たのに。。。
そして、間ノ岳・農鳥岳の縦走も当然中止に。
寒気が入り込んでいる様子。
天気読み違えたかな。なかなかうまく行きませんな↓。

06:40 気持ちの整理もつかぬまま、来た道を帰るべく北岳へ再出発。
昨日の一気の登りで登り筋が死んでしまったのか、また両脚かかとがズル剥けの靴擦れを起こして、まともに登れない。
そして、昨年凍傷になりかけた反省を踏まえて準備した最大防寒の装備が、氷点下16度の烈風の中でもホコホコ暑い(笑)。
ヨタヨタ歩いていると、後から北岳山荘から出発した2人組にさっそうと抜かれる。
強風に持って行かれることなくしっかりとした足取りで進んでいく。
あのくらいのパワーが必要ですね。

上へ行けば行くほど強風は凶風になっていく。
昨年も思ったけれど、北岳の強風って凄まじいな。
「俺はパチンコ玉じゃねーんだよ。」とかぶつぶつ言いながら強風に踏ん張れずによろめきながら高度を上げていくと、命からがら吊尾根分岐に到着。

08:00 吊尾根分岐から稜線から少し離れて暴風から逃れる。
稜線にぶつかった暴風が気を錯乱させるかのような音を奏でている。
何となく晴れそうなんだけど、いっこうに風の勢いは収まらない。
30分待機してましたが、何度も来ている何も見えない山頂に固執する理由はなく、それ以前にこの烈風下で登頂することは自分の技量では危険極まりない。
朝焼け夕焼けで赤く染まらない雪山にそれほど重きはなく、朝曇っている時点でもう終わってるんですよね。
帰ることにした(→山頂からの景色はこちら)。

09:00 八本歯の頭まで来ると、雲が取れ始めて北岳が姿を現す。
間ノ岳や農鳥岳の稜線は依然として雲がかかり、勢いよく雪煙が舞っている。
自分はあんな中行動できない。
よっぽど条件が良い時でないと、あの稜線を超えることはできないな。
それと気象が急変した時でも、あの長大な稜線を逃げ切れるスピードがないと。
雪山経験の少なさと体力・スピード・ルートファインディング等々、いろんな足りないものを痛感しながら帰ることとなりました。

下り②(八本歯の頭 09:30 ~ 21:00 奈良田第一発電所)

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f8 1/500sec ISO100 PLフィルター

14:00 池山御池小屋着。
ここからアルキ沢橋までの区間が本当に急。
「自ら下りている」というより「ダブルストックで落下するのを止めている」といった感じ。
重荷を背負って疲れた身体には非常に堪える区間です。

21:00 奈良田ゲート着。
そしてもっと堪えるのは最後の12kmの林道歩き。
両脚かかとズル剥けの靴擦れと、20kgのリュックを背負う肩が痛くてたまらない。
この痛さを和らげないと痛すぎて1時間に1回の休憩では歩けない。
3時間耐えるためにいろいろ試行錯誤してみました。
・英会話の発音練習をする:× 頭も疲れて頭に入ってこない。
・音楽を聴く:× 入れている曲が少なくて飽きた。
・将棋ソフト:〇 コンピュータをやり込めている間は痛みが和らぐ。
なんとかだましだまし歩いて4時間かかって奈良田ゲートに戻ってきました。
この扉の大きさ、絶対MTB入るよね。

今日のお役立ちアイテム ~実際の使用状況と効果~

カンプ CAMP コルサナノテク 60cm 5142960

冬期の北岳は奈良田から北岳山荘の往復で、標高差2,300m/水平距離50kmを重装備のテント泊セットを背負って歩く非常に高負荷のロングルートになります。
また、森林限界を超えての歩行時間も長いので、天候悪化時にはいち早く危険地帯から離脱することが必要となります。
そのため、重量は可能な限り軽くしたいところ。
年末年始の北岳の雪質は、雨が降って氷化することはあまり想定されません。長時間の歩行中、大半が滑落停止ではなく杖として機能するピッケルにおいて、重量270gと超軽量のコルサナノテクでも安全確保は十分であり、また重量増に対する精神的負担を大いに軽減してくれました。
ただ、誤ってトラバース道に入り込んでしまったときに雪面にピッケルを刺して確保する際は、もっと重量があるピッケルの方が扱いやすい面もありました。

標高差2,300mにも及ぶ高負荷のロングコースのため、可能な限り軽量化を図りたい。
八本歯のコルまではピッケルよりストックの方が有用性が高く、また、アルキ沢橋BSから池山御池小屋まではとりわけ急傾斜が続き、雪稜歩行や下り時の膝への負担を軽減するためにもダブルストックは必須と言えます。
下部の積雪がないエリアと雪稜歩きのエリアの両方に対応し、かつ、2本で360gと軽量化が図れるディスタンスカーボンの存在が非常にありがたかったです。
以前の旧モデルはスノーバスケットが取り付けできず完全な無積雪期専用モデルでしたが、マイナーチェンジしたニューモデルはスノーバスケットをワンタッチで取り付けることができます。そのため、浮力は若干少ないものの超軽量のストックで積雪と無積雪のいずれの状況にも対応することができます

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1日目で北岳山荘まで行く計画でしたが、降雪直後の多雪により時間がかかり、夜間歩行となってしまいました。
日没後の真っ暗の稜線を500ルーメンの照度が十分に照らしてくれました。
とはいえ、降雪直後の多雪と日没後の強風によりトレースが完全になくなった状況下で道を見失い、明かりの灯らない冬期の北岳山荘を探し出すのに迷走しました。非常に危ない状況に一瞬陥りました。
いくらハイパワーで照度が高いとは言え、今回のようなトレースが消え雪煙で視界も効かない状況下等、夜間歩行の限界があることの認識も必要です。

氷点下15度を下回る烈風が吹きつける3,000mの稜線では、最大防寒が必須です。
ここまで分厚いダウンは他の冬山ではテント泊時等の行動停止時にしか使わないことが通常ですが、北岳のような低温強風の状況下では、稜線行動時の防寒着として非常によく機能します。
3,000mの稜線の厳しい状況下でも、寒さを感じることのない十分な保温性と精神的な安心感を与えてくれました。
また手足等末端部の凍傷を防ぐために、末端部に暖かい血流を流す必用があります。そのためにも身体部分をしっかりと保温する必要があり、末端部の凍傷予防としても十分な機能を発揮してくれました。
フード部分にも十分な量のダウンが使われているため、頭部からの熱損失も十分に防いでくれます。

氷点下15度を下回る寒冷・烈風下の稜線では、保温力の低いグローブではたちまち熱を奪われ、凍傷の危険が高まります。
厳冬期の北岳山行では、Maxの防寒力を持つグローブを用意しておくべきです。
この点、このクラウドシーカーグローブは十分な保温材が用いられており、またミトンタイプで熱損失も少ないので、最強のグローブの1つと言えるでしょう。
防寒力は申し分なく、凍傷に対する精神的な不安を取り除いてくれました。
ただこのグローブでのピッケル使用は問題にはならないのですが、グローブ自体が保温材で分厚くかさ張るため、脱落防止のディスタンスカーボンのストックの輪っかにグローブを通せなかったり、限られたリュックのスペースを多く占有してしまう点もあります。

終わりに

塩見岳→茶臼岳(撤退)→北岳と、それぞれなんでこんな大変な思いをさせてくれるのだろう、という年末年始3連続の南アルプスでした。
寒さや強風や恐怖・苦痛等々、様々な困難に耐えるための何かの精神修行のようにも思えてきました(笑)。
ただ得るものは大きく、その分深く記憶に刻まれるように思います。
他者のトレースを当てにしての登山ですが、2日間で冬季の北岳を行って帰ってこれたことで、より北岳が近い存在になった気がします。
早く下りてきてしまいましたが、1日で登って1日稜線で過ごせば、朝焼け夕焼けもっといろんなものが撮れたでしょう。
いずれは北岳だけでなく、間ノ岳、農鳥岳と、白峰三山を歩いて朝焼け夕焼けを撮ってみたいですね。

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