北アルプス 自転車

〔LEVO〕乗鞍岳サイクリング_夏 ~e-MTBでヒルクラム!電動アシストの威力はいかほどか~

山岳写真家からサイクリストへ転向しつつある今日この頃。ひょんな赤石岳冬季登山から自転車の趣味に目覚めて、いずれ来たいと思っていた”ヒルクライムの聖地”と呼ばれる乗鞍岳。
そんな乗鞍岳へ、自転車を引っ提げて、早くももう訪れてしまいました。季節を変え、もう10回以上登山しに来ているので、ある意味もう新鮮味はないんだけど、はたして自転車での乗鞍岳はどうでしょうか。
乗鞍ヒルライムで、e-MTBの威力を再確認したいと思います。

走行ルート+登山ルート

自転車ヒルクライム+乗鞍岳登山のデータ。所々ログが飛んでしまっています。

自転車ヒルクライム(往復)だけのデータ。

 

走行山行記録(2023年7月17日)

乗鞍エコーライン_ヒルクライム(三本滝レストハウス~畳平)

乗鞍ヒルクライムのスタート地点は、通常は乗鞍観光センターから。
10:00 一山目の霧ヶ峰からの移動で時間が遅かったので、車で行ける最奥の、ゲートのある三本滝駐車場からスタートすることに。乗鞍観光センター~三本滝駐車場の区間は展望のない樹林帯なので、フルにヒルクライムを堪能したい人でなければ、すっ飛ばしてもよいかもしれません

上半身は自転車用ヘルメットにサイクルジャージを着つつ、下半身はサポートタイツに膝サポーターに履きつ潰したトレランシューズにダブルストック、そしていつもの写真機材を背負うという、サイクリストと登山者の装備を合わせた微妙な恰好でスタート。登山と自転車、本気で両方やっている人って、そうは多くはないでしょう。

トランポしてきた自転車は、スペシャライズドのe-MTB、LEVO SL。アルミモデルを購入しましたが、重たすぎてちょっぴり後悔しているのと、アルミ=安いイメージと色が緑ザクに似ていることから、私はコイツを「ザク」と呼んでいます。w

標高差あるしヒルクライムの後の登山もあるので、楽に登らせてもらいます。登山アプローチの目的でeMTB買ったのだから。

本当は”ヒルクライムの聖地”と呼ばれる乗鞍岳は、ロードバイクで走ってみたいのですが、ロードバイク持ってないので、いつかきたるロードバイクでの走行前にe-MTBで様子を見ておく、といったところでしょうか。

準備を整えてさぁスタート。監視員さんがいて、送り出してくれます。ここで写真を撮っている間に、3人組のローディーさん達に抜かされます。この先頂上までずっと似たようなペースで走ることになりました。

ゲート前に「夜間通行止」の看板あり。夜間通行止めでなければ、夜間にヒルクライムとナイトハイクして山頂朝焼けという、いつものナイトハイク+朝焼け撮影の計画が取れるのに、残念。今日も当初はその予定だったのですが、夜間通行止めを知って、霧ヶ峰と順序を入れ替えて、朝焼けは霧ヶ峰で撮ってきました。

スタートしてすぐはスキー場を登っていきます。眼下には早、三本滝レストハウスが小さく見えます。三本滝レストハウスからスタートすると、既に視界が開け始めているので、気持ちがいい。

ちょこちょこ写真を撮るために止まってますが、三本滝ゲートで抜かされたローディー3人組にすぐに追いついてしまいます。
e-MTBの方がペースは速いのですが、そんな抜かしてまで早いペースで走りたいわけでもなく、どうせ止まって写真を多く撮るので、前に出てもまた抜かれることになるので、ゆっくり邪魔にならない程度の距離を空けて着いていく形になりました。

緑と青と白の3色だけの高原の夏景色。今日は猛暑日ですが、標高が高いので適度に暑いくらいで気持ちがいい。

いや、もう最高の景色になってきますね。今までの登山で、バスの中からしか見てなかったなんてもったいない!
このお三方がかなりの脚力の持ち主で、早い早い。後ろからついていくと、他のローディーさん達をことごとく抜いていきます。このお三方は誰にも抜かれていなかったので、本日最強のローディーさん達です。

まだあれだけの距離と標高差があるなんて、楽しすぎる。「楽しい」とか言ってられるのもe-MTBだから。この長く続く上り坂、人力だったら「楽しい」んでしょうけれど「辛い」も入る気がする。

上りはどんどん展望が開けていくので、ワクワクする。

たまに立ち止まって、写真撮影。まだ穂高連峰は現れない。

休憩ポイントの位ヶ原山荘に到着。ここから顔をのぞかせる乗鞍岳が大きすぎる!

クマちゃんがお出迎え。写真撮って先を急ぎます。乗鞍岳登山もするので、遅いスタートではあるものの、なんとか雲がかかる前に登りたい。

あそこを行くのね。この標高差なかなか。楽しみがまだたくさんあるってこと。

車両通行止めなので一般車は通らず、車を気にせず走れますが、バスは行き来するのでご注意を。安全のためにフロントライトは付けておいた方がよいでしょう。今日は急いで出発して、車の中にライトを置き忘れてきてしまった、反省。特に樹林帯の中だと、相手からは自転車は見えずらいと思います。

マイカー規制される前に、車や大型二輪で何度も登ったことがありますが、自転車で味わう景色は比較にならないほど楽しく味わい深い。

完全な森林限界になって、最高の景色が展開し始める。

ローディーさんたちはみんな「ハァハァ」してるけれど、自分ラクラク。抜くのは申し訳ない感が若干ありますが、電動アシストと人力でどうしようもない速度差が出てしまうので、抜かさせてもらいます。

だんだん近づいてくる乗鞍岳。

穂高連峰を望みながら天空の快走路。このあたりで、高山植物を撮るためのマクロレンズを車に置いてきたのに気づく。もう戻れないので、このまま進む。今までコマクサとかたくさん撮ってきたので、今日はもう高山植物撮影はいいでしょう。

〔100名山〕乗鞍岳 ~ご来光バスで雲海朝焼け&コマクサ乱れ咲き~

途中で小滝が現れたので、写真を撮ったり。電動アシストだと、ヒルクライムというよりゆるポタに近い感じになる。全然余裕あり。

まさに雲上のサイクリングコース。素敵。

肩の小屋口まで来ました。残りはあともう少し。

冬山登山では、このあたりから肩の小屋までの区間が、風の通り道で近いようでなかなか辿り着かないとても厳しい区間。何度も来た冬山登山での苦しい状況が思い出される。

〔100名山〕乗鞍岳 ~遂に撮れた穂高夕景!希に見る真紅の輝き~

上部の雪渓では、大勢のスキーヤーが夏スキーを楽しんでいる。自分もスキーも好きだしバックカントリスキーも少しやりますが、夏にスキー板を持ってここで滑るほどの情熱はないかも。よっぽどスキーが好きなんでしょうね。

あのコーナーを曲がるとそろそろ終わりの雰囲気。「もう終わってしまう...」というちょっぴり残念感。

県境ゲートにゴーーール!途中写真を撮りながらで、1時間半で畳平へ到着。電動アシストで楽をしつつ景色と写真を存分に楽しむという、なんだかとても贅沢な時間だった。サイクリストもいっぱい。

”ヒルクライムの聖地”と呼ばれるのが頷けました。今日は電動アシストで様子見でしたが、今度は人力のロードバイクで走ってみたい。また季節を変えて秋の紅葉の時期に登ったら、それまた絶景で極上サイクリングなのは間違いないです。

〔100名山〕乗鞍岳 紅葉 ~ダブルヘッター1山目_絶好の紅葉スポット発見!~

忘れないうちに記念写真。やっぱりゆるポタバイクにはスタンドが付いていると楽。

同じことを考える方がいらっしゃっいました。同じくe-MTB。さりげなく並ぶ形で撮らせてもらいました。

お花畑を見ながら、鶴ヶ池の周囲を回って畳平へ。

夏雲湧く畳平。夏景色って感じ。ここで第一部のヒルクライムのパートは終了。いや~、もうお腹いっぱいかも。濃かった。

 

乗鞍岳登山

12:00 目的の1つだったヒルクライムだけで、もうお腹いっぱい。何度もピークを踏んでいる乗鞍岳ピークハントはやめてもよいのですが、晴れていることだしせっかくなので登ることに。黄色いお花畑はちょっとわかりづらい。

振り返っての畳平。アルペンムードいっぱい。

お花畑咲く、複雑な地形を進む。

不消ヶ池に残る雪渓。

畳平~肩の小屋までの30分の水平移動がちょっとかったるい。この区間、電動マウンテンバイクであれば楽に楽しく走れるのに...、とかとか思いながらひたすら歩く。

雪渓で夏スキー。斜度としては結構急かも。そこまでのスキーパワーが自分にはない。

初めてのBCで脚折って遭難しかけたり、いろいろ感慨深い乗鞍岳。また来てしまった。

乗鞍岳_冬BCスキー ~初めてのバックカントリーデビュー!で速攻リタイア...

冬、風の通り道で爆風だった場所。どこで休憩取ればいいんでしょうね。

肩の小屋から乗鞍岳山頂まで40分。ヒルクライムで脚を使ったのか、それなりにしんどい。

冬山登山の重装備に比べれば、空気のように軽い装備しか持っていないのに、ゴロゴロした石が歩きづらいだの、冬の乗鞍岳の方が登りやすいのではないか?とか思ってしまう。

ようやく山頂を捉えた。

あともう少し。

13:20 乗鞍岳山頂着。何度も見なれた山頂。厳冬期に山頂から見た朝焼け穂高連峰の光景が思い出される。もうあれを上回る山行はできない気がする。

乗鞍岳山頂には本宮神社が立つ。山頂に立つこの小屋が、乗鞍岳冬季登山の難易度とリスクを大幅に低減してくれていると、身をもって確信している。氷点下18度を下回る標高3,000mの爆風地帯に設けられたこの無風スポットが、どれだけ有難かったことか。有難やありがたや。

ちょうど雲から姿を現す穂高連峰。

奥穂高。多くの登山者で賑わっているのでしょう。
さすがに見えない。

老朽化が目立つ観測所。さらにボロくなったんじゃないかな。w

雪渓残る権現池と雲。いいなぁ~。

午後を回り、登山者も少なくなってきた山頂を後にする。ここまで来て驚いたことに、登山者だけでなく相当数のサイクリスト達も山頂まで登ってきている。

登山者かサイクリストかの違いは、自転車用のヘルメットをかぶり、膝上までのサイクルジャージ(ピチピチタイツ)を履いているので、一目でわかる。標高差1,200mのヒルクライムをした後に登頂してしまうサイクリストがこれだけ多いとは思わなかった。

素早く下山していると、前方には2人のサイクリストが下山している。軽やかな足取りで大岩の上をバランスよく滑らかに早く下りてゆく。速度を競うわけではないが、自分が頑張って早く下りるペースと同等かちょっと早いペース。ちぎられそうになった。恐るべしサイクリスト...。
いや待てよ、久しぶりの登山で自分が衰えたのか。いつもの重い撮影機材のせいということにしておこう。w

肩の小屋でしばし休憩。足元にいた小鳥がストックにとまった。

調子が悪いようで、うまく飛べずこの距離でも逃げて行かない。頑張って回復してほしい。

これから下りる、お楽しみダウンヒルコースを見下ろす。

コマクサはたくさん咲いていました。以前にも撮っているので、今日は簡単に。マクロレンズも忘れてきたので、適当な花を探してあっさりと。

なんと県境ゲートまで戻ってくると、自分のと同じザクが2機も。さすが量産型!いや、ゴメンナサイ。
同じe-MTBが3台なんて、あまり見ない光景です。

お花畑を愛でながら。

あともう少しで畳平。だんだん雲が優勢になってきたけれど、もう下山したから雨さえ降らなければOK!

 

乗鞍エコーライン_ダウンヒル(畳平~三本滝レストハウス)

15:00 往復2時間半で登山を終え、再びの畳平。畳平には下りのバス待ちの長い列ができていますが、こちらは自転車なので関係なし。機動力のある自転車は、まさに魔法の翼という感じ。いいな、この自由度感!

登山の後の自転車の軽快さがたまらない。

岐阜県側の乗鞍スカイラインは閉鎖中。開通したら岐阜県側からヒルクライムする、という楽しみ方もありますね。もう数十年、岐阜県側の乗鞍スカイラインには入っていない。

ああ、名残惜しい畳平。去りがたし。

自転車にも通行時間に制限があるのが残念だなぁ。自転車で自由に行き来したい。

!!!

ママチャリでここまで登ってきたのか!?行きにはなかったので、そういうことでしょう。ある一番意味ガチな人かも...。

こんな山岳道路を走れるなんて、なんて贅沢!しかもタダ。

エコーラインのように長いストレートがない場合は、下りは自動車より自転車の方が速度が乗って早いです。下りてゆくバスを先に行かせて、追いつかないように時間を空けて出発します。

ダウンヒルの前に、改めてヒャッホー区間を見下ろします。w

爽快すぎる!まじヒャッホーでした。

一気に下るのがもったいないので、ちょっと止まって味わいながら。こんなときは、スタンドが付けられるアルミモデルもよいと思える。

再びヒャッホー開始!

まだスキーやってる!楽しみ方は人さまざま。

ゆっくり走っても下りコーナーの練習にはならないので、すっ飛ばして下りてきてしまった。あっちゅーま。

雲に向かって風を切って下りてゆく。速度は出るが、アルミのe-MTBのフレーム剛性が高すぎて、不安感は全くない。

途中穂高連峰が見えたり、楽しすぎる。標高を落としてしまうのがもったいない。ここも秋になると、錦繍でとても美しくなるポイント。

位置エネルギーを大事に運動エネルギーに変えながら、あっという間に位ヶ原山荘。

さよなら、クマさん。また秋に来ます。

行きに撮れなかった、道端のユリを撮りながら。

 

 

下から見上げる乗鞍岳は壁のようにそそり立っている。あそこまで人力で登ったと思うと達成感が凄い。いや、思い返せば人力ではなく電動が一部入っていた。
またまた思い返せば、冬はもっと下のスキー場から、重荷を背負って登頂しているのだった。夏と冬の感覚の差が激しすぎて笑える。w

自転車に登山を合わせた、ヒルクライム+登山+ダウンヒル。バス代往復3,400円を浮かせられるうえ三度楽しい、贅沢な遊びでした。季節を変えてもう行き尽くしたと思っていた乗鞍岳で、こんな楽しみ方があったなんて。
今度は涼しく美しい紅葉の時期に、人力ロードバイクでヒルクライムしてみたい。

 

e-MTBは使えるのか?

e-MTBの威力

結論から言うと、乗鞍エコーラインのように長い上りが続く場合、電動アシストの威力は絶大です。

もう少しわかりやすい事象で言うと、他の人力自転車を楽々抜けますし、抜かれることはまずないと思います。
スタート地点の三本滝レストハウスで写真を撮っている間に抜かれたローディー3人組がいましたが、必然的にこのお三方の後を走ることになります。e-MTBの方がペースは速いのですが、そんな抜かしてまで早いペースで走りたいわけでもなく、どうせ止まって写真を多く撮るので、前に出てもまた抜かれることになるので、ゆっくり邪魔にならない程度の距離を空けてついていく形になりました。

このお三方がかなりの脚力の持ち主で、早い早い。後ろからついていくと、他のローディーさん達をことごとく抜いていきます。このお三方は誰にも抜かれていなかったので、本日最強のローディーさん達と言えます。自分はそれこそちょこちょこと写真で止まるので当然離されますが、電動アシストのお陰でまたこのお三方に追いついてしまう、という繰り返し。
電動アシストのレベルは、基本3段階中の「中」を使っていました。最強のターボモードにするとより楽なのですが、ある程度ペダルに荷重をかけてペダリングしないと、荷重がお尻に乗ってしまってお尻が痛くなってしまうからです。

電動アシストの威力は、アシストレベル「中」でやや軽くペダリングして、この最強ローディーさん達と同じペース、最強のターボモードにすると、一瞬で抜いて引き離せるくらいのものです。最後の県境ゲート直前では、後ろを引っ付いていると気にされるだろうと思って、写真を撮るポイントもなくなってきたので一気に抜かさせてもらいました。

三本滝レストハウスから畳平までの標高差750mを登っても、心配持久力と脚筋力はそれほど消耗しない感じです。最強のターボモードを多用していれば、より軽減されたのは確実。
当初のe-MTBを購入した目的である「登山のために必要な心配持久力と脚筋力を、アプローチで可能な限り消耗させない」という登山アプローチの使用からすれば、e-MTBは絶大な威力を発揮することが確かめられました。ちょっと安心(笑)。ただ、自転車でアプローチが必要な山が多いかと言ったら少なく、またその機会も少ない、という点がもったいないところです。

e-MTBの楽しさ

電動アシストの力を借りて登って楽しいのか?と思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、これまたすごい楽しいです。”楽に早く移動できる”というのが乗り物の楽しさの本質なんだと思います。

ただ自転車という趣味は、自分の愛車で走るからこそ楽しいという面が強いと思うので、電動アシストの有無にかかわらず、それが一番なんだろうと思います。私の場合、ちょっと愛着が薄れて「ザク」呼ばわりしちゃってますが。w

eバイクの魅力は、「楽(ラク)=楽しい」でよいのではないでしょうか。

 

乗鞍岳 記録一覧

2023年07年17日 ■■■■■『乗鞍岳_夏 ~e-MTBでヒルクライミング!電動アシストの威力はいかほどか~』
2022年01月22日 ■■■■■『乗鞍岳_冬 ~凍傷と極寒爆風の恐怖の先は厳冬期穂高の朝焼け~』
2020年12月29日 ■■■☒☒『乗鞍岳_BCスキー ~初めてのBCデビュー!で速攻リタイア...』
2019年01月13日 ■■■■■『乗鞍岳_冬 ~遂に撮れた穂高夕景!希に見る真紅の輝き~
2018年10月03日 ■■■■■『乗鞍岳_紅葉 ~ダブルヘッター1山目_絶景紅葉スポット発見!~
2018年07月14日 ■■■■■『乗鞍岳_夏 ~ご来光バスで雲海朝焼け&コマクサ乱れ咲き~

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