山岳その他

〔極悪林道特集〕傾山_黒仁田林道(→九折越登山口) ~噂に違わぬなかなかの悪路だった!車高の低い車は必ず底を擦る~

九州遠征6日目の最終日は傾山(カタムキヤマ)。なんじゃその名前は?
遠征出発時には名前すら知らず、何度聞いてもなかなか覚えられない、まったくノーマークだった傾山。登る日が近づくにつれて情報を集めていくと、この山なかなか手強いそうじゃないか...。

よく登られている九折登山口から登るとアプローチが容易で、中腹で観音滝という大瀑布が見れるが、標高差が1,300m超えでルートも険しそう。一方あまり登られていない最短ルートの九折越ルートから登ると、標高差は半分の600mほどで済むが、黒仁田林道の悪評ばかりが目立つ。どっちのルートで登るか。登山口は山頂を挟んで正反対なので、傾山に近づくかなり手前の時点での判断が求められる。疲労も蓄積しているので最短ルートで行きたいが悪名高い黒仁田林道は極力走りたくはないが、標高差1,300mは今は耐え難い。う~ん...、どっち側から入山すべきか。

散々迷った結果標高差1,300mは厳しいと判断し、自分の体ではなく愛車の方に頑張ってもらうことにした。愛車REVORGの車高が10cmちょっとしかないが、数々の極悪林道を走破してきている。「普通車で入れる」とあれば行けないことはない。突っ込むことにした。

悪名高い黒仁田林道を振り返ります。

黒仁田林道_リスク分析(5段階評価)

リスク①:横溝による底突き ★★★★★(max)

結論から言えば普通車でも行ける。今まで自分が経験してきたパニくるような最凶林道の部類ではない。しかし車高の低い車は間違いなく100%車の底を擦る。「車の底を擦る」というと走行できないような響きがあるがそういうわけではない。

黒仁田林道の最大のリスクは轍が深いわけではなく(深いところもあるが)、”横溝が多い”ということ。この横溝が頻繁に現れるため底を擦るのだ。ただ林道走行も運転次第というところがあり、底を擦るのはたいてい運転が雑という場合が多いと思う。どういうことかというと、車のタイヤが溝に落ちるときと溝から這い上がるときにスピードが落ち切っていないと荷重がかかってサスペンションが縮み、結果車高が低くなって底を擦るのだ。要は溝の通過時に車速を0km/h付近または完全停止してサスペンションを縮ませなければ、車高の低い車でもなんとか底を擦らないケースが多い。

今回は慎重に慎重を重ねて林道通過に1時間たっぷりかける予定で臨み、横溝の通過のごとに完全停止で運転した。結果完全停止をしても底擦りを回避出来ない横溝が少なくとも2か所はあった(それ以外にも何度か底擦り)。すなわち車高の低い車は100%底を擦るのだ。しかし完全に車速をゼロにしているので、擦った衝撃でパーツ損壊までは至らず擦りながら通過するというわけだ。結果重大なトラブルには至らなかった。ただし油断して十分に車速を落とさず通過すると激しく底突きするので、特に荷重が乗りやすい下りは細心の注意が必要なのは言うまでもない。

リスク②:パンク ★★★★

黒仁田林道はそこそこ落石もあるが、尖った石が散乱しまくっているというわけではない。十分に車速を落としていればパンクリスクは通常の未舗装林道と同じレベルに近い。しかし途中走行路上にあってどうしても避けられない尖った石や、そのまま通過すると必ず腹をするような大きな落石は、2度ほど車から降りて取り除いた。危険を冒して尖った石をソロソロ踏むよりかは、さっさと取り除いた方がよい場合もある。

リスク➂:道幅&すれ違い ★★★★

黒仁田林道は、3ナンバーの普通乗用車が通れるだけの道幅しかない。この一車線の以外の両サイドは恐ろしく尖った落石が積み重なり、とても外れることはできない。実際普通に走っただけでも、タイヤのサイドには多数の擦り傷が付く始末。下手をするとパンク修理不能なタイヤのサイドを裂いてしまう恐れがあり、両サイドの落石にも注意が必要。

また道幅だけでなくすれ違い場所があまりなく、対向車が来たことを思うと背筋にゾっとするものを感じる。ただすれ違い場所が皆無というわけではない。林道序盤はすれ違い可能な場所はないが、中盤~終盤にかけてはすれ違い場所はある。なので過度にすれ違いを気にするより、すれ違いが起きるような遅い入山を避けることを心掛けた方がよいと思う。

リスク④:林道の長さ ★★★

未舗装路が長ければ長いほど精神も消耗し、パンク等の処々のリスクも比例して高まる。そのため未舗装路の長さは重要なリスク要因の1つだ。
黒仁田林道は全長およそ9kmだが、最初の3kmほどは舗装路で特段問題ない。すなわち残りの6kmの未舗装路を慎重に対処すればよいということになる。たまに10kmを超える林道もあるが、それと比べれば6kmは通常耐えられる範囲にあると言える。

経験上、どんなに慎重に運転しても未舗装路で100%パンクを回避できるわけではない。そのため、黒仁田林道だけではなく他の林道通過時の必要条件は、スペアタイヤを車載しているかどうかだと思う。
自分の愛車を傷つけたくはないのは誰しも一緒だが、レンタカーといえどもパンクした場合の悲惨さはマイカーとは変わらないので、同様に慎重な運転が必要だと思う。ところで最近のレンタカーって使ったことないが、スペアタイヤって車載しているのだろうか?

 

黒仁田林道_レポート(往路) 2022年5月

遠征先でさらに山深い山域での車トラブルは極力回避しなければならない。経験を重ねるたびに未舗装林道が怖くなる。自宅から1,000km以上も離れたこの九州の地での5回目のパンクは絶対回避だ。
黒仁田林道はおよそ9km。超低速の時速10km/hで走行するとすると1時間はかかる。逆に言えば通過で1時間をかける予定で臨めば焦る必要はない。さぁ、焦らず行ってみよう。

今日のスタートは、昨日の雲仙岳からフェリーで移動した熊本から。黒仁田林道に入る県道6号_日之影宇目線も舗装路ではあるが、なかなか狭くて長かった。橋を渡って左へ。

林道入口の看板。黒仁田林道の矢印が示す。いよいよ奥村林道(→黒仁田林道)へ入る。

手前の奥村林道から黒仁田林道の全長はおよそ9kmだが、最初の3kmほどは舗装路で特段問題ない。

3km舗装路を走ると、出たよ、ダートだっ!ボッコボコだよ!!緊張が走る。ここから臨戦態勢に入る。初めての林道は、この先どういう状況が出てくるのか分からないところが怖い。
今日は時間があるから、時間をかけて絶対にトラブル(パンク)を起こさせない作戦で臨む。

黒仁田林道の最大のリスクはこの横溝。この横溝が頻繁に現れるので、そのたびに車速0km/h付近または完全停止して慎重に通過する。車高の低い車は生きた心地がまったくしない。この横溝は完全停止しても腹を擦った。

この横溝も底擦り。完全停止をしても底擦りを回避できない横溝の1つ(最低2か所はあった)。車高の低い車は100%底を擦るという、自分の愛車REVORGでは相性最悪の林道だ。道幅も1車線ですれ違い場所もほぼないのが、さらなるプレッシャーとなる。夜間アプローチですれ違いがない、というだけでも安心感が違う。

落石もあるが尖った石が散乱しまくっているというわけではない。このように落石が散乱する未舗装路ではスピードが命取り。出しても10~13km/hくらいで、20km/hは完全な速度超過だと思う。

おいっ!これはさすがに無理だよ。フロントエアロがかち割れるわ。2度ほど車から降りて落石を取り除いた。

いやぁ~~~っと着いたよ!悪路の黒仁田林道をきっちり1時間かけて走行し、夜明け直後に九折越ルート登山口に到着した。

当然一番乗り。特に焦る必要はないのでゆっくり食事をして登山の準備を整える。逆にいつものように山頂夜明け予定で早く登って早く下山すると、黒仁田林道で入山の遅い登山者とのすれ違いで往生するのが怖い。

最凶林道ではなかったが、初めての林道で生きた心地がしなかったのも確かだ。到着して4輪に異常がないことを確認して一安心。フルタイムの四駆は非常に心強いが、毎度ながらこの低い車高の車で臨むものではない。

登山口の駐車スペースから先も林道は伸びる。車で進めなくはない。

600mくらい進むと涸沢に突き当たって林道が終わる。この林道終点付近にも数台が駐車できるスペースがあるが、作業車や回転場所を考えると、登山口の駐車スペースに止めた方がよいと思う。

 

黒仁田林道_レポート(復路)

傾山登頂を果たして下りてきた。作業車かな。一応ここが最奥の駐車スペースではあるが、貴重な回転場所でもあるので、登山者は登山口駐車スペースへ。

11:50 下山。なんと駐車スペースほぼいっぱい。人のこと言えないけどよくここまでその大きな車で来ましたね(大きさよりも車高が重要)。びっくり。

さて、気を抜かず黒仁田林道を戻りましょう。林道を通過し終えるまでが登山です。
一番気を付けなければならないのは、この下山後の解放感かもしれない。

下山後の解放感にまかせて快走するとパンクする、っていうオチが付いてくるから。油断していたらここでもドガン!と底を擦ってしまった。下りは荷重が乗るからスピードにさらに注意しましょう。

やっと未舗装区間を抜けたよ!尖った落石はすべて回避じゃ回避!

ここまでくればもう大丈夫。疲れた~。ある意味登山よりも疲れるのは間違いないかもしれない。

車高10cmちょっとの車でも慎重に走れば(完全停止しても底擦るけど)大丈夫、という参考です。タイヤのサイドに無数についた擦り傷が林道の激しさを物語る。エアロパーツは林道には不要です(笑)。タイヤも無事だった。この時点では...、そうこの日は確かに無事だった。

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