南アルプスで最後の最後まで残った三百名山の黒法師岳。この黒法師岳、調べるとなかなか手強い。正面?の麻布山登山口からアプローチすると、アップダウンが激しいうえ黒法師岳のピストンだけでも20kmは超える。反対側の水窪湖の奥に延びる戸中川林道からアプローチすると、単調な林道歩きが相当区間あるが、黒法師岳への最短ルートの上、自転車を投入すれば帰りは位置エネルギーに任せて楽をできる。さらには黒法師岳だけではなく丸盆岳も日帰りで視野に入る。行くならこっちだ!
水窪湖から戸中川林道に入ると、なんといつもの未舗装林道だった。知らなかったよ、ダートがあるなんて...。思わず現れた戸中川林道を振り返ります。
リスク評価(5段階評価)
①距離:★★★
水窪湖の東端から林道仮ゲートまでの未舗装区間は、6.7kmとそこそこある。時速7-13km/hくらいで慎重にゆっくり走るとして、40分はかけるつもりで走るとよいかもしれない。
②落石:★★★★
戸中川林道の車道区間は、全般的に道幅もあり、ほぼ平坦で凸凹も少なく、路面状態はかなり良い部類に入る。そのため未舗装林道でも珍しく、20~30km/hを出せる区間もある。しかし簡単な林道かと思いきや油断は大敵。鋭く尖った落石や大岩が多く散乱しているため、すべてかわすか、車から降りて取り除く対応が必要な場面もある。調子に乗ってスピードを出して落石を踏めば、結構な確率でパンクしてくれると思われた。
これだけ多くの落石が落ちているのは、やはり深南部というエリアで入山者が少ないからだろうか。夜間に突っ込んで林道一番手になる場合は、落石の遭遇率が高いと思われる。実際この日も、2回車から降りて、ソフトボール大の落石をポイした。
➂道幅:★★
戸中川林道は部分的に狭い区間はあるが道幅があり、そこそこすれ違い可能スペースもある。そのため「対向車が来たらどうしよう...」という切迫感はあまりない。
④凸凹:★
戸中川林道は平坦で勾配もほぼないうえ、轍や横溝もない。そのため底擦りリスクはないと言ってもよい。実際、車高10cmちょっとの愛車REVORGでも、なんら心配はなかった。
戸中川林道 レポート_自動車編(2022年5月)
時間帯通行止めの看板が2枚。今日は通れるのか通れないのか?よく分からない。
真っ暗闇に浮かび上がる水窪ダム。真夜中にダムに来るものではない。怖い...。天端の道路を通って戸中川林道に入る。
うぉ~とっ、ダートかよ!知らなかったよ、ダートがあるなんて...。GPSで確認すると林道仮ゲートまではまだまだある。マジかよ、こういう予想外はなかなか困る。
全般的に道幅もありほぼ平坦で凸凹も少なく、路面状態はかなり良い。しかし落石が多いので油断はならない。帰りも踏みかねないので、車から降りてポイした。
おうおう、やや荒れてきて、いつもの林道っぽくなってきた。依然として落石には注意。
特筆すべきは動物が多い。シカとしばらく睨めっこ。カモシカにシカ数頭にタヌキにウサギ2頭に得体の知れない小動物等、多くの動物と遭遇した。それだけ森が豊ということなのだろうか。天竜川沿いを走る国道152号線も、国道わきにシカがうようよいてかなり危険な状態だった。かなりのスピードを出してシカと衝突すれば、全損になると思われる。
へぇ~、やっと着いた。270kmも運転して最後にダートが来るのは結構厳しい。さすがに疲れたのでナイトハイクはやめてしばし仮眠。この先は自転車投入区間。
戸中川林道 レポート_自転車編(2022年5月)
04:00 林道通行止めゲート前発。黒法師岳登山口までは8km。帰りはシブロク歩道で下りてきても6kmある。車に積むのが面倒だが、迷わず自転車投入。
移動で時間がかかったが1時間寝れて少しスッキリ。今日は急ぐ必要はない。ゆっくりスタート。林道仮ゲートを超えてから、最初は傾斜が緩いため、自転車をこげなくもない。
法面崩落個所か。ネットも何もない。落石あったら頭直撃コース。頭上に注意しながら素早く通過。
進むにつれて傾斜がそこそこでてくるので、自転車はほとんど押し歩き状態。
途中、舗装区間もちょっぴりある。ここぞとばかりに自転車をこぐ。行きで2割くらいはこげるかも。
このコースのよいところは、単調な林道区間の中でもいくつかの滝を見れること。新緑を多く取り入れてみた。
帰りはシブロク歩道から降りてくる予定なので、シブロク歩道入口で自転車をデポ。押し歩きもかったるくなってきてたのでちょうどよかった。
05:50 標識横の黒法師岳登山口からようやく登山本番開始。
17:20 歩きづらいシブロク歩道を終えてようやく林道まで到達した。やったよ、生還した。帰りはシブロク歩道で下りてきても林道仮ゲートまで6kmもある。下りは位置エネルギーを運動エネルギーに変えて、ほぼ100%オートで楽々。
法面崩落個所も自転車でスピーディーに通過!大小鋭利な落石がゴロゴロ。下りで解放感に任せてスピードを出すと、自転車といえどもパンクしてもおかしくない。ある意味ロシアンルーレットとも思われた。
18:10 駐車場まで途中滝の写真を撮るために止まっても30分。この6kmをなかったことにできる自転車の存在はありがたい。戸中川林道からアプローチする場合、自転車投入の意義は大いにある。ぜひ投入すべきだと思う。