昨日の鍬崎山に続いて、ぐるっと日本海側を回って紅葉の雨飾山へ。
雨飾山は過去2回登っているが、いずれも高山植物咲く夏の時期。秋の紅葉が綺麗なのは知っていたが、紅葉時期は激混み過ぎて休日に登る気が起きず、紅葉時期の雨飾山は登れていたなかった。また金山までの縦走路であるシゲクラ尾根の紅葉も凄いらしい。
以前から紅葉の雨飾山とシゲクラ尾根を行ってみたいと思っていたのだ。今は電動チャリという強力な武器があるので、チャリを使って雨飾山~金山を縦走し、シゲクラ尾根の紅葉を撮り尽くそう。
さてさて、初めて行く紅葉の雨飾山とシゲクラ尾根はどうだったでしょう。
登山ルート
〔距離〕24km/〔累積標高〕2,060m
〔山行〕9時間20分/〔休憩〕3時間30分〔合計〕12時間50分
今日の目的は、①荒菅沢からの雨飾山と②シゲクラ尾根の紅葉撮影の2つ。
光線状態からは、①荒菅沢からの雨飾山は、あまり早すぎない早朝の時間帯がよいだろうか。一方、シゲクラ尾根は東西に延びる稜線のため、正午前後の光線状態が良いはず。
そこで早い午前中に荒菅沢に到着するよう逆算して金山登山口からスタート。チャリで雨飾山登山口に移動し、時計回りで雨飾山からシゲクラ尾根経由で金山を周遊することにした。
山行記録 2024年10月21日(05:40-17:10)
登り①(金山登山口 05:40 ⇒ 06:00 雨飾山登山口 06:10 ⇒ 07:10 荒菅沢)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/10sec ISO100 PLフィルター
05:40 電動チャリ(以下ザクと呼ぶ)を組み立て、金山登山口をスタート。平日にも関わらず、金山登山口の駐車場はすでに半分以上埋まっていた。
金山登山口から雨飾山登山口へは、4kmのダウンヒルに3kmのヒルクライムの計7kmの道のり。チャリを使ったとしても中谷川の横断があるため、どちらからスタートしても半分はヒルクライムになる。やはり電動チャリが圧倒的有利になる。
何気に風を切るチャリの移動が一番寒かったりする。最大防寒を整えてヒルクライムスタート。叫んでしまうくらい楽しいチャリのスピード感と爽快感。途中サルの群れを突っ切ったが、下りじゃなければちょっと危なかったかもしれない。なにせ最近、磐梯山の麓で野生のサルと格闘したことがあったので。あっという間に一番低い地点である、中谷川を渡る橋まで下る。そこからヒルクライム。そこそこの傾斜だが、電動アシストのあるザクであれば、登山前のほどよいウォームアップ程度。アシストなしの人力自転車だったら、歩きが入るかもしれない。
06:00 ザクのおかげでわずか30分で雨飾山登山口に到着。早すぎ!歩きのコースタイム2時間30分のルートを30分にまで短縮できるとは。この短縮感がたまらなくいい。ロングルートで7kimも短縮できるのは非常に大きい。このためにザクを買ったのだから。
下山後に回収するため、ザクを雨飾山登山口にデポする。写真を撮る人には申し訳ないが、雨飾山高原キャンプ場の看板に二重に地球ロックし、そそくさと登山開始。駐車場は満杯。多くの登山者が準備しており、この集団の前にスタートしておきたい。
しばらく木道を水平移動したのち、ほど良い傾斜の登りに差し掛かる。雨飾山はブナ林が綺麗。大きなブナが多く見応えがある。山を登っていても、ここまでのブナ林はなかなか見れない。最初はブナ林に日が当たっていなかったが、徐々に日が昇りブナ林を照らし始める。上空を見れば、ブナの巨木が朝日を浴びて黄から橙色に輝いている。いいね!丹沢のブナ林はここまで鮮やかに色づかない。紅葉の色もさることながら、巨木で上空を覆うような高さが迫力ある。
09:20 ブナ林の紅葉を楽しんでいると、目的の紅葉に彩られた荒菅沢に到着する。ブナを中心とした紅葉斜面の向こうに、聳える荒々しい雨飾山の絵が素晴らしい。
登り②(荒菅沢 07:20 ⇒ 08:30 雨飾山)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 31mm f16 1/15sec ISO100 PLフィルター
荒菅沢で撮影のため小休止。雨飾山の横には下弦の月が沈みゆく。もう少し多くのカットが撮れるかと思っていたが、定番のカット以外あまり撮れるカットはなかった。足を止めると多くの登山者に抜かされ、また抜き返すことになってしまうので、すぐに雨飾山山頂に向けて出発。
荒菅沢から笹平までは急登区間。鮮やかに色づいた紅葉が美しい。標高を上げれば、紅葉の斜面を見下ろすことができる。ここまで来ると、強風に晒され始める。雲一つない快晴だが、今日は風が強いらしい。笹平に近づけば、重厚な金山にオレンジ色に染まったシゲクラ尾根。狙った通り、紅葉ドンピシャだ。
08:10 なかなか良いペースで頂上台地の笹平に乗り上げる。山慣れた健脚者が多いのか、前後の登山者も結構なスピードで登ってきている。笹平からは、広大な笹原の向こうにポッコリ雨飾山山頂と背後に北アルプス。
笹平まで来ると紅葉ももう終わり。雨飾山の紅葉は有名だが、いざ登って見ると雨飾山は全般的に急なので、すぐに登れてしまう反面、紅葉エリアもあっという間に通り過ぎてしまう感じ。期待したほど多くの紅葉写真は撮れなかった。
今日は金山までシゲクラ尾根を縦走するため、このまま縦走してもよいのだが、ここまで来て雨飾山の山頂を踏まないというのも物足りない。予定通り雨飾山山頂を往復する。
雨飾山山頂(08:30 ⇒ 09:10)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/60sec ISO100 PLフィルター
雨飾山山頂まで、最後の標高差70mほどの急登を登り上げる。ここは登山道が狭くすれ違い待ちが発生するので、混雑する前に下りて来たい。山頂手前から振り返れば、頂上台地の笹原に登山道で”女神の横顔”が描かれている。本当にそのように見える。誰が言い始めたんだか。w
稜線の向こうには、紅葉のシゲクラ尾根と、この夏ひーひー言いながら縦走した焼岳と火打山のピークがのぞく。
シゲクラ尾根は、今が紅葉の最盛期。赤黄橙の紅葉で埋め尽くされている。あそこを歩けばどれだけ紅葉の写真が撮れるのか、ワクワクする。
08:30 雨飾山登山口から、2時間30分で雨飾山山頂着。笹平までは強風くらいだったが、山頂まで登るとちょっとした爆風レベル。北峰にも立ち寄ったが、爆風直撃で吹き飛ばされそうなくらい。
山頂からは白馬三山などの北アルプスの眺めが素晴らしい。とりわけ白い山容の白馬鑓ヶ岳が目に付く。その奥の真っ黒い五竜岳~鹿島槍ヶ岳の稜線はやはり迫力がある。雲海ができているのがまたいい。超望遠で切り取ってゆく。今日はそこそこハードなコースのため、画質重視の100-500mmではなく、軽量の廉価版である100-400mmを持参。望遠がメインでなければ、こちらのレンズで十分という感じ。
縦走①(天飾山 09:10 ⇒ 11:20 白倉峰)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/40sec ISO100 PLフィルター
09:20 笹平まで下りて、いよいよ金山に向けてシゲクラ尾根の縦走開始。残った笹平の紅葉と雨飾山を合わせる。強風で紅葉が流れて止まらない。
笹平から金山までは破線ルート。隣の焼山周辺の破線ルートが酷かったため少し心配していたが、笹は狩り払われ、一般登山道と変わらないくらいであった。少し安堵。とはいえ歩きづらく滑りやすい急斜面を慎重に下りてゆく。
破線ルートとはいえ、尾根道なので道迷いの心配はない。笹平~大曲りへの下り部分が、シゲクラ尾根を通して一番歩きづらいところだった。ところどころワイルドなところもあり。紅葉最盛期のシゲクラ尾根はもうすぐそこだ。
10:10 雨飾山を下り切って、大曲りに到着。だがここが稜線の底ではない。正面には重厚な金山。振り返れば山頂は見えない雨飾山の東斜面。
大曲からは緩やかにアップダウンを繰り返しながら、金山まで標高を上げていく。大曲までは笹原中心で紅葉はなかったが、ここから先はいよいよ紅葉エリアに突入する。両側が極彩色で彩られたシゲクラ尾根が金山までず~っと続いている。行けども行けども紅葉のトンネルが続く。振り返っても、紅葉のトンネルと雨飾山が合わさる。素晴らしいね!
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/15sec ISO100 PLフィルター
ずっと紅葉が続くため、写真撮ってばかりでこの区間のペースがガタ落ちする。稜線の鞍部とはいえ今日は風が強く、風が弱まるのを待って撮影しようとするとさらに時間がかかる。
雨飾山高原キャンプ場から雨飾山へのルートも紅葉が綺麗だったが、急斜面過ぎて紅葉エリアをすぐに通り過ぎてしまう。一方シゲクラ尾根は稜線歩きなので、どこまで行っても紅葉エリアが続く。シゲクラ尾根経由での金山周遊は、雨飾山だけの往復より紅葉の写真が10~20倍は撮れる。一年分の山の紅葉を見れる感じだ。
シゲクラ尾根のこの最高の紅葉ルートは、雨飾山の喧噪とうって変わって人はいない。シゲクラ尾根ですれ違った登山者はたった4名。たまに人が現れるとびっくりしてしまうほど。確かに周遊するのはなかなかハードで健脚者向きなのは間違いないが、来てみる価値は十二分にあった。
黒沢峰と白倉峰は、シゲクラ尾根のアップダウンの一部で、ピーク感が乏しく認識しにくい。少し登って展望が開けるたびに絶景が広がる。振り返れば全山紅葉状態の雨飾山の斜面とピーク。この角度で雨飾山を見るのが初めてなので新鮮だ。そして紅葉が凄い。
歩いては止まって撮っての繰り返し。先に進まない。w 歩いてきたルートを見れば、鋸岳へのボコボコの稜線を覆う紅葉が素晴らしい。まだまだ紅葉の縦走路は続く。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/20sec ISO100 PLフィルター
紅葉のトンネルを潜り抜けていく。振り返れば、綺麗に紅葉で彩られた鋸岳が斜光線で美しい。ほとんど破線ルートのエリアだが、向こうを歩いてもまた素晴らしい紅葉なのだろう。
大曲りまで下りた後の縦走路は、通常の一般登山道と同じくらいしっかりした道が続く。人はほとんどいないが破線ルートという雰囲気ではない。火打山~焼山周辺のひどい破線ルートとは大違いだ。w
ジリジリと白倉峰まで標高を上げていくと、雨飾山の山頂まで全容を見渡せるスポットに出る。雨飾山の斜面は極彩色の紅葉で埋め尽くされている。雨飾山の隣には、北アルプスの険しい稜線が並ぶ。ここも凄いね!唐松、五竜、鹿島槍ヶ岳と、同じようなシルエットが並ぶのが面白い。
縦走②(白倉峰 11:30 ⇒ 13:30 金山)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f11 1/25sec ISO100 PLフィルター
11:50 各小ピークが分かりづらいシゲクラ尾根だが、茂倉峰だけは少し出っ張っているのでなんとなくピーク感がある。茂倉峰も素晴らしい展望台。正面にはいよいよ近づいてきた金山とより密度を増す紅葉の斜面。縦構図で切り取っても素敵。ここまで来ると、金山からの縦走者とのスライドも終え、完全な一人旅。
雨飾山エリアの紅葉は黄色や橙色が中心。ナナカマドは少なく珍しい。写真撮影ばかりしていたため、亀のように遅いペースでもうお昼。日没までの下山を考えると、ちょっとギリギリになってきたか。紅葉も十分撮り尽くしたので、先を急ごう。
茂倉峰からは、雨飾山(1,963m)より高い金山(2,245m)までの登り返しが残っている。雨飾山からシゲクラ尾根の最低部まで400m下りて、そこから金山まで700m登るとは、なかなかハード。700mの登りっていったら、簡単な山一つ分ではないか。紅葉が綺麗すぎてハイなのか、あまり疲れは感じない。
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 70mm f11 1/20sec ISO100 PLフィルター
素敵な紅葉密集エリアは、大曲り~茂倉峰まで。茂倉峰から標高を上げると、紅葉はまばらになって笹原中心なっていく。それでも笹原に点在する紅葉を楽しむことができる。斜面の向こうには焼山山頂が顔を見せ始めたり。
振り返れば、笹原の向こうに尖がりピークの雨飾山。望遠で山頂を見れば、登山者が数名。さすがにもうちょっと時間が遅いよね。
影になりつつある向かいの天狗原山の斜面は、尾根尾根の紅葉に光が当たって輝いている。撮影がてら、これからの行動分だけエネルギーを摂取する。超望遠で紅葉を切り取る。さすがに望遠端の400mm付近だと手撮りだとブレ始める。風が強いので、体ごと揺さぶられてしまう。ブレない写真が出るまでシャッターを押し込む。
金山に近づくにつれ、傾斜は緩み、西側の展望は見えなくなってくる。今日一日楽しませてもらった雨飾山ともここでお別れ。
13:30 最後は撮るものがなくなったので、スピードアップして登って金山山頂着。紅葉撮影のためほとんど足を止めていた区間が長かったせいか、笹平から金山まで結局4時間もかかってしまった。コースタイムは5時間となっているが、健脚者で写真を撮らなければ、こんなには時間はかからない。
縦走➂(金山 14:00 ⇒ 14:30 天狗原山)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 35mm f11 1/40sec ISO100 PLフィルター
傾き始めた午後の日差しの中、金山山頂でしばし大休止。もう誰もいない静かな山頂。焼岳方面へ進めば、思わず妙高山~火打山~焼山の大展望が展開する。自分の中ではシゲクラ尾根の紅葉撮影でもう終えた気になっていたが、金山からの下山路もまだまだ撮れる写真がたくさんありそうだ。
焼山は紅葉はなし。火打山の斜面も紅葉は終わりかけなのかボチボチ。妙高山の紅葉がこれまたすごい。金山からの展望なんて考えてもなかったが、展望が良い山だったのね。妙高山の紅葉斜面を望遠で切り取る。
14:00 誰もいない金山山頂から下山開始。天狗原山までの稜線区間も、妙高山~黒姫山までの展望がよい。
14:40 天狗原山(2,1997m)通過。天狗原山は笹原に覆われて展望なし。少し笹原を漕いで尾根に上がってみたが、西側の展望は得られなかった。それにしても山頂標識がなんでハングル文字で書かれているのだろう。そんなに人気の山かな?
下り①(天狗原山 14:40 ⇒ 16:10 1,949m峰)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f16 1/13sec ISO100 PLフィルター
天狗原山からは、今度は高妻山を正面に下っていく。金谷登山口は標高1,200mと意外と高いので、あとは1,000m下ればよいだけ。苦手な下りで1,000mないので、幾分気が楽だ。
金山登山口までのブナタテ尾根上部は、数本のナナカマドが点在するだけ。展望は良く、乙妻山から高妻山までの展望がいいい。この頚城山塊エリアの紅葉は素晴らしいので、高妻山の紅葉も良いのだろうか。高妻山は夏と冬に登って、厳冬期に登れているからもう満足かな。スキーは急斜面過ぎて、自分の技量では難しそうだった。
東側には北アルプスの山並みが並ぶ。このロングルートで、一日天気がもってくれて本当によかった。余すところなく紅葉を撮り切れた。これから下り行く1,741m峰付近にも、紅葉エリアが広がっているのが見える。
下り②(1,949m峰 15:30 ⇒ 17:10 金山登山口)
EOS R5+RF24-70mmF2.8L IS USM 24mm f8 1/15sec ISO100 PLフィルター
標高を下げ、1,741m峰付近から、今度はブナタテ尾根の紅葉が始まる。ブナタテ尾根もその名前の通り、雨飾山と同じくブナの大木がいっぱい。西日に照らされて、一面紅葉まみれ。すごいことになっている。下りてくるときも当然紅葉くらいあるだろう、と思っていたけれど、これは想像以上。これはすごいね!
見上げれば紅葉した木々と青空。逆光で輝く紅葉が綺麗すぎる。ブナだけではなく、いろんな種類の紅葉が合わさっているのが美しい。紅葉の合間から、今日見る最後の雨飾山。
この雨飾山-金山周遊ルートで、大まかに紅葉・撮影ポイントは5か所ある。
1つ目は雨飾山へ登る紅葉斜面、2つ目は雨飾山山頂からの展望、3つ目はシゲクラ尾根の標高の高い両側を除いたほぼ全域に渡る紅葉、4つ目は金山山頂からの展望、5つ目はブナタテ尾根の紅葉斜面。これだけの多くの紅葉を長~く見れるルートって、他にあっただろうか。思いつくのは黒部渓谷の下の廊下くらい。シゲクラ尾根の紅葉エリアが広大なので、周回ルートは雨飾山ピストンに比べて本当に10-20倍くらいの写真を撮ることができた。
17:10 シゲクラ尾根の紅葉に足止めされて、日没10分後くらいになんとか明るいうちに下山。完全ビリの最終登山者かと思っていたが、隣の車がまだ残っていて不思議。どこまで行かれたのだろう?
自転車を使っての絶景紅葉撮り尽くしの周回計画は大成功。人が少なく紅葉を存分に楽しめる、素晴らしいルートだった。綺麗に色づいてくれた紅葉と破線ルートの笹薮を狩り払って整備してくれた方々に感謝感謝。