『素人が油圧ブレーキフル内装のロードバイクをバラ完できるか?』シリーズの工程➂④です。
シートポストカットもコラムカットも、どちらも”切断”という不可逆的な作業なので慎重を要します。
同じ切断作業なうえ、どちらもポジションを出すために必要な工程です。同質的な作業なため、まとめて切断・切断面の末端処理をすることにしました。
必要パーツ&工具
青色がカッコよかったので、鋸はPARKTOOLのものを購入しましたが、想像以上にゴツくて頑丈すぎる感じです。切断できればなんでもよいかと思います。
ソーガイドはあった方が良いと思います。他の物で代替できると思いますが、安全確実に綺麗に切断できます。
また切断作業は不可逆的な作業なので、ためらいがつきものです(特に経験が浅い素人さんは)。
最初はビビッて短く切りがちなので、何回も切断するとなるとソーガイドがあると楽、または切り増しする際にソーガイドがあると薄く切りやすい、というメリットがあります。
他には紙やすりと瞬間接着剤とトルクレンチあれば、この工程の道具はすべて揃います。
作業手順
工程➂ シートポストカット(LV1)
シートポストカットはこの段階で作業しなくてもよく、最後にもってきてもよい工程です。
自分の場合は、ステム一体型ハンドルに油圧ケーブルを通す必要があり、その前段階としてフロントフォークのコラムをカットしておく必要があります。後からスペーサーを外してコラムをカットすることもできますが煩雑です。
またポジションを確認してからコラムカットの位置を決めるので、まずはポジション確認でサドルに座れるようにするため、シートポストをカットすることにしました。前後する作業の思考経路は以下です。
フレームとステム一体型ハンドル内に油圧ブレーキホースを通す必要がある
⇩ フロントフォークのコラムを適切にカットしておく必要がある
⇩ ポジションを確認できないと、フロントフォークのコラムのカット位置を決められない
⇩ ポジションの確認のために、サドルに座れるようにする
⇩ 長~いシートポストをカットする
⇩ ホイールとタイヤ、ステム一体型ハンドル、サドル、クランクとペダルを仮付けして、ポジションを確認する
⇩ ヘッドスペーサーの枚数とフロントフォークのコラムのカットの位置を決める
今回ややこしいのが、嫁さん用のバイクといいつつ自分も使えるようにしたい”男女兼用”を考えているので、シートポストを嫁さんと自分の両方に合うようにポジションを2つ出す必要がある、という特殊事情があるためです。
自分はともかく嫁さんのポジションを確認するためには、そのままだと全く足が付かないので、シートポストをバッサリ切らないと確認できず。
一方、自分に合わせると、シートポストをシートチューブに安全に固定できるよう、できるだけ長く残したい。
このように2つの相反する要件を満たす切断位置を、慎重に探す必要がありました。誤ってシートポストを長く切りすぎてしまうと、フレームから長く出せなくなって自分が使えなくなってしまいます。
詳しくは「ロードバイク1台を身長差のある男女2人で兼用できるか ~ジオメトリを読み解いてみる~」にて解説しています。
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〔ELVES VANYAR PRO〕ロードバイク1台を身長差のある男女2人で兼用できるか ~ジオメトリを読み解いてみる~
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そんなこんなで慎重に短めに切っては、嫁さんにポジション確認してもらって「ダメ!足が着かない」、を繰り返して、最終的に4回切り直してシートポストの長さを決定しました。
今回は”男女兼用バイク”と言う特殊事情があったので、慎重を期して切断回数が多くなりましたが、通常の自分1人用であれば、1~2回の切断で長さは決まるかと思います。
最終的には目盛り「5」のところまで切ることになりました。嫁さんと自分の両方にとってギリギリの長さ。かなり短くなった。w
どのくらいシートポストを残すかの安全長には諸説ありますが、一応直径の3倍の繰り出し量はギリギリ確保できています。
工程④ フロントフォーク_コラムカット(LV3)
続いてのフロントフォークのコラムカットは、フォークをフレームに通してステムを取り付けてからでないと、切断位置は分かりません。
ELVES VANYAR PROには説明書はついていませんが、ヘッドパーツの取り付け方法については、ELVESのHPに記載があるので(以下抜粋)、確認しながらがら作業します。
ELVESの説明書きにあるように、ポイントはエクスパンダープラグを入れた状態で、ステムの上部と2-3mmの隙間ができるような長さでコラムをカットする必要があります。
では適当にヘッドスペーサーを入れてステムをコラムに刺した状態で、ステムの上部より2-3mm短い位置でコラムをカットすればよいか、というとそういうわけではありません。
エクスパンダープラグをコラムに刺すと、エクスパンダープラグの上部の円形部分がコラムと同径でコラムに乗っかることになるため、その厚さがコラムに加わります。このコラムに加わったエクスパンダープラグの円形部分の厚さと隙間分の2-3mmを加えた長さ分だけ、ステムの上部から短くコラムを切断する必要がある、ということです。
シートポストの場合は、ざっくり切ったとしても、短すぎさえしなければシートチューブからの飛び出し量の調整に支障がないのに対し、コラムの場合は1mm単位で切断する必要がある点で、難易度が異なります。
だいたいのヘッドスペーサーの数を決定し、ステム(一体型ハンドル)を仮止めし、ステムの上部からの隙間分2-3mm+エクスパンダープラグの上部円形部分の厚さを考慮して切断位置を決定します。
初めてコラムカットする場合は、訳分らなくなりますよね?wそれぞれの位置関係を頭の中で理解しておかないといけません。
最終的には、失敗したとしても余分に入れてあるヘッドスペーサーを1枚少なくすればいっか、という感じでバッサリ切断します。
カーボン切断面の末端処理
切断したシートポストとフロントフォークを切断すると、カーボン製なので切断面の炭素繊維がささくれてきます。そこで、カーボン繊維がささくれないように末端処理を施します。
切断面を紙やすりで滑らかにし、100円ショップで買ってきた瞬間接着剤を垂らして終わりです。なんて簡単なんでしょう。
シートポストとコラムを合わせて切断すれば、瞬間接着剤を使った末端処理が1回で済む、という側面もあります。
この工程の難しさは、切断自体が難しいのではなく、切りすぎると後戻りできないことから、切断する位置決めを慎重に行わなければならない、というところにあるかと思います。
ふぅ、緊張した~。
ポジション出し
ステム(一体型ハンドル)が適切に取り付けられる長さでコラムが切断できているかどうか、コラム切断後にステムを取り付けて確認します。
さてさて、コラムは適切な長さにちゃんと切断できているでしょうか?緊張の一瞬、、、。
コラムにエクスパンダープラグを入れた状態で、ステム(一体型ハンドル)を取り付けるとこんな感じ。あれ、2-3mmの上限、3mmを若干超えて短いような...。3.5mmくらいかな。
1回目の切断はビビッて長すぎたので、2回目に僅かに切り増ししたら、ほんのちょっと短かく切りすぎてしまったようです。
まぁ許容範囲かな...。もう1回コラムを切り直すのがメンドクサイので、このままでいくことにしました。
ヘッドスペーサーの数もかなり余裕を持って6枚としているので、今後ポジション変更等があればその際はしっかり切断しましょう。
再度ポジションが出ているかどうか、今しがた切断したフォークとサドルに、ハンドル、サドル、クランク、ペダル、ホイール、タイヤ等を仮付けして、実際にサドルに跨って確認します。
OK!まぁこんなもんでしょう。
次の工程『⑤ リアDi2ケーブル通し(LV1)』へ続く