東北

〔300名山〕一切経山/東吾妻山 ~魔女の瞳は逆光で撮ると綺麗!家形山まで行くとハート型に~

山の紅葉求めて、秋田駒ヶ岳焼石岳に続き、東北遠征の3日目。

以前一切経山に登ったのは、15年前の2009年。中版カメラのポジフィルムで撮っていた時代で、デジタル画像がない...。と言うことで一切経山の五色沼こと”魔女の瞳”を撮り直したい。ちょうど磐梯吾妻スカイラインの紅葉も見ごろになっているはず。

一切経山の紅葉はどうだったでしょう。

 

登山ルート

〔距離〕18km/〔累積標高〕1,250m
〔山行〕6時間/〔休憩〕1時間50分/〔合計〕7時間50分

 

山行記録 2024年10月13日(05:00-12:50)

東吾妻山_往復(浄土平ビジターセンター 05:00 ⇒ 05:50 東吾妻山)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 48mm f16 1/13sec ISO100 PLフィルター

一切経山エリアは、磐梯吾妻スカイラインで1,578mの浄土平まで上がれるので、標高差は少なく各ピークまで比較的楽に登れる。であるならば、山頂日の出パターンだ。
一切経山を夜明け時に登ってしまうと、目的の五色沼は良い光線状態には早いと思われた。そのため東吾妻山山頂で朝焼けを撮ってから一切経山に移動すれば丁度よいだろう。

05:00 浄土平ビジターセンターからスタート。東吾妻山まで標高差400mしかないから1時間程度で着くだろう、と遅いスタート。が、地図のコースタイムを足し合わせると1時間42分。この時点でコースタイムに対して40分のビハインド、日の出まで50分を切っていることに気付く。3日連続で夜明け前から心拍数Maxでヒルクライム。なにやってんだろうね。w

地図のコースタイムは正確だった。山がなだらかなため傾斜も緩く、なかなか標高が上がらない。しかも東吾妻山の登山道が掘れていて、石ゴロゴロでなかなか登りづらい。
05:50 コースタイムは縮めたけれど、今日も日の出に遅れること5分近く、息絶え絶えに50分で東吾妻山山頂に到着。ピンクの朝焼けタイムは終わりかけだった。想定外だったのは夜明けに間に合わなかっただけでなく、東吾妻山がなだらかすぎて眺望の下半分に山頂が入ってしまうこと。そして針葉樹林ばっかりで紅葉がほとんどない。そもそも朝焼けを狙うに適した山ではなかったかもしれない。

来てみなければ分からないことなので、そのまま山頂撮影タイム。まずは東の空の火の玉太陽から。もう既に橙色。もう5分早かったら、ピンク色~赤色だったのに。間に合わなかったので致し方なし。なだらかすぎる山頂のため、下半分に山頂のシルエットがどうしても入る。
今日も素晴らしい雲海。雲海から顔を出した吾妻小富士の火口稜線には、ご来光目的の登山者がいっぱい。数えたら20人くらいいる。手軽にご来光を拝むには、吾妻小富士がよかったのだろう。どこまでも続く雲海の海が幻想的。

南東には、尖った三角形のシルエットの磐梯山が、雲海を従わせているよう。麓の雲海の切れ目からは、桧原湖がのぞく。今日は一切経山を早く下山して、桧原湖の一周サイクリングをする予定だ。

北東には吾妻連峰で唯一2,000mを超え、最高峰となる西吾妻山。山頂とは言えないくらいのなだらかなでっぱり。こうして見ると吾妻連峰は針葉樹林ばっかりで、山の紅葉時期にも関わらず見渡す限り真っ黒。紅葉の山ではないんだな。冬はスノモン(スノーモンスター)で最高の山なんだけれど。

北側には、これから歩く鎌池と一切経山。見渡す限りなだらかな吾妻連峰の各ピークだ。
山頂で唯一ある紅葉を何とか一切経山と絡めて撮って退散。やや冷たい風が吹いていたが、なだらかな山頂で、風を避けれる場所はどこにもなし。

鎌沼周り(姥ヶ原分岐 07:00 ⇒ 08:10 酸ヶ平分岐)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 33mm f16 1/20sec ISO100 PLフィルター

07:00 そそくさと20分で下山して、姥ヶ原分岐。これから鎌沼を縁を半周して、一切経山への登り口である酸ヶ平に向かう。15年前の記憶で、鎌沼辺りが美しかった記憶があり。
鎌沼に向かう前に、ちょっと浄土平ビジターセンター方面へ戻って、紅葉とのっぺり東吾妻山のカットの撮り直し。東吾妻山に絡む紅葉はこれだけだった。

鎌沼をぐるっと回るルートは、木道が設置されていてとても歩きやすい。序盤で撮れるのは、笹原の中から顔を出す渋い草紅葉が中心。それでも鎌沼の青さが入ると美しい景色へ。
谷地避難小屋からのルートが合流する分岐あたりから、鮮やかなまっ黄色の紅葉が鎌沼の縁を彩り始める。いやぁ~、これは美しい。さっきまで山紅葉の貴重な晴天一日は地味な吾妻山じゃなく他の紅葉の綺麗な山に使った方がよかったんじゃね?とかとか思っていたけれど、前言撤回。吾妻山、いいじゃないか!

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/13sec ISO100 PLフィルター

黄色の紅葉の次は、ちょっと紅葉終わりかけだけど真っ赤なナナカマドが青く澄んだ鎌沼に映える。鎌沼の透明度が半端ない。来た方向を振り返れば、鎌沼の縁を彩る紅葉とのっぺり東吾妻山。吾妻山独特の光景だ。

湿原に一本延びる木道の絵は、山をやっていたからこそ出会える素敵な景色。まだ早い時間だから綺麗に撮れているが、もう少し遅かったら登山者でごった返してすれ違いも困難になるくらい。やっぱり山はなにかと早出が鉄則だ。美しい風景を独り占め。

さらに進めば、酸ヶ平の湿原地帯。草紅葉と池塘が絡んで、こちらも美しい景色。

一切経山上り(酸ヶ平分岐 08:10 ⇒ 08:40 一切経山 09:00)

EOS R5+RF100-500mm F4.5-7.1L IS USM 145mm f8 1/30sec ISO100 PLフィルター

08:10 酸ヶ平分岐から一切経山へ、標高差わずか180mの登り。何事もなければあっという間なのだが、そこは秋の紅葉シーズンの3連休。大渋滞。狭い箇所はすれ違いもあり追い抜かすことも困難なため、他人のペースに任せて歩くしかなし。振り返れば、酸ヶ平から鎌沼と東吾妻山への良い景色。これだけ混雑するのであれば、朝一発、東吾妻山に登っておいてよかった。
標高を上げれば、東の稜線から吾妻小富士のポッカリ口を開けたような火口が見えてくる。

08:40 酸ヶ平から30分で登って、これまた平たい一切経山山頂着。三連休ともあって多くの登山者でごった返している。そして山頂の向こう側へ進むと、いきなし眼前に真っ青な五色沼こと”魔女の瞳”が現れる。この五色沼を目にする瞬間は、2度目だけれど感動する。

しかし五色沼を良い光線状態で撮れるのは早い午前中だと思って9時前に着く予定で行動していたが、光線は斜め後ろからくるややベタ光線。せっかくの青い五色沼とその周囲の紅葉は陰影乏しくあまり輝いてい。綺麗な魔女の瞳の撮影を期待して来たところ、感動薄く結構がっかり。光線状態としては日の出すぐぐらいがよかったのだろうか。
そして五色沼の周囲の紅葉は、黄色は残っているけれど、赤色はもう紅葉終わりかけで色がくすんで褐色になってしまっている。魔女の瞳を撮りに来たのであろう三脚を構えていた隣の登山者は、「ここ毎年来てるけれど、今年の紅葉からっきしだね、全然だめだ...」と感動する多くの登山者をよそに嘆いていた。確かに紅葉はイマイチだ。数日前が最盛期だったのだろう。数日前の記録で魔女の瞳が綺麗なことを確認して、ちょっと遅いかもしれないが...、と自分も来たのだ。

期待外れでこのまま帰るのにも物足りない気がして、どうしたものだろうか...と、行動食を摂りながらしばし考える。すると隣の登山者の「反対側まで行くと五色沼がハート型に見えるらしい」との会話が聞こえてきた。へぇそうなんだ、ハート型ねぇ...。別にハート型でも逆ハート型でも綺麗な写真であればどうでもよいのが、今回はおそらく最後?の吾妻山の紅葉撮り納めとして来ていることから、撮れるカットを撮り残すことが気になる。

反対側の家形山まで行けばよいのだろうけれど、家形山まで170m下りて100m登り返すしの往復を考えるとかなり面倒くさい。今日は早く下山して、桧原湖一周サイクリングの予定だったので、その時間がなくなってしまう。そしてすぐ下山するつもりだったから、昼食は車の中に置いてきた。w
いやぁどうするかな...。天気は快晴、五色沼の紅葉は最高ではない、この後の予定もある、でも紅葉の吾妻山はもう来ないと思われる。う~ん。ほとんどの登山者は一切経山で折り返して下山していくが、ポツポツと家形山方面へ進んでいく登山者もいる。ここは、、、行くか!

良い写真が撮れるかどうかは分からないが、後から後悔してまた来なければならないことは避けたい。魔女の瞳の撮り残しがないよう、家形山まで行ってみよう。

五色沼_往路(一切経山 09:00 ⇒ 10:00 家形山)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 50mm f16 1/18sec ISO100 PLフィルター

かなり迷々迷っていたが、決めたからには時間をかけずに急ぐだけ。一切経山からの下りはなかなかの急斜面。下りたくないところをこれでもか!というくらい標高を下げると、五色沼の横に出る。すると、おおっ!今度は斜光線になって五色沼が青く光っているではないか!そして残っている紅葉も生き返ったように輝いている。五色沼の畔は白砂のビーチのようで、五色沼の青色から笹原と紅葉の緑から黄色へと変わってゆくグラデーションが美しい。いやぁ、これは下りてきて正解だったな。

登山道はしばらく五色沼の横を通っており、随所で五色沼を見下ろすことができる。五色沼を見下ろすたびに、手前の紅葉を変えながら紅葉の赤黄橙色が五色沼の深い青色と重なる。これは美しい!一切経山はおそらく一年で一番混雑していると思うが、ここまで下りてくる人は少ない。絶景を前にただただ静か。
さらに家形山方面へ進むと、今度は反逆光になって、青い五色沼が光を反射して輝き始める。手前になんとか残ってくれている赤と黄色の紅葉を添える。全体を写すために広角側に引くと、緑の笹原が手前に入ってこれまたいい。そして魔女の瞳はハート型になった。いやぁ、これは来てよかった。一切経山の山頂までで帰っていたら、後悔どころか発狂ものだっただろう。w

この五色沼、中心部は深い青色なのだが周囲は水深が浅く浅瀬になっているのか、周囲はエメラルドグリーンに縁取られている。見れば見るほど綺麗なんだよね。
家形山への登りが本格的に始まる五色沼分岐までで、相当の綺麗な写真が撮れた。ハート型にもなっているし。ここまででもう十分とも思えたが、ここまで来て家形山まで登らないのもやり残した感があるので、家形山まで登ることに。

分岐から標高差70mの急斜面を、暑さと空腹に耐えながら高度を上げる。日の出前からもうそこそこ歩いているし、さすがに腹が減った。ここまで来ると分かっていれば行動食ではなくしっかり昼食持ってきたのに。急斜面から振り返れば、麓には福島市街が広がる。

10:00 分岐から10分で家形山山頂に到着。家形山からはハート型になった魔女の瞳と、火口壁の一部になっている一切経山。五色沼は反逆光の光でキラキラと輝いている。そうか、魔女の瞳を綺麗に撮るには、一切経山からではなく西側~家形山方面から撮るのが正解だったんだな。わざわざ家形山までは登ることはないと思うが、一切経山だけでなくこっちまできて本当によかった。紅葉は最盛期ではなかったかもしれないが、これで十分綺麗。魔女の瞳に思い残すことなし。

家形山の山頂標識は、展望のある開けた山頂ではなく、少し奥まった樹林帯の中にあった。

五色沼_復路(家形山 10:10 ⇒ 10:40 一切経山)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/20sec ISO100 PLフィルター

10:10 第一の目的だった紅葉の魔女の瞳が十分撮り切れたので、一切経山に思い残すことなし。後は一目散に下山するだけ。山頂で10分休憩し、下山開始。
下りの急斜面をあっと言う間に下り、すぐに五色沼分岐。五色沼と一切経山に分岐の標識を入れても面白い。

復路も紅葉と五色沼の撮り残しがないことを確認しつつ先を急ぐ。山岳写真は撮れるときに撮るのが鉄則なので、往路で十分撮っていたので撮り残しはなかった。光線状態も往路の方がよかったかな。

10:40 一切経山への170mの急斜面の登り返しも、あっという間に登り返して家形山から30分で一切経山山頂に戻ってきた。なにも心配事がなくなったから、足取りは軽い。
再び一切経山から五色沼を見下ろす。2時間前に見たときよりも、斜光線となって綺麗な魔女の瞳になっている。一切経山から五色沼を斜光線で綺麗に撮るのは、日の出直後と昼過ぎくらいの時間帯が良いのだろうか。
ただ一切経山から下りた方が五色沼に近づけるので、撮れる写真が増えるのは間違いない。

下り(一切経山 10:50 ⇒ 12:50 浄土平)

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/30sec ISO100 PLフィルター

一切経山山頂からはるか遠くに、これまた平たい西吾妻山が見える。なかなか大きな山塊だ。西吾妻山にも綺麗な紅葉があったので、機会があれば次は西吾妻山かな。
10:50 軽く山頂写真を撮って、今度こそ下山開始。朝よりも幾分登山者が分散して歩きやすい。稜線の向こうには、ぽっかり口を開けたような吾妻小富士の火口。あれだけ綺麗な火口を持つ山って、なかなかないかも。登る予定ではなかったけれど、だんだん吾妻小富士が気になってきた。

西側には、朝歩いた東吾妻山から鎌沼、酸ヶ平が広がる。朝と光線状態が変わって、朝よりも緑色に輝いて綺麗に見える。この光線状態でもう一度鎌沼を回っても綺麗な写真が撮れそうだけれど、人でごった返して木道のすれ違いもままならない状況なので、大人しく浄土平へ下りる。

酸ヶ平から浄土平へ標高を下り始めると、綺麗に紅葉した浄土平の展望が開けてくる。吾妻山って山頂から見ても針葉樹林ばかりで紅葉はほとんど見えず、紅葉の山ではないと思いかけていたが、浄土平の紅葉は綺麗だった。今回は魔女の瞳だけでなく、磐梯吾妻スカイラインの美しい紅葉も撮りに来ていたことを思い出した。なんでこんな針葉樹林と紅葉エリアがハッキリ分かれているのだろう、不思議だ。

そしてまたまたこの浄土平周辺の紅葉エリアが斜光線となって美しい。今日はこのコース取りで正解だったな。よく見れば、吾妻小富士の斜面は針葉樹林と紅葉の落葉樹が混在しており、不思議な紅葉斜面となっている。まるで紅葉が斜面を這い上がっていくようだ。
吾妻小富士の麓には、浄土平ビジターセンターへ入れず駐車待ちをしている車の長蛇の列。

EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 31mm f16 1/15sec ISO100 PLフィルター

この時間になっても、ひっきりなしに登山者が登ってくる。それはそうか、まだ駐車場待ち人達もたくさんいるのだから。さらによく見ると、吾妻小富士の右に小さな火口があり、全面木に覆われて一部紅葉している。その火口の中が桶沼か。なんか面白い。この際だから桶沼も行って見たくなってきた。

標高を下げると、紅葉エリアに突入する。ちょうど登山道が走っている蓬莱山の山腹が紅葉の最盛期のようだ。見上げれば一面の紅葉の斜面。今年の夏が暑かったせいか、まだ色づき途中でやや黄緑色といった感じ。さらに下って、超望遠で紅葉エリアを切り取ってみる。紅葉の斜面を登山者の列が続く。

13:40 浄土平ビジターセンターまで下りれば、池塘の向こうに噴煙を上げる一切経山。
遅くとも午前中で終える予定だったけれど、思わず家形山まで足を延ばして長居してしまった。時間はかかったけれど、紅葉の美しい魔女の瞳が撮れてよかったよかった。
15年ぶりの二度目の一切経山。綺麗な紅葉と魔女の瞳を見せてもらって感謝感謝。満足した。

下山が遅れたので、桧原湖の一周サイクリングは中止。また、ちょうど紅葉最盛期を迎えた磐梯吾妻スカイラインをチャリで走る予定もあったが、駐車場待ちの大渋滞で路側帯を走るのも難儀するのでこれまた中止。
まだ天気はもっているので、この期に吾妻小富士と紅葉の桶沼も回ってみよう。

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