南アルプス 関東・信越

南アルプスの秘境巡り≪前編≫_篠沢大滝 ~南アルプスの人知れぬ大瀑布へ!~

南アルプスの奥地に「篠沢大滝」という幻の滝があるらしい。
曇り空が続く梅雨時がちょうどいい。
以前から気になっていた篠沢大滝を、桑の木沢の黒戸噴水滝とあわせて行ってきました。

ルート


【前編:篠沢大滝】篠沢橋 10:20 ⇒ 10:45 桑木沢探勝路 10:50 ⇒ 12:00 篠沢大滝 12:30 ⇒ 13:00 桑木沢探勝路
【後編:桑の木沢】13:00 桑木沢探勝路 ⇒ 16:00 黒戸噴水滝 16:30 ⇒ 17:40桑木沢探勝路 17:45 ⇒ 18:10篠沢橋

山行記録 2019年6月22日(10:20~13:00)

往路①:篠沢橋~林道斜面取付き

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 24mm f8 2sec ISO100 PLフィルター

両滝へのスタート地点は、篠沢大滝キャンプ場の奥から続く林道を5分くらい行った篠沢橋から。
篠沢橋手前の林道脇に3~4台の駐車スペースがあり、篠沢橋を渡った左手にも4~5台ほどの駐車スペースがあります。
10:20 篠沢橋から両方の滝に行けるだけの食糧と水と沢靴、ヘルメット等の装備をもってスタート。

篠沢大滝と桑の木沢の黒戸噴水滝への道は、スタート地点となる篠沢大滝から30分くらい歩いた篠沢探勝路から分岐する。
そのため1日掛ければ、篠沢大滝と桑の木沢の両方を行けるお得なエリアです。
さて、どちらから行こう?

地図で見ると、篠沢大滝の方が桑の木沢の黒戸噴水滝までよりも若干短い感じ。
さらに桑の木沢は、黒戸噴水滝までいくつかの小滝が連続し撮るポイントが多い一方、篠沢大滝は大滝以外は撮るものがなさそう。
桑の木沢の方が明らかに時間がかかりそうなので、まずは早く済みそうな篠沢大滝から行くことにしました。

篠沢橋から緩やかな林道を歩いていくと、25分くらいで篠沢大滝と桑の木沢への分岐点の桑の木橋に到着する。
まずは林道を直進して篠沢大滝方面へ。
桑の木沢が時間がかかりそうなので、早く戻ってこれるといいな。

篠沢大滝へは分岐を左側へ、苔むした林道を進みます。
ほとんど人が入っていないのだろう。
林道は倒木や大きな落石でところどころ塞がれており、荒廃感がすごい。
誰が何の目的でこの道を作ったのだろう?といつも思うのですが、さすがにここまで荒れると車も通れないだろうに。
荒れ方も野性的だし、ところどころ緑の草原になっているのも面白い。
林道は荒れていますが、ほどよい緩い傾斜が続く。
太いオフロードタイヤを履いたマウンテンバイクであれば、下りでダウンヒルが楽しいでしょう。
MTB持ってくればよかったな~。

往路②:林道斜面取付き~渡渉地点

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 61mm f11 0.8sec ISO100 PLフィルター

桑の木沢との分岐から20分くらい歩くと、篠沢大滝への分岐へ到着する。
篠沢大滝へは林道から外れ、右の梯子を登って急斜面の急登から始まる。
分岐には看板が立っており、よく見ていれば通り過ぎることはないでしょう。

ふと気づくと、分岐看板下にはケルンではなく真っ白の頭蓋骨が。。。
人間の頭蓋骨に似たリアルボーンに一瞬ぎょっとするが、大きさからして猿でしょうか。
ケルン代わりのリアルボーンが、秘境感を一層盛り上げてくれます(笑)。

かなりの急斜面を登りますが、要所要所に赤テープや矢印や壊れた看板の残骸があります。
踏み後も僅かにあり、注意して歩けば初めてでも道に迷わず行ける程度でしょう。
急斜面を登ってすぐに、V字に曲がった枝が特徴的なブナが現れます。
こんな鋭角に曲がったブナは見たことありません。
これまた秘境感が漂い、これまた楽し!

急斜面を登って水平歩きを入れると、今度は赤テープと梯子やロープで沢に導かれます。
そこは綺麗な花崗岩の白砂ビーチ。
花崗岩が砕けた白砂が堆積した美しい河原で、ここが南アルプス甲斐駒ヶ岳の懐であることを再認識させてくれます。
川の上流には巨大な丸い岩石が詰まったような小振りなチョックストーン滝があり、その右岸に梯子が見える。
右岸の梯子は川の向こう岸なので徒渉が必要で、ここが篠沢大滝への唯一の渡渉地点。
水が透明で、まるで何も流れていないように見える。
川の水量が多くはないうえ川底も浅いので、沢靴でなくともハイカットの防水登山靴であれば、濡れずに徒渉は可能です。
篠沢大滝への道は、「沢登り」ではなく、「踏み後程度のバリエーション登山道」という認識が適当でしょう。

徒渉した後のチョックストーン滝脇にある梯子を登った一枚岩付近は、非常に滑りやすいので注意が必要です。
徒渉後はひたすらフコフコの急斜面の登り。
赤テープはありますが十分ではないので、慎重に道を探して進みます。
標高を上げ、鋭く尖った支尾根に近づくと尾根の向こう側から滝音が聞こえてくる。

往路③:渡渉地点~篠沢大滝

EOS5DsR+EF24-70mmF2.8LⅡUSM 50mm f11 1/5sec ISO100 PLフィルター

尾根に登りきると、ようやくたどり着きました。
眼前にオレンジ色の明るい岩盤に幾筋もの流れを落とす、落差100mとも言われる篠沢大滝が現れます。
情報も少なく誰も入らない秘境感たっぷりの篠沢大滝。

憧れてなし得なかった篠沢大滝についに来ることができました。
困難極まるようなイメージがありましたが、駐車場からあっさり70分くらいで辿り着きました。
一部道が不明瞭ですが、沢登りでもないし、通常の登山者であれば十分楽しめるスポットです。

尾根から滝側へ踏み跡があり、すこし進むと展望台のように篠沢大滝を見ることができます。
ここからでも十分ですが、滝壺は見えない。
険しい地形ですが、もう少し行けないかな?
尾根に戻って少し登り、急斜面をトラバースして滝に近づくと、先ほどより正面に篠沢大滝を見れる場所に着きました。
ここで一通り篠沢大滝の写真を撮ります。

 

この何とも言えないオレンジ色の明るい岩盤が篠沢大滝の一番の特徴ではないでしょうか。
落差も申し分ないし、しょぼい滝と入れ替えて篠沢大滝を100名瀑にしてあげたいくらい(笑)。
オレンジ色の明るい岩盤を流身も複雑に岩に当てながら白く落ちるので、非常に白飛びしやすい滝と言えます。
綺麗に撮るならば、晴天よりも曇天又は雨天の方が良いです。
素晴らしい滝なので、もう少し人が訪れてもいいような気がします。

危険を冒せばもっと滝壺に近づくことができるかもしれませんが、今回はここまでで十分としましょう。
篠沢大滝に満足したので、ダブルメインのもう1つの桑の木沢の黒戸噴水滝に行くため戻ります。

復路:篠沢大滝~桑の木沢分岐

帰り道は来た道を忠実に戻るだけ。
登山道ではなく踏み後が多少分かる程度で、上りより下りの方が道に迷いやすいです。
「違う」と感じたら、勇気をもって来た道を戻りましょう。

篠沢大滝の見える尾根から沢への下りや、その先の林道へ合流する下りでは、多少道を探してウロウロ。
最後は歩けるところを歩くしかないので、多少強引に下りたらかなり手前側で林道に合流。
やり遂げた感と安堵感たっぷりで、桑の木沢の分岐へ向かいます。

今日の必須アイテム

一ヵ所だけ渡渉がありますが、川の水量が多くはないうえ川底も浅いです。
沢靴でなくともハイカットの防水登山靴であれば、濡れずに徒渉は可能です。
篠沢大滝の滝壺まで下りたりしなければ、通常の登山靴が最適です。

崩れやすい土の急斜面では、急激な過重移動は避けるべきです。
そのため、過重を分散して過重移動を緩やかにするためにも、ダブルストックがあると非常に重宝します。
当然ながら急斜面だけでなく、滑る苔付きの岩の上でバランスを取るにも有効です。断然あった方がいいです。

MAMMUT(マムート) Wall Rider 56-61cm chill 2220-00140

もしものとき用です。落石の直撃を受ける沢筋ではないので、沢登りほど必須ではないと思います。
渡渉後の大岩が滑りやすかったり土の急斜面があったりするので、備えあれば患いなしでしょう。

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