山岳その他

山登りのひざ痛防止対策 ~最強装備はこうなった!三種の神器で長く山登りを楽しもう~

楽しい山登りで悩まされるのが、膝痛。
登ったはよいよい、下りのことを考えると憂鬱になったり、実際下りで膝を痛めて、数週間くらい膝が痛くて日常生活に支障をきたしたことありませんか?

shibawannkoも上りよりも下りが苦手で、今まで幾度となく膝痛に悩まされてきました。しかもshibawannkoは登山というより山岳写真を撮ることが目的なので、他の登山者よりも一眼レフ+交換レンズ+三脚といった撮影機材の分だけ重量が増えるので、膝への負担も結構なものとなります。

膝痛予防にはまず第一に大腿四頭筋を鍛えることは重々承知してはいますが、そうはいっても仕事が忙しかったり、いつも万全な状態で山に向かえるわけではありませんよね?
それに年齢を重ねると、どうしても筋力を維持することが難しくなってきます。

そこでshibawannkoが行き着いたのが、大腿四頭筋の脚力はそのときあるもので何とかするしかないとして、脚力以外の部分で最大限膝を守るようにすれば、山登りを長く継続できるのではないか、と考えたのです。
shibawannkoの膝痛防止の装備を、使用感とともにご紹介します。

shibawannkoの膝痛防止の三種の神器

☞ 膝痛防止対策を試行錯誤でいろいろ試してきて、shibawannkoの膝痛防止アイテムは今ではこんな感じに至っています。3シーズンの標準装備です。
① ダブルストック:Black Diamond_ディスタンスカーボンZ
② サポートタイツ:CW-X スポーツタイツロング丈ジェネレーターモデル
➂ 膝サポーター:ZAMST_EK-1
④ トレランシューズ:SALOMON_トレイルランニングシューズ
⑤ 厚手の靴下:mont-bell_WIC.サポーテック トレッキングソックス

ダブルストック_Black Diamond ディスタンスカーボンZ

まず膝痛防止対策として、一番最初に導入したのがダブルストックです。
最初は、カーボン製のスキーのストックを流用していましたが、山登りには重く嵩張り、満足いくものではありませんでした。
カーボン製で軽量と言えども、山の下りで使うには、重くて足に先行して突くことがかったるく、下り以外で使用しないときは折りたためないので、リュックに括り付けるとガンダムのビームサーベルのように頭より突き出ていました。扱いづらくて、そのうち持ち出さなくなりました。

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 24mm f11 1/100sec ISO100 PLフィルター

☞ 剱岳山頂(2,999m)。山頂まで自分の手足のようにダブルストック使用。鎖場もストックを収納せずそのまま上っていって後から気付きました。さっきの岩場、カニの立縦ばいだったんだ...(笑)。

そこでちゃんと登山用のストックを購入しようと吟味して辿り着いたのが、ブラックダイヤモンドのディスタンスカーボンZです。
店頭で手に取ったときに、これだっ!と思いました。
shibawannkoは、このディスタンスカーボンZを登山初期の頃から使っていて、正確には分かりませんが、かれこれもう15年以上使用しているでしょうか。今では手足の一部のようになっています。
山登りでは、平地以外上りでも使用し、沢登りでも、滑落の恐れのない冬山でもどこでも一緒です。岩場でも巧みに使いこなし、カーボンZがあった方が岩場も快適に通過できるくらい四肢の一部のようになじんでしまっています。

それでは、ディスタンスカーボンZの特徴を紹介していきます。

❖ 軽さ

この製品の最大の特徴は、”とにかく軽い!”ということです。shibawannkoが使っている110cmのサイズで、ペアでなんと285g
ストックに軽さが必要?と思われる方もいらっしゃると思いますが、使ってみると分かります。ストックを使うのは、両足だけでなく2本のストックにも体重を分散して足への負担を軽減する訳ですから、足を地面に着くのに先行してストックを突く必要があります。ストックが軽ければひょいひょいと突くことができ、下山スピードを損ねることなくかつ、腕の筋力の消耗も防ぐことができます。ストックは軽いに越したことがありません。

❖ 強度

また軽すぎて強度的に大丈夫か?と思うところもありますが、相当強いので通常の使用で折れることはありません。ディスタンスカーボンZを、山で10年以上ハードに酷使してきましたが、それでも折れません。
転倒した際に、ストックが岩場に挟まってテコの原理で折れるような荷重が何度も加わったことがありましたが、折れませんでした。
そんな酷使してきたディスタンスカーボンZも、10年以上使ってきていてヘタっていたのか、沢登りで2m弱の高さを落ちたときには、その衝撃荷重でついには折れてしまいました。
しかしそれまでの使い方を考えれば、山登りで心配する必要がないくらいの強度を備えている、といっていいと思います。
ちなみに、沢登りで折れた次の山行には、新しくディスタンスカーボンZを新調し、今では2代目となっています。

❖ 収納性

ディスタンスカーボンZは、折りたためはすれど、伸縮機能はないので長さは固定です。なので、自身の身長にあった長さのサイズを購入します。
上りでは短く、下りでは長くして使いたいという要望もあると思いますが、身長に合った長さのストックを使っていれば(慣れの問題もあると思いますが)、上りも下りも伸縮させなくてもさほど問題がないと感じます
逆に伸縮式の方が留め具による重量増やスペース増、強度不足の点でデメリットとなり、別に折りたためてコンパクトにさえなれば、伸縮機能など不要と思っています。ここらへんは、個人の好みでしょうね。
ディスタンスカーボンZは、三分割にして折りたたむことができるため、折りたたむと長さ40cmにまで短くなり、非常にコンパクトです。なので、ディスタンスカーボンZを常にリュックに括り付けています。リュックの左側に括り付けると位置を決めているので、登山口に着いてから「ストック忘れた!」なんてことも起こりません。

❖ 冬山使用

雪山では足場が不安定のため、無積雪期に比べてはるかにストックの使用度が高まります。雪山と言えばピッケルを使うというイメージがあるかもしれませんが、ピッケルを使うのは滑落の危険のある稜線などだけです。使用頻度としてはピッケルはほんの一時で、雪山ではダブルストックを使うことがほとんどです。
そんな雪山で、ディスタンスカーボンZは使えるのでしょうか?

結論から言えば普通に使えます。ただディスタンスカーボンZのバスケットは非常に小さいので、雪山で浮力を得ることが困難です。固くしまった雪ならば問題ありませんが、新雪や深雪ともなると、かなり沈み込みが激しくなります
また石突部分が、長くて尖っている雪山用のストックと比べると短く丸まっています。そのため、ストックを雪面に刺して体を支えることは苦手で、固い雪だと刺さらないこともあります。
では雪山では使えないかと思われますが、装備重量が増える雪山で、ディスタンスカーボンZの軽さは非常に有効で、多少雪面に差し込みづらかったとしてもあまり問題となることはありませんでした。実際、shibawannkoは、厳冬期の北岳(1回は白峰三山縦走)に3回ディスタンスカーボンZで登りましたが、何の支障もなく、逆にこれ以上嵩張って重いストックは使いたくないとも思いました。

shibawannkoは、厳しくない雪山では、ディスタンスカーボンZにスノーバスケットを装着して使っています。これで少しは浮力を得られるので、ディスタンスカーボンZの軽量を冬山で生かせるので重宝しています。
ただ、ディスタンスカーボンZ用のスノーバスケットは、横から押し込むだけの装着方法なので、はっきり言って外れやすいです。雪山でガシガシ突いて使っていると、横方向の圧がかかったときが外れやすく、2度なくしました。一生懸命探しましたが、雪山で落とし物を探そうとしても出てきませんよね...(涙)。
そこで、ディスタンスカーボンZをもう1本追加し、スノーバスケットを接着剤で固定して外れないようにし、雪山専用にして使っています。

山スキーを少しかじったときに、同じブラックダイヤモンドのウィペットポールを購入したので、現在では雪山によって、①ディスタンスカーボンZ+スノーバスケットか②ウィペットかを使い分けています。

サポートタイツ_CW-X スポーツタイツロング丈ジェネレーターモデル

ダブルストックとほぼ同時にサポートタイツも使い始めました。
使っているのは、ワコール製のCW-X スポーツタイツロング丈ジェネレーターモデルです。同社で様々なタイプのサポートタイツが販売されていますが、なんとしても膝痛を防ぎたかったので、一番サポート力が高いとされるジェネレーターモデルを使っています。
では、実際の使用感をお伝えしていきます。

EOS5D MarkⅡ+EF24-105mmF4L IS USM 105mm f11 1/6sec ISO200 PLフィルター

☞ 辿り着いた標高第3位の奥穂高山頂は素晴らしい景色(3,190m)。けれどここから上高地まで何m下りなければならないのでしょう。このゴツゴツ硬い岩場を。

❖ サポート力

他のサポートタイツを使ったことがないので比較はできませんが、純粋にサポート力はあります。表現するのは難しいですが、膝がしっかり固定されるのでしょうか、使わなかった時と比べると膝痛は確実に軽減されます。一度サポートタイツを履いてしまうと、履かずに山に入るのが防御力がゼロのような感じがして、履かずにはいれなくなります(笑)。
なのでshibawannkoは、サポートタイツを履きはじめた時から、どんな低山でもサポートタイツを常に使用しています。下りだけではなく、上りでも安定感が増すような感じがあり、登山中はずっと履きっぱなしです。

❖ その他の効果

このCW-Xのジェネレーターモデルは、サポート力を最大として設計されているせいか、生地が厚めです。なので「吸汗速乾」とはなっていますが、濡らすと厚手の分やや乾きづらい感はあるかと思います。

またこの厚手の生地が別の効果を生み、結構暖かく耐風性があります。なので春~秋山までは、サポートタイツ1枚で快適なケースが多く、パンツも短パンとの相性が非常によいです。shibawannkoは、冬山以外はサポートタイツ+短パンという登山スタイルになって、長ズボンが要らなくなりました。秋の稜線で寒いときは、ゴアテックス製の雨具のパンツを履き足せば十分です。

このサポートタイツ+短パンというトレラン風のスタイルのメリットは、軽くて動きやすい、ということです。たかだか長ズボンと短パンで何が違うのか?と思う方もいらっしゃると思いますが、やってみると分かります。実に軽快です!
サポートタイツを使うと短パンでOK!という副次的なメリットもありますので、試していただければと思います。ただ稀にサポートタイツだけの方もいますが、ちょっとそれはどうか...、と個人的には思ったりします(笑)。

❖ 耐久性

ではこの手放せなくなったサポートタイツの耐久性はどうでしょうか?結論から言うと消耗品ですが、そこそこもちます

消耗する主な要素は、①転倒等による破れと、②使用に伴う生地の伸び、の2つだと思います。
①の転倒による破れは、山なので起こり得ります。転んで破れたり、倒木をまたぐときに引っかけたりと、派手に破くこともあります。ただ破れたとしても見てくれを気にしなければ、縫えばよいだけです。生地も黒系のものが多く縫製したとしてもあまり目立たないので、破れで直接使えなくなることには繋がらないと思います。
不可避なものは②の使用に伴う生地の伸びです。サポートするために伸縮性のある生地を使っているため、使用によってだんだんこの伸縮性が失われていきます。そうするとサポート力も落ちて来るので、そこが寿命と言えます。

実際どのくらいもったでしょうか。shibawannkoは、およそ15年ほど夏用2モデル+冬用1モデルを使用しているので、1モデルで5~6年は使えています。その間、転んだり引っかけたりして縫いが入っていますが(笑)。

❖ 冬山使用


当然ながら、冬山にもサポートタイツを使用しています。モデルは同じジェネレーターモデルですが、冬用の保温タイプです。このモデルがshibawannkoの冬山装備で欠かせないモデルとなっています。

それは、サポート力は当然ありながら、かなり暖かいのです。冬山で氷点下10度を下回る強風下に耐えるMaxの地獄装備でなければ、この冬用のサポートタイツとシェルの2枚で十分足りるくらいの温かさがあります。冬山で下の装備を3枚以上重ねると、衣類の嵩張りや摩擦で脚の動きが大きく制約されてしまいます。なので、冬山で下の装備が2枚で足りるということは、スムーズに足を動かすことができて、かつ体力消耗が抑えられるのです。
しかもこの冬用のサポートタイツは、表面が結構ツルツルしているので、外側のシェルとの摩擦が少なく、よりスムーズに可動域を大きく足を動かすことができる優れものなのです。

膝サポーター_ザムスト EK-1

膝痛防止対策として、一番最後に導入したのが膝サポーターです。
サポートタイツ+ダブルストックでなんとか山登りを継続してきましたが、加齢とともに脚筋力の維持が難しくなってきたのでしょうか。サポートタイツとダブルストックを併用していても、膝痛がだんだん回避できなくなってきました。

特に厳冬期の冬山にテントを担いで登るような激しい登山を行うようになると、通常の撮影機材に加えて冬山テント泊のフルセットとおなると22~23kgは下回らなくなります。その重さに膝が耐えられなくなってきたのでしょう。山行後2~3週間、膝痛で日常生活に支障が出るときもありました。
「もう激しい雪山は無理なのかなぁ~」と思っているときに、どこかの山で休憩しているときに、目の前を通り過ぎた登山者にふと目が留まりました。その登山者は自分と同じく、サポートタイツ(+短パン)+ダブルストックというスタイルなのは同じなのですが、サポートタイツの上にさらに膝サポーターを巻いていたのです。これかぁ~!と思い、真似して膝サポーターを即購入しました。

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f8 1/500sec ISO100 PLフィルター

☞ 13時間の上りを経て、いよいよ近づいてくる標高第2位の北岳(3,192m)。撮影機材を含めて20kgを超える冬山フルセットの装備が体に重く重くのしかかる。

❖ サポート力

最初はあまり仰々しくない軽いものを、ということで、膝を左右から挟むタイプではなく、筒状のものにそのまま脚を通すタイプを購入しました。しかし、使用しているうちに膝の位置からサポーターが大きくずれてしまい、効果も感ぜずお蔵入りになりました

そこで、ワンランク上のサポーターを試すことにしました。購入したのはザムストEK-1というモデルで、膝をマジックテープで両側からとじるタイプものものです。
サポート力はというと、さすがに膝サポートだけあって、ガチっと膝がブレるのを防いでくれます。しかもこのモデルは膝の両側に樹脂ステーというものが入ってて、曲げると軽く戻るような働きをします。なので、膝を曲げるときに衝撃を弱めてくれるだけではなく、曲がった膝を伸ばしてくれるようにも働くので、何となく足が先に先にと動くような感じもします
サポートタイツと合わせると、かなりの強力な膝痛防止になります。今では、サポートタイツを付けるときは必ず一緒に巻いています。

❖ 耐久性他

耐久性はというと、普通に丈夫です。
購入してから今で3年くらい経ち、山登りのときは常に使っていますが、少しほころびが出たくらいで、まだまだ使えそうです。

その他の装備

膝痛防止には、上記の①ダブルストック、②サポートタイツ、➂膝サポーターが効果的です。
紹介した三種の神器と比べると僅かかもしれませんが、次のような装備も膝痛防止に効果があると思いますので、ご紹介しますね。

EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 28mm f11 1/125sec ISO100 PLフィルター

☞ 厳しい岩場がない足首を捻る要素の少ない登山に、くるぶしまであるハイカットの重いブーツは必要でしょうか?靴を軽くすると足が先に先に進みます。

❖ 軽くて柔らかいトレランシューズ

膝痛を起こしやすい山として、北アルプスのように標高差があって地面が”岩”で固い山が挙げられます。比べて低山のように地面が”土”で柔らかい山は膝痛を起こしにくいと言えます。

これは装備側の登山靴でも同じことが言えます。山登りを始めたころは、教科書に書いてある通りのくるぶしまである3シーズン用の革靴を履いていました。重量としては700g前後あったと思います。
これらのしっかりした登山靴は、往々にしてソールが硬いのです。そんなソールが硬い靴で、硬い岩盤をガンガン下りていればそれは膝にも来るってものです。

今では冬山以外はほとんど、300g台のトレランシューズを使っています。当然ながら足先の重量が軽いと疲れません。300g台と500g台では、その差はたった200gですが、疲労度は結構違います。足がサッサッと素早く出ていくような感じです。
またトレランシューズはだいたいソールが柔らかいので、衝撃吸収が優れています
重い撮影機材を背負う分だけしっかりした登山靴が必要になる面もありますが、軽くて柔らかいトレランシューズで軽快でよい(これで十分)、ということで今の自分のスタイルになっています。

❖ 厚手の靴下

地味なところですが、衝撃吸収という観点から、靴下が厚手か薄手かでも変わってきます。
あるとき地方遠征していたときに、なんだかいつもより足が痛むことに気づきました。その理由はいつも使っている靴下よりも薄かったのです。気づいて厚手のものを使用すると、なんとまぁマイルドなこと(笑)。
靴下が厚いか薄いかで膝痛になるかどうかまでは影響しないかもしれませんが、衝撃を受ける足の裏へのダメージという観点では、厚手の靴下の方がダメージがなかったのは確かです。

まとめ

shibawannkoの膝痛防止アイテムを、使用感とともに紹介してきました。いかがでしたでしょうか?
膝痛を抑えて、長く山登りを継続できるとよいですね。

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