晴天の山の紅葉を狙って、今年も昨年に続いて東北に狙いを定める。吾妻山~飯豊連峰あたりの南東北を想定してとりあえず家を出る。
移動中に紅葉と天気予報を確認すると、なんと南東北エリアは紅葉にはまだ早く、天気予報も悪転して明日の天気が良くないときた。紅葉見頃で晴天エリアの山を探すと...、秋田駒ヶ岳。秋田駒ヶ岳は以前紅葉の時期に訪れているが、遠征中に天気が悪転して雨の中の真っ白惨敗山行だった。
秋田駒ヶ岳の紅葉の撮り直しでもよいが、既に福島まで走って300km。さらに秋田まで追加で350km運転すると650kmにもなって、ヘトヘト疲れる。そしてまったく寝る時間もない。しかし紅葉時期の貴重な晴天の一日を無駄にすることはできない。
3度目となる秋田駒ヶ岳。今回で最後とすべく、撮り納めとして秋田駒ヶ岳まで行ってみよう。
登山ルート
〔距離〕10km/〔累積標高〕600m
〔山行〕4時間10分/〔休憩〕2時間00分/〔合計〕6時間10分
山行記録 2024年10月11日(04:50-11:00)
上り(駒ヶ岳八合目小屋 04:50 ⇒ 05:50 秋田駒ヶ岳 06:30)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/8sec ISO100 PLフィルター
秋田駒ヶ岳はマイカー規制(5:30-17:30)があるので、交通規制される5時半までに八合目まで上がってしまうのが吉。
04:50 駒ヶ岳八合目小屋スタート。積雪期以外はそれほど朝焼け夕焼けに拘ってはいないが、八合目スタートなので、山頂までコースタイム1時間35分で短く負担は少ない。せっかくなので、山頂までの間の紅葉は暗くて撮れなくなるが、山頂朝焼け撮影といこう。
だんだんと明るくなってくると、綺麗に色づいている紅葉が見えてくる。紅葉がハズレではなく、事前情報どおり綺麗に色づいていることを確認して少し安堵。
日の出前で、秋田駒ヶ岳(男女岳)の西斜面に広がる紅葉が撮れなくて残念だが、今日は先を急ぎたい。天気がもてば、乳頭山(烏帽子岳)まで往復して、秋田駒ヶ岳~乳頭山の秋色に染まる稜線の紅葉を撮り尽くしたいのだ。そしてあわよくば下山後に、山麓の十和田湖一周サイクリングまでするという計画。
頂上台地まで登り切ると、眼前には赤く染まる男岳。秋田駒ヶ岳の朝焼けスポットなんて考えたこともなかったが、地形的に東側に位置する男女岳の方が男岳よりよいだろう。
男女岳の分岐に急ぐと阿弥陀池。水量がなんかとっても少ない気がするけれど、以前もこんだんだったっけかな?風がなく水鏡になっている。
秋田駒ヶ岳(男女岳)へ登り始めて、途中ですぐに夜明け。日の出時刻を調べなかったが、緯度が高い分だけ夜明けが早いのか。油断していた。日は昇っているのだが、東の空の雲に遮られて、まだ光が届かない。朝焼けナイトハイク失敗か?という思いが頭をよぎるが、間に合わすしかなし。とりあえず山頂へ急ぐ。山頂までCTを縮めて1時間で行けるだろう、という算段が少し甘かったか。東の空は、神々しい光景が広がっている。
05:50 八合目駐車場から1時間で、秋田駒ヶ岳(男女岳)山頂着。夜明けから少し時間が経っていたが、なんとか朝焼けのピンク色が抜ける前に到達することができた。急いで山頂写真を撮る。行程が短いので、わざわざ担ぎ上げた100-500mmの超望遠レンズで朝日を撮る。東の空は雲がまだ残るが、雲の間から朝日が差し込む。雲と雲海があることにより、ドラマチックで幻想的な朝焼け写真を撮ることができた。
やっぱり山岳写真は、山頂(または稜線)夜明けが基本だな。頑張ってナイトハイクしてよかった。
秋田駒ヶ岳山頂(05:50 ⇒ 06:30)
EOS R5+RF100-500mm F4.5-7.1L IS USM 500mm f8 1/13sec ISO100 PLフィルター
夜明け時に雲の隙間から日が差してくれたと思ったら、また雲に隠れたり難しい天気だ。僅かに日が差す瞬間に山頂景色を撮影する。
このエリアの盟主、岩手山だけが2,000mを超え(2,038m)、ひときわ高く聳えている。山頂は雲に覆われ、至る稜線は滝雲となっている。嵐から明けた後のようでドラマティックな光景だ。タイミングが難しいが、天気が回復するときと悪化するときに、よい写真が撮れることが多い。
岩手山の手前は、今日これから向かう笊森山~乳頭山(烏帽子岳)への緩やかな稜線が連なる。緑の笹原に紅葉が点在し、紅葉は今が最盛期。どれだけ紅葉の写真が撮れるのだろうか、と心が躍るが、乳頭山(往復)はちょっと遠いな...。
500mmの望遠端で乳頭山を捉えると、山肌が紅葉でびっちり埋め尽くされている。素晴らしい...。今日はこのエリアの紅葉を撮り尽くそう。
雲に遮られ微妙に変化する日差しを狙って、しばし山頂風景撮り尽くし。
北西方向に見える高い山は、森吉山だろうか。手前の山々も全山紅葉している。
秋田駒ヶ岳の乳頭山方面の北東方向の斜面は、紅葉のパッチワークが素晴らしい。もう少し日が差してくれるとありがたいのだけれど、日が回り込むまでは待ってはいられない。
西方面の眼下には、丸く口を開けたような田沢湖。はるばる650kmも運転してきたからには、田沢湖一周サイクリングまでしておきたい。そのために、ロードバイクを積んできたのだ。
南方向には若干低い山々が連なるが、2年前にようやく登ることができた和賀岳かな。よい山だったけれど、ひどい藪山で難易度は低くはなかった。あとの低い山々は分かりませぬ。今更だけど、そろそろ山座同定アプリを入れた方がよいのだろう。
06:30 360度の山頂風景を撮り終えたので、そろそろ先を急ぎましょう。次は秋田駒ヶ岳の代表景観ともいえる、小岳と女岳の火口を撮るべく、横岳へ向かう。
向かう横岳も、綺麗に紅葉しているのが見える。
横岳(秋田駒ヶ岳山頂 06:30 ⇒ 07:00 横岳)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/13sec ISO100 PLフィルター
男女岳から下りてくると、数名の登山者とスライドする。自分と同じく乳頭山まで縦走するのだろうか。
阿弥陀池まで下りれば、朝日に染まる男岳。今日は時間がないので、反対方向の男岳はパス。振り返れば避難小屋と男女岳。秋田駒ヶ岳は八合目から登れて、各ピークへの標高差が少ないのが嬉しい。
07:00 避難小屋から10分くらいで横岳分岐の稜線に出る。稜線を横岳方面ではなく、反対側の男岳方面へ進むと、小岳と女岳の展望が良い。
小岳と女岳と稜線上の紅葉が絡むポイントを探すと、上手く女岳と稜線の紅葉が絡んでくれた。女岳は山頂に火口と思われる小さな窪みが2つ。背後には田沢湖。
そして今日のメインの目的である小岳は、手前の真っ赤な紅葉と絡んで、背景には和賀岳、そして立体的に浮かび上がる良い斜光線。素晴らしいね!あまり光線状態とかまでは考え切れていなかったけれど、パーフェクトだ。
小岳はただ単に火口が口を開けているのではなく二重になっていて、その笹原の斜面を紅葉が彩る。小岳まで下りて行っても素晴らしい紅葉が撮れそうだけれど、まだ日が回っていないのと先を急ぐので、今日は上から眺めるだけで。
いやぁ、自然の造形って不思議というか美しい。もうこの時点で元が取れた感じだ。
07:20 小岳と女岳を入念に撮影して、乳頭山への縦走を開始。次のピークの焼森に向かう途中でも、稜線上の紅葉と乳頭山~岩手山の山々が絡む写真が撮れる。橙色の紅葉だったり真っ赤な紅葉だったりと数カット撮れるが、手前の紅葉が変わっても、遠くの山並みは変わらないんだな。w
変化を付けるために、紅葉と和賀山塊を絡める。
焼森(横岳 07:20 ⇒ 07:30 焼森)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 35mm f11 1/40sec ISO100 PLフィルター
紅葉が点在する稜線を進んでいくと、何も生えていない真っ黒な裸地が現れる。振り返れば紅葉の稜線と和賀山塊。
07:30 ただただ平たい中央にケルンと標識が立つ。そこが焼森山頂。焼けたように真っ黒だから、焼森なのかな?
焼森山頂から反対側へ踏み出すと、眼前に笊森山~岩手山への大展望が展開する。笹と紅葉のパッチワークの中に登山道が伸びる。いいね!標高差も少なさそうで、乳頭山までコースタイムを縮めてサクッと往復できそうだ、と思っていたのだけれど...。
いざ、笹と紅葉のパッチワークの斜面にダイブ!
すると登山道は深く掘れており、登山道の幅も狭くて歩きづらい!標高差の少ない緩やかで歩きやすい縦走路かと思いきや、ちょっと違った。しかも笹が張り出しているものだから、朝一番の露払い役を任されて、サポートタイツを伝って靴が浸水する始末。
登山道脇にところどころ紅葉があるため、紅葉と正面の湯森山の写真が撮れる。ただどこまで行っても湯森山なんだけれど。w
湯森山に近づけば、振り返れば紅葉と秋田駒ヶ岳。あまりの歩きづらさで、コースタイムとあまり変わらない時間がかかってしまった。
湯森山(焼け森 07:40 ⇒ 08:30 湯森山 09:20)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/30sec ISO100 PLフィルター
08:30 想定外に足と時間を取られつつ、湯森山山頂着。この時点で急激に雲が湧いてきて、上空を覆い始める。天気予報通り、僅か3時間の晴天だった。ただここまでで十分秋田駒ヶ岳の紅葉写真を撮れており、ナイトハイクして本当によかった。
湯森山山頂はなだらかすぎて、特によい眺望なし。実は湯森山から少し笊森山方向へ進んだところに開けたちょっとした岩場があり、こちらが大展望。天候の悪化により、乳頭山への縦走ピストンは急遽中止。急いで進んだとしても、乳頭山に着く前に雲に覆われてしまいそうだ。しばし早い昼食を摂りつつ大休止。
僅かに差し込む日差しを生かして、山頂風景を余すところなく撮る。
真っ赤な紅葉を手前に配して、秋田駒ヶ岳と合わせる。引いてもまた良し。秋田駒ヶ岳の上空まで雲が広がってきた。超望遠で、笹と紅葉のパッチワークを切り取る。秋田駒ヶ岳の東側斜面は、火山ぽく白い山肌が露出している。
本当に複雑な地形で、三度来たら何となく頭に入った。
北東方向の岩手山は、もう雲隠れしてしまった。乳頭山は、まだ辛うじて日が当たっている。笊森山~乳頭山への縦走路を見るとよく紅葉している。この機会に乳頭山の紅葉も撮りたかったなぁ~とは思う一方、湯森山までの歩きづらい道は少し困る。よく見るとやっぱり結構掘れてそうだ。
09:20 山頂風景を撮り終え、すっかり曇ってしまったので、帰路につく。
笹森山経由で八合目まで戻ることになるが、こちらの道は歩きやすいといいな。
下り(湯森山 09:20 ⇒ 11:00 駒ヶ岳八合目小屋)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/25sec ISO100 PLフィルター
笹森山までのルートは、先の焼森~湯森山間よりは歩きやすく、サクサク下る。ところどころに紅葉が点在するので、日差しを待って撮影。待ってもなかなか日差しが来ない場合は、残念だけど先に進むしかない。
先に進むと、秋田駒ヶ岳が姿を現してくる。朝、秋田駒ヶ岳山頂から見た東斜面の紅葉が、素晴らしく綺麗だ。これぞ東北の紅葉という感じ。ここは粘って、日差しが差すのを待って撮影。ずっと晴れていてくれれば、もっと短時間で済むんだけれど。
さらに進むと、紅葉した秋田駒ヶ岳の全容が見えてくる。ここも素晴らしい撮影スポットだ。
多くの登山者は、八合目から焼森までの周遊で終えてしまうけれど、反対側の笹森山~湯森山方面へ少し進むだけで、こんな景色が見れるとは。もう少し雲の少ない青空の写真を撮りたかったな。う~ん、東北遠征は何度も来ているけれど、東北の天気って難しい。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/40sec ISO100 PLフィルター
牛歩のような速度で、ようやく笹森山分岐に到着。こちらの紅葉もなかなかのもの。湯森山~笊森山の北斜面の紅葉がお見事!しかも手前の紅葉と合わせられる。いやぁ~、素晴らしいんだけれど、ここの上空は雲が厚く、残念ながらずっと待っても日差しは来なかった。そのうちどんどん雲は厚くなり、行こうとしていた乳頭山は真っ黒になっちゃったり。突っ込まないでよかった。w
1つの山の紅葉を1回で撮りきるのは、天気や時間帯による光線状態からなかなか難しい。紅葉が点在する滑らかな笹原の中を、景色を楽しみながら進む。だいたい東北の紅葉って、どこ行っても綺麗なんだよな。まだ歩いたことがないルートも、きっと絶景紅葉なんだろう。
最後は、秋田駒ヶ岳を正面に見ながら沢を渡る。まだお花が咲いていたり。秋田駒ヶ岳と紅葉を絡めながら。途中激しく登山道が掘れているところあり。
11:00 湯森山までぐるっと回って、正味4時間(休憩2時間)で山行終了。秋田駒ヶ岳はそれほど大きな山ではないので、短時間でも結構紅葉を撮れたかな。あと数時間晴天が続けば、いろいろ足を延ばして撮り尽くせたと思う。
夏1回、秋2回と計3回登った秋田駒ヶ岳。もうここまで来ることもないでしょう。十分楽しませてもらいました。感謝感謝。
午前中で山行終了できたので、午後は予定通りに田沢湖一周サイクリングへ(おまけで御所湖一周サイクリングも追加)。