週末北アルプスの天気が良さそうなので、どこかで朝焼け夕焼け撮りたい。
泊りで行けば朝焼け夕焼け狙えるんだけど月曜日は休めないから日曜1日だけ。
じゃあ、まだ朝焼け夕焼けを撮っていない唐松岳にしよう。
ということで、冬2年ぶり2回目の唐松岳へ行ってきました。
ルート
〔山行〕6時間50分/〔休憩〕4時間40分/〔合計〕11時間30分
【上り】ゴンドラ乗り場 09:40 ⇒ 10:10 八方池山荘 10:30 ⇒ 12:40 丸山 13:10 ⇒ 14:30 唐松岳頂上山荘 16:30 ⇒ 16:50
【下り】唐松岳18:10 ⇒ 19:50 八方池山荘 20:20 ⇒ 21:10 ゲレンデ下
山行記録 2019年2月24日
上り(八方池山荘 10:30 ⇒ 14:30 唐松岳頂上山荘)
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 35mm f8 1/640sec ISO100 PLフィルター
1日で唐松岳の朝焼けと夕焼けを撮るにはどうすればいいか。
ゴンドラ使わず夜中に登って朝焼け→夕方まで山頂に粘って夕焼け撮って、その間どうする?
厳冬期の北アルプス稜線で、半日以上時間をつぶすことはできないでしょう。
なかなかいい計画が思いつかず、行くかどうかもウロウロ決めきれず。
何も大変な思いして寒い所に行かずとも、家でゆったりしたいし。
時間が迫る中準備を整えるのも、メイングローブの左手を紛失して見つからない。
あの薄手のグローブがないと冬山での写真撮影ができないんだが。
サイズ違いの嫁のグローブを借りるも、冬山出発前のデリケートな心境をさらに迷いまくる。
どうにか迷いを断ち切って出発するも、時間が遅すぎた。
八方尾根スキー場に着くと既に2時半。
朝焼けは微妙に間に合わない、ダメだこりゃ。
どちらかというと夕焼けより朝焼けを撮りたかったんですが。
しかも空は完全に晴れ渡っている。
今日の朝焼けは最高だったでしょうに。
冬山はいろいろな迷いを断ち切ってまず出る瞬発力がまず大事(だと思う/笑)。
今回はなにかと瞬発力が足りなかった。
朝焼けを諦めて夕焼け狙いで、のそのそ9時からゴンドラアダムに並ぶ。
夕焼け狙いでゴンドラが使えないため、スキーを担ぎあげての八方池山荘10:30スタート。
天気は快晴。
ここぞとばかりに、バックカントリーや登山者のアリの行列が続く。
しかし厳冬期の北アルプスにしては、何かがおかしい。
いつものフカフカの雪が見当たらず、全面カッチコチに氷化したアイスバーンが続く。
雪も相当期間降らず、代わりに雨が降ったのでしょう。
期待していたシュカブラやエビの尻尾等の厳冬期はどこにも見当たらない。
外したかもしれない。。。
前回3月の降雪直後に行ったときの方がよかったかも。
→ 前回の唐松岳山行
https://shibawannko.net/2017/03/12/karamatsudake-2/
それにしてもカッチコチのアイスバーンがひどすぎる。
広いなだらかな稜線も氷化しているため、端の方へ行くと全面滑り台で危険極まりない。
バックカントリーの人たちが、スノボーを担いだまま歩いて戻ってくるではないか。
今日の状況では、なかなか楽しく安全には滑れないでしょう。
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f8 1/640sec ISO100 PLフィルター
丸山まで行って写真を適当に撮っていると、BCの外国人が満面の笑顔でカメラを持って近づいてくる。
身振り素振りから、白馬三山を背景に自分の写真を撮ってもらいたいらしい。
気の利いた英語をチャレンジしてみようかと思いましたが、この分かりやすい状況下では何の言葉もいらなかった(笑)。
外国人はこれまた満面の笑顔で斜面を滑って行った。
せっかく日本まで来たのだから、パウダーを楽しんでもらいたいとも思いますが、こればっかりは仕方がない。
バックカントリーの人の心配ばかりしていましたが、この後自分も大変な思いをするとはこのときは全く思っていなかったり。
上部に行けばいくほどさらにツルッツルに。
前回シュカブラが形成されていた斜面も、何もない平らな氷の斜面。
天気はいいが、ビッというかピリッと来るものがない。
天気が良く喜んでいる他の登山者とは対照的に、自分の心はなにか晴れない。
北アルプスの冬でも、もう自分の心は踊らないのか。
冬山来て喜びはしゃいでいた昔の自分が懐かしい。
といってもつい2~3年前の話なんですが(笑)。
ゴンドラ・リフトの最終便に間に合うように、上からは続々と登山者が下りてくる。
この時間に登って行くのは自分だけ。
しまいには仲間数人で来ていた女子ーに「無理じゃなーい」とか言われちゃったり。
唐松岳山荘(14:30 ⇒ 16:30)
14:30 唐松岳頂上山荘着。
あえてちんたら時間を掛けて登りましたが、やっぱり早く付きすぎてしまった。
日没の17:30までの3時間どうする?どうしよう?
夕焼け狙いだからもっと遅く登ってくればよかったのに。
しばらくすると1名、テント泊の若者が登ってきた。
時間が余りまくっているので、牛首まで行ってみるも氷化していてすこぶる危険。
特に撮れるものが変わるわけでもないので、早々に撤退。
眼前にどっしり構える五竜岳も候補に考えていましたが、今日にしないでよかった。
こんなカッチコチに氷化している文字通りの氷壁を登れるとは全く思えない。
仕方がないので、唐松岳山荘で時間をつぶすことにしました。
雪の壁で一見風が当たらなそうに見えても風が巻いてくるので、無風にはならない。
自分はいつも冬山にはビバークセットとして、ツエルトではなくゴアテックス製のシュラフカバーを持参している。
それはゴアテックスで蒸れないし気密性が高いししっかりした作りだし、頭からすっぽり被ればツエルトよりも風雪から身を守れそうだから。
時間もあるのでビバークを試してみることにした。
頭からすっぽり被り、座って折りたたんだ膝までシュラフカバーに入れ、お尻に断熱性のある座布団を敷き、リュックを背もたれにしたら完了。
氷点下4度の中、スノーシューを履いた足だけは寒いですが、なんと足以外の防寒着を着込んでシュラフカバーに包まれている部分はホッカホカで暖かい!
山初めて16年くらい経ちますが、一度もビバーク経験はなし。
実際、初めてビバーク練習をしてみましたが、これだったら相当耐えられるのではないか。
ツエルトよりこのシュラフカバーの方が断然使えるような気がする。
大きさはジャストフィットで体しか入りませんが、ジャストフィットな分だけ風にも煽られにくいしテント泊セットと兼ねられたり。
ビバークを試して実際どんな具合かが分かり、かなりの安心感になりました。
ポカポカ暖かいので、なんと稜線で1時間ほど昼寝ができてしまった。
疲れが出てくる頃に寝ることができて、かなりスッキリした。
スッキリしたので寝ぼけて帰ろうかと一瞬思いましたが、いやいや、これからが今日の目的でしょう。
16:30 日もなんとなく傾いてきたので、唐松岳へゆっくり登り初め。
稜線に着いた時には弱かった西風も、日没に近づきいつものように断続的に吹き付けるようになる。
唐松岳 山頂(16:50 ⇒ 18:10)
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f8 1/40sec ISO100 PLフィルター
16:50 唐松岳山頂着。
想定してはいましたが、白馬三山は西斜面がそれなりの面積が日が当たりますが、南側の五竜岳は日が落ちるにつれて陰になる。
以前来た夏や秋と違い、季節が違うので五竜岳にも日が当たるのでは?と思いましたが全然そんなことはなかった。
17時を大きく回ってから、夕日が橙色からピンク色に変わり始める。
ここにきて今日初めてビッとき始めた!(笑)
おお~~~~。
雪は少ないけど、今日は綺麗なピンク色に染まってくれる。
柔らかいピンク色に染まるバランスのよい白馬三山が美しい。
シルエットになる剱岳も、手前の氷化した雪面がピンク色に反射して綺麗綺麗。
今日散々なんかいろいろ言っていたかもしれないけれど、北アルプス最高!
冬山最高!
やっぱり足を運ばないと何が起こるか分かりませんね。
綺麗な夕景に感謝感謝。
EOS5DsR+EF16-35mmF4L IS USM 16mm f11 1/10sec ISO100 PLフィルター
日没を迎えてから唐松岳から下り山荘横から下ろうとすると、1本のピッケルがナイフリッジのルートを塞ぐ。
おや、まぁ。
よくありますね、谷川岳でもあった他人の落したピッケルを拾うこのケース。
理論的に思考すると、
→ ビリ2番手で上がってきたときは落ちていなかった。
→ 最後に下りるときには落ちていた。
→ そうすると直前に下りて行ったテント泊の人のピッケルか。
ピックアップして丸山付近で設営されたテントまで持っていきました。
「明日拾いに行こうと思っていたんです」って感謝されましたが、
あなた、落ちていたの限りなくてっぺんですよ(笑)。
テント泊の若者は、明日丸山付近から五竜岳と鹿島槍ヶ岳のモルゲンを撮るとのこと。
おお!分かってますね(って偉そうにすいません)!
丸山より上に行ってしまうと五竜岳が見えなくなったり陰になってしまったり。
ちょうどここ丸山付近からが五竜岳と鹿島槍ヶ岳と手前の斜面とのバランスが良い場所。
本当は自分もここから朝焼けを狙いたかったのですが。
今日一日、「お前最終ゴンドラ・リフト間に合わねーぞ」的な視線で見られ続けた中で、初めて理解者を得たような気になりました(冗/笑)。
明日もいい朝焼け撮れるといいですね。
19:50 サクっと八方尾根山荘まで下り、デポしておいたスキーを回収。
このまま終わるかと思った夕景山行は、懸念していた通り実はここからが正念場でした。
標高差1,000mのゴンドラ・リフト区間は、ほぼすべてがコブ斜面&コブ化したゲレンデ。
今日歩いていた上部の区間が氷化しているということは、それより下部のゲレンデも当然にガリガリ君にコブ付き。
撮影機材と登山靴をぶち込みさらにスノーシューを括り付けた重量級のリュックを背負って、疲れた足で全線コブ斜面を下りるのは拷問のよう。
そういえば八方尾根ってそんな簡単ではなかった。
昔、八方尾根にスキーに来た時、傾斜が急な上コブ斜面が多くうまく滑れなかった記憶が思い出された。
スキーをしていて残りの標高が気になったのは後にも先にも今回が初めてでした。
リュックが重くコブに当たる衝撃もその分強くなり、スキー板も簡単に外れやすくなる。
暗闇の中外れたスキー板を回収しにゲレンデを登り返したりして、「俺こんな暗闇の中1人で何やっているんだろう?」とかとか(笑)。
そんなこんなで、下りるまでに1時間近くもかかってしまいました。
「登山後に滑って帰ろう」と思う人も少ないとは思いますが、ここ八方尾根に限っては、ゲレンデの難易度が高く標高差も1,000mとあるので、それなりの猛者でない限りは素直にゴンドラ乗って帰った方が幸せだと思います。
スキー下山全くお勧めしません(笑)。
普通に登山してれば楽なんですが、朝焼け夕焼けを狙うとどこかで無理が生じるもの。
泊りで行けばまだしも、1日しかなかったからこれも仕方がなかったかと。
唐松岳からの朝焼けだけ残ってしまいましたが、次は朝焼けはどう撮ろうかな。
唐松岳 山行記録一覧
2019年02月24日 ■■■■☒『唐松岳_厳冬期 ~夕景狙いで昼からアタック!剱岳へ落ちる夕日~』
2018年07月15日 ■■■■☒『唐松岳 ~ご来光登山で雲海と朝焼け!夏山でお花探し』
2017年03月12日 ■■■■☒『唐松高_厳冬期 ~一瞬のチャンスを生かして冬の剱岳を見に!~』